きつねのかみさま

ここは、とある隠れ里のとある小さな神社・・・
だぁれもこない小さな荒れはてた神社・・・
「クソッ!!」
そこにいるのは、ちいさなとある隠れ里の忍者。任務に成功し、帰還する途中に敵の残党との戦闘になり、傷つきながらも辛くも勝利し、しかし、もうあるくことすらできないくらいに傷ついた忍・・・名を「はたけカカシ」
「あ〜・・・もうチャクラもないし、造血薬飲んで耐えつつ、誰か探しにくんの待つしかないね・・・こりゃ運がないと・・・と、ここ神社か・・・神様〜。信じてないけど助けてね(笑)」
カカシは力なく神社の方に手を合わせる。
「・・・兄ちゃん助けたら、ごはん持ってくてくれるってば?」
音もなく、忍たるカカシに気付かれることなく、突然目の前に現れたのはガリガリに痩せてしまっている子ども・・・正確には、狐の耳としっぽを持った金髪碧眼激プリな子ども・・・
「ん〜?・・・俺しんだ?こんな可愛い子がお迎えかぁ・・・でも、ここで死んだら、俺の家にある秘蔵のイチャパラを誰かにパクられるしなぁ・・・まだ死ねない。自分の棺桶にイチャパラいれるまでは死ねない!!・・・助けてくれたらなんでも持ってきちゃう」
カカシは冗談交じりに笑う。むしろもう完全に思っている事が口に出てしまっている。
「俺ってばもう何年もだれもお参りに来てくれてないくて、お供え物が内からおなか減ってんの。兄ちゃんなんか持ってるってば?」
カカシはもうほとんど動かない体をなんとか動かして、ポーチの中の非常食を渡す。
「今、これしかないけど、里に連れてってくれたらなんでも食べさせてあげる」
カカシの手から受け取ったビスケットをクンクンとにおいをかぐ。
「食べ物だよ?」
カカシがほんの少しかじって見せれば、ハムハムと食べだす。
「ごちそうさまでしたってば!!ねえ、兄ちゃんの里はどこ?」
口元におもいっきり食べ残しを付けた顔でニコニコとしゃべる可愛い狐ッ子の格好を良く見れば、まるで神社の宮司さんのような格好で・・・
「ひょっとして、この神社の神様?」
カカシはふとした疑問を口にする
「そうだってばよ?」
さも当たり前のように応える狐ッ子に。カカシは驚いたようにマジマジと見つめる。しかし、その間を待てなかったようで
「どこだってば!!」
カカシは慌てて「木の葉の隠れ里のはたけカカシです。」と、ちょっと自己紹介する。
「木の葉かぁ・・・ちょっと遠いってばね・・・兄ちゃん。俺の背中に乗るってば!!変化!!」
現れたのは、大きな金色の九本の尾を持つ大きな狐。カカシがとび乗ると、悠然と走り出す。しかし、カカシとていっぱいいっぱいなので、ほぼもたれかかるような態勢で乗っていると、仕切りの心配してくるので、カカシはなんとか元気なように話かける。
「これが本来の姿なの?」
「ちがうってば。ホントはもうちょっと小さいってば。今は念力で大きくしてるんだってばよ」
念力・・・俺達で言うところのチャクラみたいなもんかな・・・などとカカシが考えつつ、取り留めのない話を続ける。
そうこうしているうちに木の葉についたカカシは、
「ここでいいよ。ありがとう。変化を解いて。」
移動中にも狐ッ子がずっと念力を送っていたおかげでカカシは大分回復し、もう普通に歩けるようになっていた。
カカシに言われるがままに変化を解くが
「あ。君の本来の大きさがしりたいな・・・それに、これから街を通るから、狐ッ子よりも狐の姿の方が助かる・・・」
カカシに言われるがままに、変化を解いた姿は・・・
「ん?ちょっと?」
さきほどの「ちょっと小さい」ではなく、「かなり小さい」という表現がしっくりくるどうみても和犬の子どものようなサイズの金色のポワポワ塊がカカシの目の前にチョコンとお座りしている・・・
「・・・さっきよりもちょっと小さくなってでしょ?」
あっけにとられているカカシがなにを考えているのかわかったようで、小首をかしげつつ照れたようにそっぽを向く。
「・・・そうだね・・・うん・・・ま、動きやすくていいね・・・」
(はぁぁぁぁぁぁ!!!かわいい!!ヤバい!!このサイズはヤバい!!なんなんだよ!!もうこれはとりあえず確保!!)
カカシの怪しい思考をよそに
「こっからは街に入るから、怪しまれないように抱っこさせてね」
と、カカシに言われるがままに抱っこされた。


その後、ささっと報告業務をすませたカカシは、自宅に狐ッ子を招き入れ、手料理をふるまう。
「うまいってば!!」
「毎日食べにきてもいいよ?」
「ほんと!?」
「うん。でも俺、忙しいから居ない日あるかも・・・」
「え・・・」


「じゃあ、ここに住んじゃえば?そしたら三食作ってあげるし、こっから神社に出勤すればいいんだよ!!」
さも今ひらめいたかの様にいうカカシと、まんまと騙される神様。
「いいんだってば?俺ってばもう何年も何十年も・・・200年くらい誰かと一緒にすんだことないってば・・・」
嬉しそうにつぶやく狐ッ子に、カカシはテーブルの下で小さくガッツポーズを決め込み、ニヤリと笑みをこぼした・・・


それから、里一番の稼ぎ頭であるカカシは、小さな神社を改築し、毎朝神社にお参りをしてから任務に出かけている。小さな神様は、毎日カカシの送り迎え付きで、今日も参拝客に加護と笑顔をふりまいている。


       FIN

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