戦いの勝敗

「今日は湖で養殖のウナギ掴みどりで〜す。掴んでサイズ測ってサイズ別にかごに入れてね〜」
今日の任務も肉体労働なことにブーブーと文句を垂れるナルト、日焼けを気にして影の方へ陣取る準備をするサクラ。無言でさっさとはじれろとばかりのサスケ・・・そして、
「水辺だから裾はまくってね〜?ナルト〜お前はコケそうだから俺の隣ね〜?もう上半身は裸でズボンは裾ガッツリ折ったほうがいいんじゃない?」
いかがわしい目線のカカシ・・・他の二人には簡潔な注意だけをして、ナルトには裾をまくってあげたり、袖を折ってあげたり、しまいにはジャージをたたんで濡れないように袋に入れていげる徹底ぶり・・・
「・・・ナルト!!危ないからこっちおいで!!」
サクラが影から出てきてナルトを呼ぶ。
「サクラちゃんなんだってば?」
なにも知らないナルトはカカシの手から離れてトテトテとサクラの元へ走り寄る。一方のサクラはカカシへ「このド変態が!!」という視線と殺気をたたきこみ、サスケに目配せをしてナルトを挟んで作業を開始する。右にサクラ、左にサスケ、中央にナルトという位置で作業するが、如何せんカカシの視線が気になる・・・明らかにナルトしか見ていない・・・担当上忍なんて関係ない・・・カカシの場合は趣味でナルトの鑑賞をしているのである。
鈍感で純情純粋なナルトが心配で仕方ないサクラとサスケは、セクハラからナルトを守るために、フォーメーションPNF(prptect naruto forkakashi)というモノを作り上げ、最近では確実にカカシの魔の手(視線?)からナルトを守っているのである・・・しかし、今日のカカシはひっそりただ眺めているだけ・・・いつもならナルトが場所をかわるたびに己も移動していたのに、今日は木の上を動かず・・・イチャパラに夢中になっているのだと信じていたいサクラとサスケは、なんとなくふに落ちない部分もありつつ、作業に集中した。



日暮れ
「はい。お疲れ様〜。」
カカシがほくほくとした笑顔で作業を終えた三人を見る。
「・・・カカシのヤローなんであんなに笑顔なんだ・・・」
サスケがさすがに不審に思い、サクラに相談してもサクラはわからないとばかりに手をあげて首を振る・・・
「カカシ先生いいことあったってば?」
まったくの穢れをしらないナルトが天然にド直球を投げ込めば、カカシはニヤニヤしながら、「聞きたい?」などと体をくねらせながら言ってくる・・・
「聞きたいってば!!」
ナルトも素直なもんだからよせばいいのに興味深々で突っ込んでいく
「ナルト、今日はいつもズボンの下にはいてるスパッツはいてないでしょ?」
「はいってないってば・・・」
うなずくナルトは興味深々すぎて前のめり、サクラとサスケも離れてはいるが聞き耳を立てる
「で、ナルトのズボンはブカブカじゃん?」
「そうだってばね・・・」
まったく検討の付かないナルトと、不幸にも頭の回転がいい下忍2名は、顔をひきつらせてカカシとの距離をとっていく・・・
「で、今日は波のない湖での任務・・・」
「そうだってば・・・だからなんだってばよ?」
じれてきたナルトと、もはや明確な答えがわかって更にカカシとの物理的距離と精神的距離ができる2名・・・
「先生イイモンみちゃったの・・・フフフ・・・」
ヤラシイ笑顔を浮かべつつ、ナルトに近寄る・・・
「よくわかんないってばよ・・・」
考え込むナルトを抱っこしたカカシは
「じゃあ、俺んちでホットミルク飲みながらかんがえよっか!!今日は解散!!」
言うが早いか、カカシは瞬身でナルトを抱えて消えていく・・・残ったのは、あまりにもドン引きし過ぎてナルトを助けることのできなかった2名・・・
「あぁ・・・ナルトが・・・変態の毒牙に・・・」
「させるか!!サクラ!!カカシの家に行くぞ!!今すぐイルカ先生にも連絡を入れろ!!」
実はナルト守護には中忍もいたらしい・・・
「あと、火影様にも連絡入れとく!!」
なんと、里の最高責任者も守護者だったようで・・・しかし、相手は元暗部のエースで、現在でも里の1、2を争う実力者・・・そううまくはいかない・・・



カカシが純粋なナルトをおいしくいただくのが先か、はたまたナルト守護者の面々が救出するのが先か・・・
カカシ宅には厳重な結界とトラップ。ついでに忍犬と、あきらかに脅されているカカシの後輩テンゾウと悪友アスマ・・・
「「「ナルト〜!!!今助けるから(ね〜!!な〜!!の〜!!)」」」
正面に下忍二人と火影。裏に中忍一人・・・
戦いが始まる・・・



後日
ナルトは相変わらず純粋素直なままで、でもカカシにべったりと貼り付いている。
「俺ってばカカシ先生の恋人だってばよ!!」
大きな声でニシシと笑いながら腕を組むナルト・・・そのナルトを見つめるカカシは傷だらけである
「でも、カカシ先生?サクラちゃんたちが入ってこなかったら寝室で服脱いで何するつもりだったんだってば?・・・もしかしてカカシ先生・・・寝る時裸族!?」
あらぬ疑いをかけられて苦笑いのカカシであるが、そこかしこから感じる殺気にも似た視線に、下手なことが言えずに「そうなんだよ〜」と、冷や汗を浮かべるしかない・・・


告白して付き合うことになったものの、メイクラブ寸前で乱入されたカカシ・・・
純潔は守ったものの、カップルになってしまった守護者チーム・・・
戦いの勝敗は、いたみ分け・・・


「24時間監視されてちゃナルトに手が出せないよ!!!!」
「「「「出させてたまるか!!!!!!!!!」」」」


今日も、何も知らないのはナルトだけ・・・

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