監視役は大変・・・

木の葉を吹く一陣の風が、ナルトの住むぼろアパートを襲う・・・
隙間風が寒々しい場所に住んでいるナルトは、元気にカップラーメン啜りながらテレビを見ている・・・サスケと・・・
「サスケ〜?今日は泊まるんだってば?」
ナルトはフゥフゥしながらサスケの方に向けば、サスケは窓の一点を見つめて、
「今日は寒いからな。お前一人で寝たら風邪ひく。」
簡潔にそう告げてカーテンをひっぱって窓のそとの一名の視線からナルトを隠す。



「あぁ・・・サスケの馬鹿!!俺はナルトの監視役なんだよ・・・」
木の上で小さく舌打ちをするカカシは、カーテンの引かれた窓を見つめ、その場からドロンと消えた。

『コンコン』
秋の肌寒い夕方の里。尋ねるものなどいないはずのナルトの家をノックするような音が響く。
「誰だってばぁ?」
のぞき窓とか、インターフォン的なモノがなにもないナルト家では、玄関で大きな声で伺いを立てるほかない・・・ナルトには・・・
「このチャクラ・・・」
サスケがチャクラを探り、見知った人物のチャクラを感知するも、ナルトにはそんな芸当はまだまだできない
「ワンワン!!」
返事のように大きな声で鳴いたのは、大きな銀色の犬。しかも、大きな耳と鋭い牙があるが、どことなく可愛い。実はこの犬はカカシの変化したものである。
それとも気付かないナルトは忍服をまとっている犬を見て
「カカシ先生の忍犬かなぁ?なんか咥えてる?」
なんて、勘がいいんだか悪いんだか・・・
「ワン!!」
嫁とばかりに咥えていた巻物を転がしてナルト足元に置けば、ナルトはわくわくしながらいそいそと開けていく
『ナルトへ
この忍犬を預けるので、精神を鍛えなさい。優しく強くなる練習!!火影様への第一歩!!』
内容はカカシが変化する前に書いておいたものであり、いろんな意味で教育する気のカカシには、一緒にいられるのが犬の自分なのが微妙に嬉しくないけど、この姿以外で近くにいて遠慮なく触れる姿を知らない・・・


「サスケ〜!!カカシ先生から忍犬届いた!!」
サスケの前に連れて行けば、なぜかサスケは固まり
「そこまですんのか・・・」
つかつぶやいた。そしてそのままテレビの方に視線を動かせば、追記刺さるような殺気に、サスケがだんまりを決め込むのは仕方のない話であろう・・・


それからしばらくして、ナルトは眠そうに目をこすり始めた
「もう眠いってば・・・」
サスケにしなだれかかり、右手に犬の首根っこを抱きしめて話そうとしなかった。
「ナルト〜寝るなら犬はおいてけ・・・」
サスケは正体がわかっているためになるべく地雷を踏まないように慎重に、しかし追い出すようにして話を進める。
「いやだってば・・・あったかしいし、カカシ先生の大事なパートナーだってば・・・大事にしてやらなくちゃ・・・」
そしておもむろにベッドに横になり、悠々と悠然とナルトの隣に横たわったカカシ(犬の姿)は、サスケにしたり顔で
「おやすみサスケ」
と、寝室からサスケを追い出し、さっさと眠りについたナルトを好きなだけ朝まで監視し続けた・・・。




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