感情×愛情3

ストンって感じでナルトの精神世界の深層に降り立った。
正確に言うと、イノイチさんの術でナルトの精神世界を脳内に投影してもらってる。
ナルトがみているモノ、感じているモノをダイレクトに俺の感覚につながっている。
俺がこうして暗くて寒いと感じてるってことは、ナルトもそう感じてるんだ。
ナルトの心の中は真っ暗で寒くてなんにもない。
まっくらな中に切れ目のように点在している光がある。
それに希望を持って近寄ってみると、誰かが飴をくれた。
なぁんだ・・・暖かいじゃないのよ・・・ん?
飴をなめた直後に苦しくなった。
肺を焼くような、のどを切り裂くような痛みにのたうちまわってたら周りから笑い声が聞こえて、声は次第に遠ざかっていく。誰も助けてくれなかった。

すっと楽になった瞬間、
今度は誰かに掴まれた。
乱暴に影に引き込まれて殴られけられて、痛みにのたうちまわってたらたまたま見上げた先にあった大人の顔がゆがんだ笑顔で冷酷に見下ろしていた。

また、すっと楽になった・・・
今度は任務が終わってからサスケとサクラが依頼主からおかしをもらってる・・・
あぁ・・・こっちをみて睨んでる
体は痛くないのにどうしてこんなにつらいんだろう・・・
これはイタイな・・・

今度はイタイままだ・・・
あれ?
これは・・・俺?
ナルトの精神世界なんだから俺が登場してもまったく違和感がないんだけどさ。
だって、簡単に言ってしまえば今の俺はナルトなんだから。
あぁ・・・そういえば告白されてすぐに手をつないで俺の家に行ってそのままエッチしたんだっけ?
こんなに心があったかくなってたんだね?
ナルト・・・お前はこんなに手が早くてクセの悪い俺に抱かれてこんなにも嬉しかったんだ・・・こんなにも暖かくなっていたんだね・・・
あれ?

すぐに暖かかった心は冷め出した
俺が知らない女と歩いてるのを見た。
ナルトの心に戸惑いが生まれた・・・そのまま俺の家に入っていくまでずっと見てる。そして、俺が女を抱く声が聞こえた瞬間。
ナルトの心とリンクしてる俺の心がキシキシときしみだした。
そこから、俺が女と出かけるのをみおくる映像。
女を抱いているダイレクトな映像。
抱いた女を腕に抱えたまま眠る俺の映像。
そして、ナルトの部屋で女を抱いてた時の、玄関前に立ち尽くしている映像・・・
残酷ってこういうことをいうのカモしれない。
ナルトは俺への愛情をこんなにも持っててくれてるんだって感じた。
だって、俺が女を抱くたびにナルトは自分を責めるんだ。
さすがに俺がナルトの家で女を抱いているのがわかった瞬間に焼き切れるかのように感情が流れる

どうして・・・
ひどいよ・・・
くるしい・・・
もう・・・
いやだ・・・
ヘエキジャナイヨ
オレダケヲミテ
ココニイルヨ
オレダケヲアイシテ


モウ
ツカレタヨ

そして、寝室から出てきた俺の目は、冷酷にナルトを見下ろしていた・・・

「キャーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


ナルトの絶叫の声とともに精神世界から戻った俺は、涙が止まらなかった。
ヒドイ男だった俺に深い愛を持っていてくれたナルト。
俺に抱かれたあの日のあの暖かさ。
幸せってきっとあんな温度何だと思う。
あんなに俺を一心に愛してくれてるこの子を思うとすっごく愛おしいのに、今のこの子の心は冷え切ってて冷たい。
俺がそうしてしまったんだ・・・
「ナルトの今の状態は・・・」
涙を流したままなことを気にしないでイノイチさんに聞いたら、帰ってきた答えは最悪だった
「精神崩壊を起こしてる。きっと起きてもナルトは感情がない・・・」
「俺が面倒を見ます。ナルトに帰ってきてほしいから。
・・・もう二度とあんな思いさせません・・・」

うなずいたイノイチさんと共に火影様に報告をすると、案外簡単に許可が下りて俺はナルトのお世話が日々の任務となる・・・

  つづく

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