微妙な距離

俺とナルトが二人きりで会うようになって半年…


今日も二人で出掛けた帰り道。
はしゃぎすぎて疲れたのか、すっかり眠ってしまったナルトを背負って、ゆっくりゆっくり歩く。
普段は広い里なのに、ナルトがいると狭く感じる。
意地悪されてるみたいに、里門からすぐに着いちゃうナルトの家。
すれ違う自転車のライトでナルトが目をさまさないように、そっと閉じた瞼に手を添える。
ゆっくり歩いてるはずなのに、もう見えてきた里のはずれのぼろアパートに、ちょっとだけため息をつく。
そっと盗み見るナルトの寝顔は健やかで、俺は幸せを噛み締める。


もう少しこのままでいたいのに、ナルトを健やかに寝かせるためにはベッドに運ばなくてはいけない。
そっとナルトの服を探って鍵を開けて、ナルトをベッドに寝かせる…

手を伸ばせば触れられる…
腰を曲げれば口づけできる…
でも、俺には出来ない…

「ん…」
条件反射で声をあげたナルトを見れば、健やかな子供の寝顔。


恋人でなく、友達でもない俺たちの関係は、今日もなんの進展もなく、進んでいく…


「カカシせんせ…すき…」


何の進展もなく、進んでいく?

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