大好きな人3

連れてこらえたのは、高層マンションの最上階。
「ココが俺の家だよ・・・入って?」
カカシ先生に押された背中はもうなんの力もなくて、押された拍子に転んでしまった。俺はもう動く気力も残ってないから、前のめりに顔面をぶつけるようにして倒れた
「ナルト!!ごめん!!大丈夫!?」
カカシ先生があわてて助け起こしてくれたけど、空腹と痛みで動けない俺はされるがままにぶらぶらとぶら下がる見たいにして抱っこされてリビングまで連れていかれた。
「ナルト・・・とりあえずお風呂入ろう?」
俺の服を脱がしにかかるカカシ先生に、こんなガリガリで傷だらけの体を見せたくなくて、必死に暴れた
「俺ってば一人で入れるから!!」
「そんだけ体力ない状態なのに一人で入ったら危ないでしょ!!」
結局俺のジャージは脱がされて、タンクトップとパンツの姿にされれば、いやがおうにも腹に巻いてたタオルがバレて、カカシ先生がまたすごく悲しそうな顔になった・・・
「ナルト・・・なんでこんなに細いの・・・」
俺の体は細くて、自殺しようとした傷と、里のおとなにいじめられた時の傷でボロボロで、カカシ先生は俺をタオルで包んで、お風呂まで運んでくれた。俺の細くなった体を大切なものみたいに大事そうに・・・俺を床にいったん座らせて、テキパキとカカシ先生も服を脱いで、俺を抱っこしたままお風呂に入ってくれた。


「ナルトは何が食べたい?」
「・・・雑草とか以外ならなんでも・・・」
なんて言ったら、カカシ先生は目頭おさえながらキッチンに入っていった・・・面倒なこと言っちゃったのかな・・・俺みたいなやつは雑草で十分だよな・・・おなかすいたな・・・
いいにおい・・・カカシ先生のごはんかな・・・
ちょっとだけでももらえないかな・・・
なんて考えてたら、カカシ先生がおおきなお鍋にいっぱいおかゆを持って現れた。
「さぁナルト!いっぱい食べていいんだよ?」
俺が寝てるベッドに腰掛けてカカシ先生が食べさせてくれたおかゆは2週間とかまともなご飯食べてなかった俺の空っぽの胃がはち切れそうなくらい食べた。今食べないと次にいつ食べれるかわからないし、最後の手料理かも知れないし・・・
これ食べて、歩けるようになったら森に行こう。鋼の糸を木に結んで、そこをつっ切れば、首が切れる・・・やっと楽になれるんだ・・・
「ナルト・・・なにを笑ってるの?おいしいの?」
なんだか楽になれることが嬉しくて、考え事してたら俺は笑ってたみたいで、カカシ先生が腰掛けてる位置から俺をのぞきこんできた
「おいしいってば。俺ってば用があるから家に帰るってばよ!!ごはんごちそうさまでしたッ!!!」
カカシ先生の目はなんでもお見通しな気がして怖いから、その視線を避けるみたいにして俺は食べ終わった食器をベッドの横にあるローテーブルに乗せて、態勢を起こす・・・はずが、起きられない。
「ナルト・・・どこへいくの?用ってなに?あの家に帰ってどうするの?ここにいれば俺が守ってあげるよ・・・」
肩をおさえられて、今の俺は抗いもできずに寝かされる。
「俺ってばやらなきゃいけない事があるってば!!待ってる人がいるってば!!!」
満腹になってやっと楽に声が出るようになった俺は、カカシ先生が邪魔する理由も分からずジタバタしてみる

「お前の両親はお前を待ってないよ!!」
・・・またか・・・またそのことか・・・両親にすらうとまれて、死ぬこともダメだったら俺はどうすればいいんだ・・・
「おまえの両親はお前を誇りに思ってると思う。そして、できるだけながくこの世に生きててほしいと願っている・・・お前は化け物として生まれてきたわけじゃないんだ・・・」


それから、俺が生まれた時におきた出来事を聞いた。俺が化け物と言われる意味も・・・
里が俺を嫌うのはしょうがないことがってわかった
さっきのお姉さんが言ってたように、俺ってば里から出たほうがいいのかもしれない。
「ナルト・・・俺は先生からナルトを託されたんだ・・・だから全力で守っていくし、俺自身もナルトが大好きだからナルトを守らせてよ・・・だからさ・・・ここに引っ越してきちゃいなよ?」
カカシ先生が言ってきた言葉は嬉しくて、イルカ先生以外に俺を俺として見てくれる存在がありがたくて、コクコクとうなずきながら泣いちゃった。


それからカカシ先生はおれんちの行って、服とか、必要最低限のものだけもって来てくれた。
カカシ先生に与えてもらった部屋は広くはないけど、俺には十分で、「今度の休みに家具を買いに行こう」と言いながら、俺を自分のベッドに引き入れて抱っこして寝てくれた。
毎日、ちゃんとカカシ先生が作った栄養満点の料理を食べた。
蛇口をひねれば出てくるお湯。スイッチを入れると着く明り。
俺ってばそんなことが嬉しくて、枝みたいだった手足が元に戻ったのも嬉しくて見ないふりしてたんだ・・・
カカシ先生がこっそり、俺が寝た後に俺の腹にある封印式を確認してるのを・・・
カカシ先生は俺を守ってるんじゃない。九尾から里を守ってるんだ・・・
それでも俺は幸せなんだ・・・


「外は危ないから・・・」
カカシ先生は俺を外に出さない。危ないから。守れないから。
俺を外に出さない。九尾を外に出さないために・・・
俺は死ぬ権利も奪われて、真綿で絞殺されて行くんだ・・・カカシ先生に、、、大好きな人に守られながら・・・




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