事故に注意

最近、木の葉では事故が増えている。
道でコケたり、術が失敗したりはよくあることではあるが、最近の事故は、コンビニの自動ドアに挟まりあわや首がもげる寸前・・・
どこから来たのかわからない野良犬にかまれて足を数針縫ったり・・・
腹部に速達伝書忍鳥がぶつかって肋骨を折ったり・・・
果ては家のなにもない庭から突然火の手が上がり、逃げ遅れた家人が全身やけど・・・
事故や事件が急増しているのである。。。



「カカシせんせ・・・えぇぇぇん!!」
泣きながら歩いているのはうずまきナルト。新米下忍であり、里を襲った九尾をそのへそに封印されている里の忌み子。先日、家に空き巣・・・というか、荒らしが入ったので、現在は担当上忍であり恋人のはたけカカシの家に居候中。
今日も今日とてナルトは里人にいじめられて帰宅。
「ナルト・・・おか〜えり。どうしたの?」
カカシは夕食を作っていたキッチンから顔を出し、玄関に入って早々泣きだしたナルトを抱き上げるべく、火を止めて玄関に向かう。その際、忍犬を数頭召喚する
「ナルト・・・今日はどこでやられたの?痛いところある?」
カカシはナルトを優しく抱っこして、リビングに連れていく。その間、大きな忍犬はナルトが寄っかっかれるように横になって待っていた。小さい忍犬たちはナルトや来るや否や嬉しそうに尻尾を振ってナルトの体中を舐めたりしてナルトを慰める。
「あはは・・・くすぐったいってば!!」
涙交じりの目をこすりつつ、絡みついてくる忍犬たちを撫でながら、カカシに経緯を話す。
「今日は、シカマルと遊んでて、そんで、ごはんだから帰ってこようとした途中の路地で3人の酔っ払いのおっちゃんに絡まれたんだってば・・・俺ってば逃げたんだけど、運悪く行き止まりに行っちまって、あえなくサンドバックだってばよ・・・」
ナルトは体のあちこちに残る痣をさすりながら、うつむく。
「ナルト・・・痛かったね。大丈夫。俺がいるでしょ?」
カカシはうつむいた旋毛をくりくりと触って、撫で撫でしつつ、さりげなくナルトの体中を観察する。頭部にうっすら膨らんだたんこぶ。腹部には明らかに拳の痕。足には何かを嵌められていたような跡と、ねんざして腫れた足首。
「どうしたの?」
「なんか・・・足縛られて、そのまま足首変な方向に曲げられて、歩けないようにさせられてからおなか殴られたり、髪引っ張られてそのまま持ちあげてボールをドリブルするみたいに、離されて地面に頭ぶつけたりした・・・俺がなんとか印を組んだら逃げてった・・・」
ナルトはしょげているのを隠しもせずに犬に縋りつき、カカシの手に手を重ねて甘える。


そのまま撫で続けると、犬のぬくもりとカカシの手の暖かさでナルトはスゥスゥと寝息をこぼしだした。
そっと撫でる手をやめたカカシは、大型の忍犬にナルトを任せて、その他の忍犬と共に寝室に移動する。
「どう?なんか収穫あり?」
忍犬に問いかければ、みな一様に目をぎらぎらさせてニヒルな顔で佇んでいる。唯一人語を操れるパックンが
「カカシよ・・・我らの鼻を見くびるな」
そう告げると同時に、忍犬は窓から里へ飛び出していった・・・



翌朝
「ナルト〜?先生は今日、お前らと任務のあと別動で任務あるから、先に帰っててね?」
カカシは朝食の準備をしつつ、かいがいしくお手伝いをしてくれるナルトに告げる。
ナルトは「ちぇッ」とでも言いたそうに口をとがらせつつも「わかったってば」といい子に返事をしていた。


さらっと今日も草刈りの任務を終えた第7班は
「解散!!」
というカカシの言葉を聞くと同時に
「サクラちゃん!!サスケ!!今日は焼き肉行くってば!!」
どうやら新米下忍連中での集まりをするらしく、カカシはほほえましく見守りつつ、
「じゃあ、これで食べてきな。俺は次があるからもう行くな」
と、ナルトに5000両札をわたして去っていった。
「カカシ先生かっこいいってば・・・」
ほおを染めてカカシがいなくなった方向を見やるナルトと、それを口惜しげに見るサスケ。その後ろからさりげなくカカナル応援派のサクラがガッツポーズを決めている。
「カカシ先生とナルトはラブラブね〜」
なんて、サスケに致命傷を与えながらもなんとか自分の方へと引っ張り、ずるずると木の葉焼き肉亭に行く。



そのころ・・・
「ここの家の親父がナルトの腹を殴ったの?」
忍犬としゃがみこんで話をしているカカシ。
「じゃあ・・・おしおきだ」



この日、木の葉のとある住宅街で三人の中年男性が、それぞれ頭部にたまたま子どもが遊んでいたソフトボールがぶつかり、脳しんとうを起こすほどのたんこぶで重症。一人はたまたま落ちていた縄に足をとられて転倒し、そのまま足首を骨折。最後の一人は、酔っ払ってふざけあっていた忍のけんかに巻き込まれ、腹部に術をくらって重傷・・・
今日も木の葉は事故が多い・・・三代目火影は、事故ですべてを片づけるべく、今日も届く書類に頭痛を感じながら印を押していく・・・




[ 25/95 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -