言葉の違い・・・4

答えがわかってしまえば他愛もない。他の女たちとは違ったのは、ナルトが特別だったから。料理は、俺のためにつくってくれてた。掃除も洗濯も、俺がいつ行ってもいいようにきれいにしてくれてた。きっと、恥ずかしがり屋のナルトが「ヤるの?」なんて言うのにどれだけの勇気がいったんだろう・・・気づいてしまえば、ホレないわけない。こんなにも、俺を愛してくれて、俺を癒してくれていた存在・・・心愛しい俺の恋人・・・
「鼓蝶・・・俺、わかっちゃったかも・・・」
ちぶやけば、妖艶にほほ笑む鼓蝶がその紅の乗ったあでやかな目元を細め、諭してくれた
「あんたがナルト君を特別視してたのは、相性とかそんなんじゃない。きっと心はナルト君を必要としてたんだ。あんたが、ナルト君の家になんとなく帰ってしまうのは、心がナルト君と共にいることをねがったからだ。あんたが今やるべきことは、ここにいることなのかぃ?」

俺が立ち上がった瞬間に、鼓蝶が上着を羽織らせてくれた。
「鼓蝶・・・世の女はみんな俺にクラっとくるって言ってたけど、鼓蝶は?」
「あたしは、あたしの最愛の人の前以外では女にはならないからね?」
キセルを咥えて、目元を細めて空を見上げる鼓蝶はカッコよかった・・・。鼓蝶を見受けした大名は、鼓蝶を好きにさせている。きっと鼓蝶を理解してるんだと思う。名前で呼ぶこともできない相手を見受けした大名は、きっとそれでもいいと思えるほどに鼓蝶を愛してるのかな・・・そう、思われるような恋人に俺はなれるかな・・・
「鼓蝶・・・今、幸せ?」
問いかけに虚をつかれたようで、鼓蝶は一瞬固まった後に盛大に笑いだした。
「あんたの考えてることはだいたいわかってるよ。
あたしはね、自分の夫が死んだときに、一回人生終わってんだ。それを、引きとめたのが今の旦那さ。良く通ってくる人でねぇ・・・無理にあたしを抱こうとはしなかった。ただ話をして、添い寝をするだけで良いんだって言ってくれたんだ。旦那が死んで、ちょっとして、あたしを見受けしたいって言ってきたから、一緒に墓に行ったんだ・・・そしたら、泣きながら「幸せにします!!幸せにします!!」ってあたしの旦那の墓前で泣くんだよ。それになんか感化されちまってね。しょうがないから見受けされてやったのよ。未だに、この別宅に来ては、話をして、添い寝して帰るんだ・・・あたしの気分がいい日は肌を重ねてやってるし、子どももいる。今は向こうの養子にとして育てられてるが、よく遊びにくるんだよ・・・。でも、あたしは遊女上がりだから、妻にはならないって言ったのに、旦那は40越えても嫁を貰わずにあたしの気が向くのをまってるのさ・・・なんにも言わずにさ。こうやって好きにさせてくれる。待っててくれる。これを幸せと言わなかったら、どうすんのさ・・・」
笑う鼓蝶は、なんともきれいだった。こんなにもキレイな女性は見たことがない。燐として気高い誇り高き木の葉の女性・・・俺は、鼓蝶をまぶしそうに見上げながら、「また・・・」と、小さく告げてナルトの家に向かった・・・




『コンコン・・・』
「はい?」
ナルトがドアを開けてくれた。その瞬間に、さっと足をドアに挟んで閉められないようにしてしまう。
「カカシ先生・・・どうして来たんだってば?」
ナルトの声が低い・・・怒ってるのが、チャクラを見なくてもわかる。
「ナルト・・・好きなんだ!!」
俺は、思いのすべてをぶつけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は!?・・・・と・・・とりあえず、中入って・・・・」
ナルトの目が点になってた。さっきまでいぶかしんで、疑って、あきらめていた目が・・・ちょっと不思議。ナルトが激しく動揺する姿なんて見たことなかった。俺が女といても、約束すっぽかしても驚かなかったナルト・・・そんなに衝撃的だったのか・・・ハハハ・・・乾いた笑いがでちゃうよね・・・ハァ・・・




俺は、これまでの経緯と、鼓蝶と話した事を長々としゃべった。
そりゃもう、1時間30分しゃべり続けた。
「・・・と、いうわけで、ナルトが好きなんだと気づきました。」
「信じられません!!!」
即答・・・
1時間30分を3秒で終わらせられた・・・
「カカシ先生・・まずは信じられる材料を頂戴?カカシ先生は俺のためなら浮気しない?」
「しない!!」
「毎日任務終わったら帰ってくる?」
「くる!!むしろ任務行かない!!!」
「それはダメだってば・・・俺がいやなことしない?」
「しない!!」
「・・・俺の事、どんくらい好き?」
「・・・自分が自分だと思えなくなっちゃって、こんなにひとを好きになったのはじめてなんだ。ナルト・・・愛してる・・・大好きだけじゃ伝えきれない・・・」

ナルトの顔がまっかに染まる。ちょっとの頬笑みと、大量の涙は、俺の右手にそっと降り注いで、グローブに吸収されていく。
「ナルト・・・どうしたらしんじてくれる?」
ナルトはしゃくりあげながら、俺をみる。
「俺・・・今日でカカシ先生を想ってる可愛そうな俺を殺して、明日からはただの忍になろうと思ってたんだ。うずまきナルトは、今日で死ぬ予定だったんだ・・・」
ナルトが言った言葉は思った以上につきささる。ナルトはもう限界だったんだね。そんなに苦しんでんのしらなかったんだ・・・馬鹿な俺でごめんね。ちゃんと気付いたから、死なせない・・・死なないで・・・
「ナルト・・・ここは今日で出よう。一人ぼっちのうずまきナルトのお墓にして・・・
今日から俺の家に一緒に住もう。二人一緒の揺りかごにしよう・・・」
きっとナルトはまだ半信半疑。疑うも当然。それだけの事をしてきたんだから。
でも、きっと信じさせる。
どんなにかかっても待って見せる。
大丈夫。
ナルトは俺が幸せにしてみせるんだ・・・


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