願いが叶ったら・・・

木の葉の極秘施設に入れられていたナルトも、今日で退院を迎えた。
里では、修行の旅の途中で任務に向かい、その中でけがをして戻ってきたって事になっている。ナルトが自殺しようとしていたなんて、里では決して知られてはいけない秘密。知ってしまえば、里でとはナルトの自殺の原因を探って、それを利用して暗殺しようとする輩だっているだろう。俺も火影様もナルトを不要な戦いに巻き込みたくはないから、そうするって決めた。一応ナルトにも教えたけど、あの子はちょっとおツムが弱いから、そこらへんの記憶があいまいなんだって答えてっていっておいた。下手に言われるより、記憶があいまいって方が納得してもらえるから。忍の中で詮索は無用なことをちゃんとわかってるやつらは、聞いてこないだろうけどさぁ・・・ホント、うちの里ッて腐ってるって思う時もあるよねぇ・・・ま、俺はその腐ってる連中の中に数日前までいたんだけどさ・・・
「カカシせんせ?」
おっと、物思いにふけってたら、俺のマイスウィートナルトのお目覚めだ・・・
「ナァルト・・・俺はここにいるよ?体調はどう?」
俺は機能もガッツリナルトをおいしくいただいちゃってるから、ナルトは真っ赤になりつつ「大丈夫」って答えてくれたんだけど、俺としてはちょっと心配。ナルトは今体力の関係上どうしても車いす生活しかできなくて、しばらくは俺のマンションで暮らすことになってるんだけど、普段元気に歩いてた街を俺の介助なしには歩けないナルトは、きっとすっごいストレスだとおもうんだよね。ちょっと心配だけど、ナルトも戻りたいっていってるし、そこは俺の甲斐性で解消(笑い)してあげればいいよね!!
「ナルト。今日で退院だから、お祝に一楽に連れてってあげるよ」
俺の腕の中で寝転んでいるナルトが、嬉しそうにほほ笑む
「行きたいってば!!」
訂正。ほほ笑んだのではなく、叫んだ・・・



「キヨラさんありがとってば!!」
花束をもらったナルトが、ニコニコと礼をいうのに合わせて、俺も会釈をした。
「ナルト君の傷は私が治しましたが、心を治したのは、カカシさんです。」
ニコリと笑って、そういったキヨラさんは、俺たちに背を向けて施設に帰って行った。


「ま、これからナルトが歩けるようになるまでは、ちょくちょく木の葉病院のリハビリルームにも顔出すって言ってたしね・・・そんなにさみしそうな顔しなぁいの」
施設を出てすぐにナルトがさみしそうにするから、俺ちょっと妬けちゃった。
そんな事を話ながら、里の中心地へ帰ってきた。
このまま一度火影様にナルトの顔を見せに来るようにってきつくいわれてるから、商店街の真ん中を車いすをおしてゆっくり歩く。
途中途中で会う面々に、挨拶を告げて火影様の名前をだして適当に追い払う。
俺とナルトのデートの邪魔なんだよねぇ・・・
「見て・・・カカシさんがまたあそんでるわ・・・やっぱ男は手がかかるから・・・」
下世話な話題を下世話に話す化粧臭い女達に一瞥をくれて、さっさと火影邸に入る。


「ナルトや。よく来たのう・・・」
木の葉のお里もあろう人が、現在治療中の落ちこぼれ下忍に何ともいとおしそうに視線を向けてる・・俺は面白くない。非常に面白くない・・・見つめあっちゃって・・・クッソォ・・・俺ってこんなに独占欲つよかったっけ・・・
「ナルトを頼むぞ」
そういって肩を叩かれた俺は、「御意」とだけ答えて、ささっとナルトを連れて退出する。
「さ、これからリハビリ生活の始まりだよ?がんばろうね?」
「早く任務に戻りたいってばよ!!!!」
今日も元気なナルトの姿を見つつ、俺はなんともまぶしい夕日に照らされたまぶしい金色に、こっそり愛をささやいて、家に帰るのでした・・・


   FIN

[ 45/95 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -