決まりごと

あぁ…なんてかわいいんだろう。

困ったことにベタ惚れだ…

本人以外は気づいてるのになんで本人は気づかないんだろ…


ここは木の葉隠れの里。
忍が住まう隠れ里…
そんな場所だからこそ決まり事がたくさん存在する…
その中でも、ある一部に最近できた決まりが『はたけカカシとうずまきナルトを二人きりにしない』である。さりげなくカカシの毒牙から金髪の天使を守るのが、鉄則である。
まだまだ元気で無垢なナルトを守らなければならないのである。歩く性欲とまで言われているカカシにかかればきっと一夜にしてナルトが美味しくいただかれてしまうのは目に見えている。
そして、悉くナルトが可愛いアカデミー同級生メンツや、上忍軍団はあれこれとナルトを夕食や修行に誘ったりカカシを呑みに連れ出したりと、大忙しである。
時には、二人きりになりそうな状況であるならば任務を先送りにして阻む始末である。


だからだろうか…
「カカシせんせ〜」
『グハッ!!!』
最近のカカシは、ナルトが名前を呼び、手を振るだけで下半身ある一部が主張しだすのである。
ナルトが俺を呼んでる→俺だけを呼んでる→俺だけを必要としてる→愛されてる!?
みたいな思考がうずまいているのである。どうしたモノか周囲が焦れば、一層カカシの病気にも似た症状が出るのである。
「カカシせんせ?」
なにやらせき込んでいる(ナルトヴィジョン)カカシが心配になって、下を向いているカカシを覗き込んだナルト。
しかし、カカシにとってはまったく危険な視界である。心配げに目を潤ませたナルトの下からのアップ・・・ちょっと動けばキスできる距離・・・まったくもって危険である。もはやカカシの一部が激しく主張し出しているのを、カカシは暗部時代に鍛えた鉄の理性で押しとどめ
「ごめんごめん。変なとこに入っちゃったんだ・・・」
などと誤魔化しつつ、なんとかナルトのことを中くししようと試みるも、可愛いナルトが近くにいると言うだけで、カカシの心臓はバックバクである。
どうしようもなく視線を下に下げれば、ナルトの忍服からのぞく鎖骨に、カカシが生唾を飲む。
「・・・ナルト・・・先生病気かも・・・」
「!!??」
カカシは何かを決心したかのように、ナルトの肩を掴み、正面を見据える。
「先生大変だってば!!とりあえず病院に行くってば!!」
掴まれた肩を頼りにされていると勘違いしたナルトは、なんとかカカシを助けようと慌てふためいていて、大変な状態である。
「大丈夫。病院にいかなくても治るんだ・・・ナルトが助けてくれ?」
もうここまでくれば、カカシは信じてもいない神に祈るのみ・・・
最近やたら入る飲み会の誘いも、ナルトの修行も、すり寄ってくる女連中も、今だけはきっと来ないと・・・そして、ナルトがうなずいてくれると信じて・・・
「ナルト・・・俺は恋わずらいなんだ・・・ナルトが俺を隙って言ってくれたら治るんだ・・・」


「濃いわずらいって病気なんだってば!?それは俺が隙って言えば治るのか!?」
・・・些か不安を覚えるカカシ・・・ちょっとイントネーションが・・・
「濃いわずらい・・・濃くなっちゃうのか・・・じゃあ、ガイ先生も濃いわずらいなのかな・・・怪我濃いアスマ先生も!?化粧が濃い紅せん・・・『ドゴッ』
鋭い突っ込みがナルトの腹部に一発・・・


「アスマ!?紅!?」
カカシはなんだかあっさり脱線していった自分の一世一代の告白を、邪魔されて怒っていいのか助かったと安心していいのか・・・
「とりあえず・・・セーフなようね・・・」
「あぁ・・・ナルトの天然記念物級の天然に助けられたな・・・」

「「カカシ・・・ナルトに近づくな!!」」
上忍仲間二人にどやされて、最近なんだかナルトと二人で話ができない原因が分かったカカシは、この後、追尾型忍者の異名を遺憾なく発揮し、ナルトを追尾したとかしないとか・・・


「・・・カカシ先生はこれからガイ先生みたいになるのかぁ・・・」
しかし、検討違いの心配をしているナルトに気付かれることはなく、今日もカカシは一人でナルトを見てニヤニヤするばかりなのでした・・・


そして、ナルトの愛すべき天然を守るために、仲間たちは総力を結集し、ナルトに
「カカシ(先生)はこれからガイ(先生)やリーみたいに暑っ苦しくてうざくなるよ」
と吹きこむのでした・・・

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