不幸の次にくるモノは?

俺ってば、いっつもそうなんだ。
ごはんが食べたかったら、誰かに食わせてもらうんだ。投げられたモノでも、捨てられたものでも食べないと生きていけない。
生きて行くには、しかたのないことなんだってわかってる。
生きていくためにはなんだってする。
あの人の隣にいるためには、この心なんて安いもの。
『ドカッ』
大きな音をたててけられるおなかも、血を吐いて倒れるまで振りおろされる鞭も、口に噛まされた轡に塗られた毒薬も全然へいき。
俺のからだは便利で、次の日には跡形もなく消えるから、なにされたって全然へいき。
・・・どんなに不幸でも、大好きな人のそばにいれるからへいきなんだ


「ナ〜ルト!!一緒に帰ろう?」
この人と一緒の世界にいるためには、俺はなんでもする。
いつも連れててもらう大好きなラーメン屋の代金を支払うために。
いつも付けてもらう修行で使う、忍具の手入れのために。
いつも一緒に帰ってくれる、お礼にだすコーヒーのために。
いつも来てくれるあの人が快適に過ごすために。
すべてはあの人のために。。。


『ゴキュ』
いやな音と共に、俺の腕が変な方向へ曲げられる。
「ギャー!!!」
さすがに痛くて悲鳴をあげたら、今まで俺を好き勝手に殴ったりしてた男がズボンを緩めて俺に精液を吐きかけた。
「悲鳴を聞くとコウフンするんだ・・・」
にやりと笑った男が、俺に結構な札を投げてくる。
「治療費と口止めね?早く治して、また折らせて?」
去っていく男を足元しか見えなかった視線で追う。あの男には買われないようにしよう・・・
「グアー!!」
ちょうど男が角を曲がったとおもった瞬間、その男の悲鳴が聞こえて真っ二つに切られたのどから上が転がってた。
「ナ〜ルト?どうしてなにもいってくれなかったの?」
かえり血を浴びることもなく、ただ真っ赤に染まったクナイを拭って、俺に近づいてくる俺の大好きな人。
「・・・カ・・・カカシ先生・・・どうしてここに?」
俺は腕が痛いのなんか忘れて、カカシ先生にこの姿を見られた恥ずかしさにうつむく。
「俺が殺したこいつが、連続レイプ殺人鬼でさ。暗殺っていうか排斥の依頼だったの。こいつに犯されて殺された姉の仇を取るって依頼でさ。」
そう言って、カカシ先生の後ろにいた見たことあるようなないような連中が、首と胴を回収して去っていく。
「ナルトはどうしてここにいるの?あいつを調査する上で、尾行したりしてた時にある程度見てたんだけど、どうしてあんな連中に買われたの?こうなることなんてわかりきってたでしょ?」
カカシ先生は俺を抱きあげて病院に連れて行ってくれた。俺は申し訳なくて恥ずかしくて、でも迷惑をかけたのは知ってたから、これ以上かけたくなくて、財布からお金を出して、治療費を払った。
「どうしてそんなにお金があるのか、疑問に思わないこともなかったんだけどさ。」
風呂に入れられて、頭からシャワーをかけられる。体中に付いた泥を落としてたら、
「・・・汚いねぇ・・・」
カカシ先生がぽそって言った。あぁ、俺は汚いのか・・・
カカシ先生が持ってたシャワーヘッドを口に突っ込んで、男に引っ張られた下を思いっきり洗う。そしたら今度は、男に飲まされた唾液を吐きだしたくて指を口に入れる
「ゲ・・・ゲェェ・・・ゴッフ・・・」
それでもきれいになった感じしなくて、もう一回やろうとしたらカカシ先生に抱きしめられた。
「ちゃんと気づいてあげられなくてごめんね」
「ちがうんだってば、俺はお金が欲しかったの。カカシ先生とラーメンに行きたかったんだってば。修行付けてもらうためにあたらしい巻物も買わなきゃいけないし、クナイ磨く粉だっていいモノ使わないと・・・それに!!・・・一緒にいたかったんだってば・・・」
俺なりの精いっぱいの言葉に、カカシ先生が笑う。
「そっか。じゃ、ずっと一緒にいよう?俺はナルトが好きだよ」
片目しか見えてないカカシ先生の視線がものっすごい真剣で、俺が何度もうなずくから、カカシ先生が笑った。


そのままカカシ先生も服を脱いで、一緒にお風呂に入ることになった。ちょっと恥ずかしい・・・。
「ナルトはな〜・・・もうちょっと甘えることをしりなさいヨ。」
きれいに折れてたおかげで治りもはやそうな、でも今日はギブスに固定されて、フロ対策でビニール巻かれてる俺の腕を撫でて笑う。
「なんでも言って?思ったこと全部。今日あったことも、明日の予定も。欲しいモノ、欲しい言葉も。俺も言ってくれなきゃわかんないこといっぱいあるからナルトは隠さずになんでも言って。どんなことでも聞く。どんなものでもそろえてあげるから。抱え込まないで?俺に心配させてなさいヨ。」
俺の髪をいじくりながらはなすカカシ先生の言葉が嬉しくて、また泣きながらうなずくことしかできなかった。
「俺ってば・・・幸せ。」


  FIN
おまけ
その後、困ったことにカカシ先生は俺がちろっと「いいなぁ」とか「きれい」とか言ったモノなんでも買っちゃうし集めちゃうし、いらないと思っても「ナルトに似合うと思って」とかいって勝手に買ってきちゃって、俺ってばちょっと困ってる。
カカシ先生の前では言葉を気をつけないと・・・。

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