大好きな人4

カカシ先生はあくまで護衛任務の延長線上で俺をまもってくれているんだよね・・・きっと。俺が外出するのは任務の時以外はずっとカカシ先生が付いてくる。
修行をしようと演習場に行けば、カカシ先生は現れては俺の修行に付き合ってくれる。

この里でカカシ先生だけが俺を見てくれる。仲良くしているはずの同い年の奴らは、俺が何者かを知ってか知らずか、遠巻きにしてる。けして態度には出してないつもりでろうけど、俺はうまれてからずっと人に敏感に生きてきたから、よくわかる一線・・・
でもカカシ先生は違う。ちゃんと俺を見てくれてる。
・・・と最初は思ってた。
でも違った。カカシ先生が見てるのは俺じゃなくて、俺の中にある九尾なんだ・・・きっと・・・



「お兄ちゃん・・・これ・・・」
小さい子が差し出してきた花束はとってもきれいで、とっても癒される。
「ナルト!!!」
その花束をたたき落としたカカシ先生の手に俺は驚いて一歩引いた瞬間に、小さな女の子が姿を消した
「あれは子どもじゃない・・・だれかの変化だ」
カカシ先生が花束を見下ろして、俺の方に手を差し出しつつ、
「帰ろう?」
と聞いてくれた。大好きなカカシ先生に大好きだという裏切りを受けた。
大好きだという言葉が信用できないよ。

「ナルト・・・俺を信じてよ・・・大丈夫。俺は絶対にナルトを傷つけないし、ちゃんと大事にする。大好きだよ・・・」
俺の考えなんてお見通しとでもいうように、カカシ先生が俺にほほ笑んだ。俺にはそれが無性に腹が立って、俺は大好きなカカシ先生に裏切られたような気がして、かっとなってしまった
「じゃあなんで毎日俺が寝た後に封印式を確認してるんだってばよ!!」
カカシ先生は「気づいてたんだ」と、小さく一言言った後
「ナルトと二人で暮らす条件だったんだ・・・封印式の監視報告が、今の俺の任務なんだ・・・ナルトと二人で暮らしたいと火影様に言ったら、一筋縄ではいかないから、任務にかこつけてしまえってね」
カカシ先生はおれのほっぺを掴んでムニムニ勝手に遊びながら「報告義務があるからやってるだけであって、ナルトの裸が見たくてやってるわけじゃあなんだよ」って教えてくれた。
カカシ先生は俺を裏切ったわけじゃない。それだけで心がほっこりあったかくなる・・・
『ガシャ!!』
物音に振り返った先には、はっきの花束と、そこから出てきた血みたいな色した小さな蛇。
噛まれた瞬間に広がる全身のしびれと、激痛。耐えられなくて倒れそうになった体を支えるカカシ先生と、真っ赤な蛇だったはずの小さな紙切れ・・・
「ナルト!!!」
聞いたことがある。術のようで術ではない。呪詛と言う、どこかの国の呪いの技。
カカシ先生は、俺を支えながら口寄せした忍犬に「火影様を!!」とか叫んでる・・・ここは演習場のそばだからいいけど、こんな夜に大きな声出しちゃダメだってばよ・・・
重くなる瞼と、熱くなっていく体を自分のモノじゃないみたいとか思いながら、俺は気を失ってしまった・・・

[ 15/95 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -