大好きな人6

俺は目を覚ましてからというもの、ほとんど食事をとることをやめた。
カカシ先生が心配するから最低限食べたふりをする。簡単なことだ。病院の個室と言うのは、誰も見ていないから、看護師さんやお医者さん、果ては事務の人まで総出で俺をいじめるから、食事なんて持ってきてもらえないこともあるし、そのためか、俺の回復力は格段に悪くなってきて、九尾が俺が弱ると弱ることが分かった。
里のみんながやってることは間違いじゃないんだ・・・俺を弱らせればこいつも弱るなら、俺が死ねばこいつも死ぬかも知れない。
さぁ、九尾の化け物・・・俺が先にくたばるか、お前が先にくたばるか、勝負しよう。




「ナルト・・・」
眠るナルトに近づいた。白い肌に日々増えていく痣と傷。
日々減っていくほおの肉と、増えていく睡眠時間・・・
医者の話では順調に回復してるから治療の必要はないから、体力が回復次第退院って話しだったのに、なんでこんなに弱っていくんだろう。。。
「ナルト・・・ちゃんと食べてるの?」
眠る愛しい子どもの頬を撫でれば、口の端にある痣が見えた
・・・殴られてる?
反射的に全身にある痣を見れば、明らかにおかしい
蹴られてる・・・掴まれてる・・・切られてる・・・
この病院はおかしい。入院する前はこんな痣なんてなかったはずだし、こんなに弱るはずはないんだ・・・
俺はすぐに火影様に報告をして、即刻退院させて俺の家で面倒をみることに決まった。




「退院おめでとうナルト!!」
カカシ先生が寝た切りの俺のために買ってくれたリクライニングベッドは寝やすくて、俺にはすごく助かってる。それを起き上がらせて、俺が座るような態勢になったら、小さめのケーキを俺の前にある机に乗せて、嬉々とした声でにこやかにおめでとうと繰り返す。
生クリームは大好きだけど、今は食べたくない。
そんなの食べたら栄養満点なんだもん。
「カカシ先生・・・俺ってば今は食べれないってばよ・・・」
俺が生きてる限り食べれない・・・
「ナルト・・・これはナルトにも食べれるように、フルーツたっぷり入れて、軽くしてもらったんだよ?アスマが(俺に脅されて)ナルトの為だけに(俺が)つく(らせ)たんだよ?」
「・・・俺のため?」
「アスマも(俺ほどじゃないけど)ナルトに元気になってほしいんだよ・・・」
多少の副音声を交えている気がしたけど、アスマ先生が作ってくれたなら食べるしかない。申し訳ないし、ちょっとだけ食べたケーキは甘くて、フルーツたっぷりでとってもおいしかった。

それから何かと家に食べ物を持った同級生や、先生たちが来るようになった。
カカシ先生の差し金なのはみんなの視線が物語ってるけど、みんなが来てくれるのは嬉しいから、俺は気づかないふり。食べ物を持って来るから、俺はほんの一口もらって食べる。
「そういえばお見舞いにイルカ先生が来てくれないってば・・・」
ふと思って口にすれば、カカシ先生が気まずそうに右を向いた
「カカシ先生なんかしってるってばね!?」
問いただせば、イルカ先生に知れたら俺にイルカ先生が付きっきりになって、面白くないから、来ないようにナルトの入院はかん口令を敷き、イルカ先生には俺が長期任務中だとか伝えてあるらしい・・・大人ってなんて自己中・・・


それから、イルカ先生は毎日部屋にやってきては、お手製の料理をお重に詰めたお弁当を食べさせてくれる。カカシ先生はおやつを買ってきてくれる。
どんなものでも小さく一口もらうだけ・・・
俺は日増しに白くて細くなった。
女の子みたいだってカカシ先生に言われたけど、しょうがない・・・こうでもしないと、カカシ先生を守れない。俺を守ってくれる大好きな大人。以外に子供っぽい大好きな大人・・・俺が守ってあげるから。
あんたも。
あんたの好きなこの里も・・・

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