願いがもしもかなうなら3

誰もが予想だにしないナルトの自殺は、里の最重要機密とされ、ナルトと俺は遠征修行と言う名目の元、砂の国に行ったことになっている。
最初は影を使って任務にでていたけれど、キヨラさんの話をきいて、ナルトに専念することにしたんだ。こんなにも弱い存在を守れなかった俺のせめてもの罪滅ぼしと言うか、ナルトには一刻も早く目覚めてほしかったし、目覚める時にそばにいたかった。
「ナルト・・・今日は一楽に行って来たんだ・・・」
ピピピ・・・
計器に反応があった・・・
「お前・・・どんだけ一楽すきなのよ・・・」
なんか、久しぶりに意志の疎通ある会話をした気がする。ま、いままでは俺が会話をしなかったんだけどさ・・・
「ナァルト・・・元気になったら一楽いこうな」
なんて、頭を撫でてみたら、計器がまた『ピピ』と反応した。脳波が反応示すってことは、やっぱりナルトにも聞こえてるんだよね。



「キヨラ先生。ナルトはどうですか?」
ここ最近、計器に反応が出ている事は、キヨラ先生にも伝えてある。俺一人の判断じゃ心もとないのはもちろん、お互いに隠しごとはしないようにしている。もちろん、ナルトのこと以外は内緒がおおいけど・・・
「正直にいって、あまり進展はしていません。我々が一楽と言っても、ラーメン持ってきても、反応がありませんから・・・」
そういえば、ナルトととの初デートは一楽だったなぁ・・・あの頃は、ナルトがなにしても可愛くて、なにしてても目が離せなくて、もうナルトと話すすべての人をにらみで殺しちゃいたいくらいだったなぁ・・・ナルトに怖いっていわれたっけ・・・ナルトも思い出してくれてるのかな?ナルトにとっては、きっとあのころが幸せの絶頂だったのかもね。何にも知らない、ただ憎まれうとまれる存在のナルトが、はじめてイルカさん以外で好意を寄せてきた大人が俺だもんな。きっと、俺が思ってる以上に俺はナルトの特別だったのかもしれないね。そんな俺が裏切って、そして平気な顔して傷つけて、しまいには他の大人たちと同じ行動をとってしまっては、ナルトが自殺してしまうのも無理はない。
「キヨラさん。ナルトを起こす方法はないんですか?強烈な眠気覚ましとか・・・」
俺の無理難題だって、きっとキヨラさんはわかってくれてると思う。俺だって、忍だ。いつまでも修行の旅と言う口実も使っていられない。他国からの指名依頼が来たら、里の面目とかそういった面倒なしがらみに絡まっている俺は行かなきゃならない。
だから、ナルトが起きるのを待っていたられないし、いつまでも寝かしていたら、本当にナルトは死んでしまう。
「・・・あまり使いたくはないんですが、ナルト君の体に強烈な気付薬を投入すれば、起こすことは可能ですが、心が死んだまま起こしてしまうと、この場合は死ぬことと尾なし様な状況になってしまう可能性があります。」
新事実に、俺はなんかちょこっと嬉しかった。だって、ナルトを起こす事が可能なんて・・・危険でもなんでも構わない。ナルトが起きてくれるなら・・・
しななければそれでいい。このまま緩やかに死を迎えさせてなんかやらない。どんなにお前にきらわれようと、なんとかしていかして見せる。お前が苦しんでも関係ない。俺は、お前と共に生きたい。ナルト!!起きてくれ・・・
縋る思いで、キヨラさんに決行を依頼した。どちらにせよこのまま死んでしまうなんて事、キヨラさんも考えてなかったみたいで、いづれはやるつもりだったんだって。
点滴の中に、薬剤が投入される。きっと、これが最後の賭け。この薬も排除されてしまったら、もう手立てはない。暗部クラスの忍への拷問ですら使われるほどの効力のそれは、さすがにナルトにもきいたらしい・・・
「ん・・・」
ナルトの青空のような瞳が、ゆっくりと世界を見渡す。
その世界に、俺がうつっているのが、嬉しくて、不安で、俺はそっとナルトの寝るベッドの横に膝まずいた・・・
「ナルト・・・」
ナルトが、俺を見た・・・




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