狐の神様

ここは、とある里のとある神社。
狐の神様が毎朝ご出勤されている不思議な神社。
「さ。今日も任務で遅くなるから、ナルトの神様がんばって?」
「おう!!」
ここの神様は金色の狐・・・耳としっぽの生えた人型の青年。
「ちゅ」
「ちゅ」
いってらっしゃいのチューといってきますのチューを交わしたカカシは、颯爽と木々を走っていく。その後ろ姿を直衣姿のナルトが手を振って見送る。


数年前にこの神社に逃げてきたカカシという忍に拾われて、それ以来、そのカカシの家から毎日この神社に出勤している。
里でも有名な祈願成就の神社であり、里の忍達が任務の前に必ずと言っていいほどお参りをしていく。
里人はみな、ナルトが神であるとしっているが、里でお参りをすることはしない・・・なぜかって?

そんなおそろしいことができる人間はいないから・・・



数日前・・・
「ナルト・・・今日の夕飯は何にしようか?」
夕暮れ時の商店街。長身の銀髪の青年・カカシとそれよりも少し低い金髪の青年・ナルトの買い物風景。
里でも一二を争う美男子二人の買い物風景など、世の女性達はもう釘づけである・・・通常なら・・・
しかし、この二人が通ると、皆が顔をそむける。
「俺はナルトが食べたいなぁ・・・」
『ピョン!!』
カカシがそっと、ナルトの襟足にキスをした瞬間、ナルトの耳としっぽが表れてフルフル震えだした・・・
「ここ・・・弱いよねぇ?ナルト?」
プルプル震えてまっかな顔でカカシを睨むナルトをカカシが面白そうに笑う。
「うぅぅぅぅ・・・」
唸り声をあげてなにかを訴えるナルトのしっぽをそっとつかんで、カカシがきれいにブラッシングされて先にキスを落とす。
「ヒャン!!」
犬のような鳴き声とともに、ウルウル涙を流しながら、尚もカカシを睨みつけるナルト・・・すると
『ッポン!!』
音とともにナルトがいた場所に現れたのは、巨大な体躯の金色の狐。
「カカシのバカぁ!!!」
そう言い残した金色の狐は、空に舞い上がって消えた・・・
そのされたカカシはというと・・・
「あぁぁぁぁ!!!かわいい!!なんだろうねこのかわいさは!!拾ってきて正解!!ま、俺って運がいいっていうか、これも日頃の行いがいいからかな。神様ありがと〜!!!ナルト以外信じてないけど!!」
そう言って走り去っていくカカシ・・・ちなみに、今のは大きな声の一人ごとですが、邪魔者よけの効果があるようです。


「ナァルト?ごめんね?」
そう言って神社の隅にうずくまっているナルトのそっと近づくカカシ。その手でそっと、ナルトの頭や背中をなでる。
「グス・・・はずかしいの嫌い・・・」
小さな声でつぶやくナルトに、カカシが「ごめん」と小さくつぶやいてナルトの頭をそっと自分の膝に誘導する。膝枕の形で寝転がるナルトの目をそっと手で押さえたカカシがナルトの耳元でささやく
「愛してるよ」
その言葉に、ナルトが真っ赤になりながらも小さな小さな声で「・・・おれも・・・」とか、モゴモゴ応える。カカシが満足そうに微笑めば、ナルトは嬉しそうに笑う。ナルトいわく、目をふさがれててもカカシのことならなんでもわかるらしく、
「カカシが照れてる」
とか、小さくつぶやいた。
ナルトがカカシの手を外して、その碧い瞳で見つめる。
照れて視線を外したカカシに、満面の笑みを向けながら。
微笑みあう二人は、夕暮れの神社を手を繋いで後にした・・・。



みなさんにひとついっておこう・・・
そこが、公衆の面前であったということを!!!
よく考えましょう!!
もしも、町中で!
カカシと一緒にいるときにナルトにお参りなんかして、カカシに睨まれたら?
もしも、ナルトに狐になられたら?
そんなことを考える人々は、カカシが隣にいないとき=神社にいるときしか、お参りしないのでした・・・


FIN

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