ノックノックノック

「カカシ・・・愛してる・・・」
「あぁ・・・俺もだよ」
「・・・どれくらい好き?里の誰より、一番?」
「・・・あぁ・・・だれより愛してる・・・」



俺は今、里の内部機密を他里に漏らして、利益を得ているという疑いのある女上忍に地近づき、事実関係を確認するという任務についている。里の内部での犯罪であり、里の誉れである上忍の起こしたこととなれば、里の汚点であり、ダメージに直結するため、秘密裏に行われている。
俺は自分の顔がいいのをよく知っているし、女に対しては相当な武器になることをよく理解しているから、下手に行くより相手の懐に入ろうと考えて、この上忍をオトすことにした。世の大抵の女は、俺が「愛してる」とか「お前が一番」とかささやけば、大抵はとろけるような頬笑みと共に、自分の体も情報も差し出してくれる・・・
俺は、思ってもないうわべだけの言葉をささやいて、もらうものもらったら忘却の瞳術をかけてバッくれるだけ・・・
俺が本当に愛をささやくのは、世界でたった一人の愛しい子どもにだけ。
だから、今日も俺は愛のない愛の言葉をささやく・・・
「カカシ・・・あなたって本当にきれい・・・本当に私だけのモノ?」
「あぁ・・・お前ほどきれいではないけど、きれいな俺はお前のモノ・・・」





うかつだった・・・
確かに油断はしてた。人通りの少ない路地裏で、まさか忍なんていると思わなかったし、ナルトがそんなに気配を消せるなんて思ってもみなかった・・・
「カカシ先生には一番がいっぱいいるってば・・・俺ってばもう疲れた。こんなに好きなのに。俺ってば馬鹿みたい」
そんな一言と共に、俺はナルトの家から閉め出された。
よくよく考えれば、あの路地裏はナルトが人目を避けて街から帰宅するには、ちょっと遠回りになるが、通れない道ではないし、むしろ人と会いたくないのであれば、あの道は至極理にかなっているであろう。
俺としたことが、なんだか上の空もいいとこだったけど、そんなことも気付かなかったのか・・・
『コンコン・・・』
ナルトがいる部屋のドアをノックする。
反応がないことなんて百も承知。でも、あきらめずにノックする。このドアも、ナルトの心もあきらめずにノックしてれば、いづれは開く・・・
『コンコン・・・』
『コンコン』
『コンコン』
「・・・ナルト」
呼びかけても反応はない。ただただ静寂に響き渡るナルトのしゃくりあげる声。きっと目をこすって真っ赤になってる。はなもグズグズこすってきっと赤くなってる。それでもドアが開いたらきっと俺の方をキッと睨んで、「なんだよ〜!!」ってつっかかってくるんだ・・・
ほら、あの上忍のことなんてなんにも知りたくもなければ知らないのに、ナルトの事は全部わかるし、まだワカンナイことあったら知りたい。
『コンコン・・・』
きっとそろそろナルトは動く
「・・・ナルト。せんせい寒いよ?入れて?」
「帰ればいいってば!!」
きっと今ごろは迷っている。俺が帰らずにここでずっとノックしてるから心配になってきてるはず・・・きっとそろそろ鍵が開く
『コンコン・・・』
「俺はナルトが開けてくれるまでかえらないよ?」
きっといまごろ顔をあげて、立ち上がる


『ガチャ』
鍵が開いた。でもドアが開かない・・・
「ナルト・・・入っていい?」
ドアを開けて、確認すれば、玄関の上がりに立ってるナルトが、真っ赤な目のまま俺を睨みつける
「なんだよ〜!!!カカシ先生の馬鹿〜!!!俺ってば本当にもう知らないってば!!」


なんがか騒がしいナルトを抱きすくめて、ゆっくり後ろ手に鍵を閉める。
「全部話すから。ちゃんとナルトが一番だから安心して・・・
ぶすくれて抱っこされてるナルトは明らかに不機嫌。でも可愛い
「俺ってばもう知らないッ!!!」
プイっと顔をそむけるナルトが可愛くて、大事で、なんとも言えなく幸せを感じる・・・
俺も知らなかったよ。自分がこんなに誰かを大切に思えるなんて・・・

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