大好きな人9(完)

ふわっとすべてのしがらみから解放されるように、軽くなった体が重力によって急激に重くなる・・・地面にたたきつけられる瞬間に受け身をとってしまったのは、はしくれでも忍の習性かな・・・
・・・生きてる・・・あぁ、失敗しちゃった。痛いなぁ・・・でも生きてるのが・・・一番イタイ・・・またカカシ先生を苦しめる・・・ご・・・めんね・・・







ナルトが、俺が目を話した一瞬のうちに窓から飛び降りた。
幸い命に別条はないが、しばらくは立つことすらままならないほどに足の骨が砕けているということで、病院においておきたくない俺は、治療のスペシャリストの暗部に訪問治療を頼み、自宅でナルトを看ることに決めた。
その前に、ナルトが飛び降りる原因になった女の元へと向かい、上半身と下半身を生きながらにして引き裂かれる幻術をかけて、野山に放置してきた。当然の報いだ・・・俺はこの里で、ナルトと一緒に生活する前と後、なにも変わっていない。全部あの女の嘘なのだ・・・その嘘のせいでナルトは苦しみ、死を選んだ。身を切るよりもつらい思いを抱えたままで死のうとしたんだ・・・
ナルト・・・大丈夫だよ・・・俺は大丈夫だから、もう一回、俺の元に戻っておいで・・・



それから、ナルトは1日眠り、目覚めたのは翌日の朝。九尾の回復力からか、足の粉砕骨折以外は大きなけがもなく、ナルトの淀んだ瞳以外は心配なさそうだ・・・
「ゴメンナサイ・・・」
ナルトがしゃべった。よかったしゃべれる。あの可愛い声が聞ける
「ゴメンナサイ・・・生きてた・・・」
「ナルトが生きてて俺は嬉しいよ。あの女の言ったことは嘘だから。あんまりにもあの女が変なこと言うからびっくりして固まってただけで、大丈夫だよ。ちゃんと毎日買い物行ってるし、近所の上忍連中もちゃんとあいさつしてくれるでしょ?だから、心配いらないよ?ナルトはなんにも気にしないで元気になってね」
俺の精いっぱいの笑顔を向ければ、ちょっと安心してくれたみたいで、ナルトがちょっとだけほほ笑んでくれた。ナルトは証拠がある方が安心するのかな。




俺は勘違いをしてた。里の宝のカカシ先生を傷付けるなんてしないよな・・・
ん・・・じゃあ、俺の強くなったらカカシ先生みたいになにしてもいじめられないかな・・・みんなと仲良くなれるかな・・・
「カカシ先生・・・俺がカカシ先生より強くなったら、、里の大人たちも俺のこといじめないかなぁ?」
小さくつぶやくように言ったら、カカシ先生が大粒の涙流してコクコクうなずいてくれた。
「ナルト・・・やっと生きる気になってくれた?俺、ナルトが強くなりたいんだったら何でも教えてあげる。ナルトなら俺なんてあっという間に超えていくよ。強く優しい忍になれるよ・・・」
変なカカシ先生。俺が生きてるのがそんなに嬉しいなんて、里の大人じゃないみたいだ・・・
「カカシ先生。まずは足を治すってば。そんで、いっぱい食べて体力付けたら、任務に復帰して、たくさん経験積んで、いろんな術を覚えるってば!!だから・・・そばにいてほしいってば・・・」
なんか照れくさい。自分からカカシ先生を求めてるのを伝えるのってすごい勇気必要なんだね。俺知らなかったよ。なんかまた泣きだしたカカシ先生は首が落ちるんじゃないかってっくらいうなずいてくれて、俺は幸せな気持ちいっぱいに、
「和風リゾットが食べたいってば!!!」
って言ったら、
「その前に、ナルトのベッドをリビングに移動して、いつでも一緒にいられるようにします!!」
とか言われて、抱っこでリビングまで連れて行かれて、久しぶりにソファに座って待ってたら、忍犬と一緒にリクライニングベッドを運んできたカカシ先生
「これでよしっと!!料理のときも洗濯の時も一緒にいれるし、ナルトの好きなテレビも観れるでしょ?」
得意げなカカシ先生のドヤ顔に笑っちゃいながら、カカシ先生なりに気を使ってくれてるのが妙に嬉しい
「いつでも一緒だってばよ?」
「うん。ナルトの足が治るまでは俺が足になる。治ったら、俺が師匠で恋人でツーマンセルの相棒になるからね」


今日、俺は大好きな人と、本当の意味でずっと一緒にいられることになりました。
里は今日も俺に冷たく、世界はとっても広いんだけど、いつも一緒が一番幸せなことだって知ってるから、俺は幸せです。見てるだけなんてもったいない!!
大好きな人とは一緒にいるのが一番です!!!




              FIN

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