夕飯戦争勃発

「カカシ先生なんて大っきらい!!」
そういって、街の中心地である商店街のど真ん中で叫ぶナルト・・・
いい逃げのようにして走り去ってしまったナルトを茫然と見送っていたカカシが、突然倒れた・・・
「ナ・・・ナルトが俺を嫌いって・・・」
そういって、なきながら地面と仲良しちゃっているカカシを、周囲はなれた様子でよけて行く。この街の夕方の恒例行事になりつつある、カカシとナルトの夕飯戦争なのである。
さかのぼること数分前・・・



「じゃ、今日は解散!!」
カカシの号令と共に、それぞれが帰路につく。サスケはさっさと帰宅して、それにくっつくようにしてサクラもさっさと帰っていく。里でも一、二を争うバカップルのナルトとカカシは、二人がいなくなった瞬間に上忍師と教え子から、一気に恋人同士になる。
「ナァルト。今日は早く終わったし、作ってあげる!何食べたい?」
そんなカカシの笑顔に、ちょっとだけ甘えるように、照れ照れとすり寄る。
「今日は一緒に作るってば。その方が早いし、その方が一緒にいれるってばぁ」
なんて、ちょっとはにかみつついわれると、カカシとしては恋人冥利につきるというか、なんとも幸せな心地に浸る。
見つめあう二人は気づいていないので、一応確認しますが、ここは木の葉の中心地へ続く公道のど真ん中です。
もうすぐ商店街がある、夕暮れのにぎわう時間。お互いに見つめあって手なんて握ってしまっている二人を、里人はあえて触れずに通り過ぎる。過去にあまりのいちゃいちゃにイライラした数度目の失恋したばっかりの某クマのような上忍がキレて、一時は収まったが、その数日後にその上忍が道で犬に股間を噛まれると言う痛ましいじけn・・・事故(という事になっている)があったために、里の人々はこのカップルの邪魔だけはしないのである・・・
かれこれ10分は見つめあっている二人・・・
(あれ?ナルトのお肌が乾燥してる・・・最近俺に合わせて魚と野菜ばっかりだったから、やっぱ若い子はある程度油も必要だよね)
なんて、見つめあいつつ考えるカカシ・・・
一方で
(あれ?カカシ先生の手、ささくれがたくさんできてる・・・最近俺に合わせて肉が多かったからかな・・・ちゃんと野菜も食べなくちゃ)
なんて、見つめあいつつ考えるナルト・・・
「ナルト!今日はお肉にしよう!!」
「カカシ先生!!今日は野菜食べるってば!!」
お互いにハモった言葉は、真反対の言葉で、お互いがお互いにぎょっとする。普段は絶対に言わない言葉だから。周りから客観視すればなんてことはない。
お互いにずっと一緒にいるから、だいたいは昼食がナルトの希望なら夕食はカカシの希望。その反対もありきで、お互いにお互いを尊重してるのは明白で。
「もう!!どうしてわかってくれないんだってば!!今日は野菜なの!!わからずや!エロ魔人!カカシ先生なんて嫌いだってばぁ!!」
癇癪を起したナルトが、カカシに悪態を付きつつ、走り去っていく・・・
で、冒頭に戻る。

「ヘ・・・変態は認めるよ!あまんじて受け入れるよ!ナルトの前じゃ俺は変態だよ!!!でも・・・でも・・・わかやずやって・・・キライって・・・キライ?・・・俺の事・・・キラ・・・い・・・」
滂沱の涙に泣きぬれて、すっかり地面が涙に染まったころ、商店街にそっと、ナルトが戻ってくる・・・
「うそだってばぁ!カカシ先生の事誰より大好きだってばよぉ!帰ってこないから心配したってば!」
そういって、泣きぬれたカカシに覆いかぶさるようにしてそっと抱きつくナルト。
「帰ろう?」
優しい声音でナルトが諭すと、カカシはすっと立ち上がってテヘヘと笑う。
「俺、ナルトの肌が乾燥してたから、きっとお肉食べれば治るから・・・それで・・・」
ナルトがハッとして、はにかむ
「俺ってば、カカシせんせいの指がささくれだってたから、野菜食べれば治るかと思って・・・」
カカシがハッとしてなんとも気恥かしそうに笑う。
見つめあった二人は、そのまま時が止まったかのようにほほ笑みあい、幸せをかみしめた・・・
みなさんはお気づきかと思いますが、ここは木の葉の中心街の商店街です。
ちなみに、商店街の皆さんは慣れたもので、これが始まると閉店1時間前のタイムセールが始まるのです・・・


そのまま閉店寸前までイチャコラしたカカシとナルトは、二人仲良く豚肉とキャベツを買って帰りました・・・
「ナルト。今日は俺が腕によりをかけて野菜炒めを作ってあげるね?」
なんて、カカシがナルトを見つめれば、
「じゃ、俺ってばお風呂沸かすから、ご飯食べたら一緒にはいろ?」
なんて、ナルトもカカシを見つめ返す・・・
木の葉の中心から徒歩5分の上忍専用マンションに、30分以上かけて帰ってきた二人がなにをしていたかは、いうまでもない。



   FIN

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