浮気性の俺×自傷気味の君1

「お!!今日もさんまかい?」
「うん。カカシ先生が好きなんだ」
そう言って、今日も俺はさんまを1匹買うんだ。どうせたべられることなく捨てられるだろうかわいそうなさんまは、まるで俺みたい。食べられることなく所有されて捨てられる。
俺は今生きてるの?
どうなんだろう・・・
あぁ・・・そうだ。切ってみよう・・・
手入れしたクナイで手首を切り裂いてみたら、血が出た。真っ赤で熱い俺の生きてる証。
今日はこのままぐっすりねれそ・・・う・・・だ・・・



俺の名前ははたけカカシ。
言わずと知れた木の葉のエース。ナルトの彼氏!でも、最近はめったに家に帰らないんだよね・・・なんでかって?そりゃ、俺だって男ですから?溜まるワケですよ・・・それを幼い恋人にあてるワケにもいかないし、なによりな〜んか最近めんどくさいんだよね?なんていうの?束縛されてるって感じ?「どこにいくの?」「何時に帰ってくる?」「夕飯は一緒に食べられる?」「一緒に帰ろう?」ナルトはかわいいし、手放すきも全くないんだけど、ここ2週間は手っ取り早くヤらせてくれそうな尻軽女の家に泊まったり、お店のおねぇ様にお相手していただいてそのままお泊まりしちゃったり・・・。着替えに帰ってもナルトは
「おかえりってばよ!!任務大変だってばねぇ?」
って笑ってくれる。酒の匂いプンプンでも、香水のにおいプンプンでも気付かずに任務って思っててくれる。かわいいかわいい俺のナルト。ちょっとおバカさんでホント助かるよ。
普段は歩かない商店街を考え事しながら歩いてたら、魚屋のおっちゃんに声をかけられた。
「おぅ!カカシさん!!ナルトがまたさんま買っていったぞ!あんたも好きだねぇ!!俺がナルトに教えてやったさんまの蒲焼丼うまかっただろう!!」
でっかい声にびっくりしてた俺にさらに衝撃が襲う。
ナルトは毎日俺に夕飯を用意してたの?
ちょっと待って!!だって・・・だって毎日任務だっていっておいたじゃない!帰ってくるのは明け方だって!下忍任務の後にいっつも「じゃ、一楽にでもすっかな」って笑ってたじゃない。
「おいしかったです。ナルトは今日はサンマ2本だけですか?」
なにげなくあたりさわりのない会話をする
「何言ってんだい!?ナルトはいっつもサンマ一本だけだよ!!ナルトはいくら言っても一本しかかわねぇンだよ・・・あんなガリガリに痩せちまって・・・あんたも言ってやってくれよ!!・・・ヘイラッシャイ!!」
威勢の良い声で主婦の相手をし出した店主に背を向けて、俺は待機所に向かって歩き出した。
そういえば、最近後ろめたくてナルトを直視できてないな・・・そんなに痩せてたっけ?

「あらカカシ先生!昨日のおナスどうでした?おいしかったでしょう?2日に一回はナルちゃんが買いに来て、『一番おいしいの頂戴』て言うのよ。もう!!愛されてるわねぇ色男!!」
八百屋のおかみさんが客との会話の合間に俺に声をかけてきた。
昨日、ナルトはおれのためにナスを買ってたのか。なすとサンマを交互に買って、俺のかえりを待ってたの?ずっと毎日、料理を作って・・・

ぼんやり考えながら歩いていたら、いつの間にか待機所についてた。
「おいカカシ!!」
アスマがちょうど待機所に入ろうとしてた俺を廊下にさらった。
昨日の夜から今朝にかけて単独で任務に就いていた俺は、今日は待機でカカシ班はアスマ班と一緒に川の掃除だった。
「なに?うちの子たちなんかした?」
「なんかしたじゃねぇ!!なんだあいつは!!」
怒鳴られたってその内容がわからない・・・どういうこと?
「ナルトがまた馬鹿やったの?ごめ〜んね?」
「バカ野郎!!!!」
でっかい声でどなられてびっくりしちゃった
「なによ?」
「お前・・・ナルトにちゃんと飯食わせてんのか?」
「なに?また熱出した?」
まったく意味がわからない。なんでこんなに怒ってんのコイツ・・・大きい声出さないでよ・・・今朝まで任務で、夕方の今やっと帰って来たんだから寝てないのよ・・・
「・・・お前。ちょっと来い」
そういって、アスマに連れられて街を見下ろせる窓際に立った
「!?」
俺が見たのは、真っ青な顔でずいぶんやせ細ったナルトだった。
「わかったか?」
アスマの言葉に無言でうなずいた。
「・・・今日はこのまま俺が焼き肉に連れて行ってやるっていってそこでまたせてんだ・お前に現状把握してもらわにゃどうにもならんからな・・・。最近、家に帰ってないんだろう?お前毎日違う香水のにおいプンプンさせてたからな・・・」
もう、頭がすっからかんになった。君を傷つけたくなくて避けていたこの日々が君をズタボロにするなんて・・・


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