桃色ウィルス

木の葉の里に蔓延する新型のインフルエンザウィルス。
わがまま、甘えんぼがその症状・・・その名も「桃色ウィルス」


「今日は畑の除草作業です〜。無農薬の野菜だから、手でひっこぬいてね!!サスケはここで、サクラは真ん中。ナルトは一番むこうね!!汚れるからズボンのすそあげて、上もまくった方がいいね。それじゃ。任務開始!!」
除草の任務中である第7班はせっせと中腰で任務に精を出している・・・
もちろんカカシは木の上でイチャパラ見つつ、のんびりしてる・・・
そんな中、
「ハックション!!」
寒空の下で日がな一日中雑草を抜いていたナルトが突然くしゃみと共に膝を抱えた。
サクラとサスケの心配しつつも怒っている表情での言葉にナルトがぐずりだす
「やぁだぁぁぁぁ・・・寒いってば!!サスケ〜抱っこ〜!!サクラちゃ〜んねむいよぉぉ」
グジグジと顔をこすりつつ、なんだか様子のおかしいナルト・・・サクラとサスケは手を止めてナルトに近づく。すると、
「あ〜らら・・・桃色ウィルスかねぇ・・・」
様子のおかしい生徒たちに気づき、カカシが木から降りて様子を窺いに来た。
「「カカシ(先生)!!」」
普段は任務完了まで降りてこないカカシの登場に安心しつつも驚いてサスケ、サクラは声を上げる。
「ん〜・・・このままじゃ任務もへったくれもないから、今日は先生が任務手伝います」
その声と共に大量の影分身と口寄せされた忍犬。あっという間に残りを終わらせ、グジグジと自分の主張をしっぱなしのナルトに話しかける。
「ナルト〜?かえるよぉ?」
「歩くのやぁだぁ」
「じゃあかえらないの?」
「かえるぅぅぅぅぅ」
「歩かないと帰れないでしょ?」
「抱っこぉぉぉぉぉ」
しょうがないなぁなどと言ってナルトを抱っこするカカシ、しかし、サクラは見た!!
ナルトが抱っこと言った瞬間に恐ろしいほどにニヤ付いた目を!!口元を!!
かいがいしくナルトの荷物を持ち、「行くぞ」と声をかけたサスケは気づいていなかったが、ナルトが心配で側にいたサクラは不幸にも見てしまったのである・・・
「触らぬ神にたたりなし」を心得ているサクラは何も見なかったとでもいうようにサスケの隣を歩きつつ、「お見舞いは絶対に行かないほうがいい」と。サスケと話し合って決めた・・・

里に戻り、サクラとサスケに報告書を提出しに行く。「あいつら大丈夫か」と心配げなサスケにサクラが「あの二人なら大丈夫」と、やけに迫力のあるサクラ・・・
サクラにおされぎみではあるが、サスケは興味を無くしたように受付へサクラを伴い歩いて行く。



一方
「さぁ!!ナルト〜。俺のうち付いたから一回おりてねぇ?」
絶賛デレデレ中のカカシは、桃色ウィルスにかかってあまえたがりの我がままちゃんになってしまったナルトを甘やかすだけ甘やかし、商店街でナルトが欲しいといったモノなんでも買い与え、抱っこと言われれば抱っこ、おんぶと言われればおんぶ、そんなこんなでちゃっかり自分の家へ
「いやぁだぁ。抱っこなの!!」
カカシの首につかまって降りてくれないナルトを「ヨッ」と抱え直し、器用に片手で靴を脱ぎ、ナルトの靴も脱がせて寝室のベットにナルトを寝かせる。
「イイ子で寝ててくれたらご褒美あげるからねぇ?」
とか、世の女性が聞いたら砂吐きそうなくらいの甘い声で囁き、寝室を後にして、キッチンで軽くおかゆを作り、熱さましのシートと、開発されたばかりの桃色ウィルスの特効薬をもってナルトの元へ戻れば、ベッドにはほっぺを膨らませてご機嫌斜めなナルト・・・
「ナルト〜?どしたのよ?」
「ちゃんとまってたってばよ!!ごほうびは!?」
カカシの手にはご褒美らしきものがない。ナルトはこのことを怒っているらしい・・・
「ナルトはご褒美なにがいいのかなぁ?」
デレデレデレデレ・・・・・・きもちわr・・・不思議な笑顔を浮かべてやにさがっているカカシに、ナルトが近付く。
『ちゅ』
カカシの頬に当たったマシュマロのようなナルトのリップ・・・
「ぐはっ!!ナルト!!!!!!!!!!」
カカシ悶絶!!
木の葉最強の忍をワンパンならぬワンリップでノックアウト!!
「カカシ先生も俺にチューするってばよ〜。
あと、撫で撫でするってば〜。
あとごはんはあ〜んしてくんなきゃ食べないってば!!」
カカシは自らが吹き出した鼻血の海で溺れる・・・
しかも、ナルトは桃色ウィルスで熱があるためにほんのり赤くなっているほっぺをカカシに向けて待ち構えている。「今なら笑って死ねる!!!」と、カカシが幸福に浸っているのもつかの間、ナルトは「ちゅ〜」とか「抱っこ〜」とか「撫でてくんなきゃヤダ」とかダダをこね出したらもう大忙し。ナルトの要望のままに抱っこしてベットに入り、手はナルトの頭に、顔はナルトのほっぺに、枕元にある桃色ウィルスの特効薬は放置して、かいがいしく世話をする。
カカシが思う存分ナルトのわがままを楽しみ、ナルトは思う存分わがまま甘えんぼになり、お互い疲れ、眠りにつく
「だっこ〜!!」
「はいはい」
さいごまでわがままなナルトの要望を嬉しそうに聞き入れ、カカシは眠りに就いた。




「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」
一方受付ではただならぬ悲鳴が聞こえてきていた。
それは報告に向かったサクラとサスケが、カカシからわたされた依頼書を読んだから・・・報告書を製作するに当たり、読んでいたら・・・
『依頼;桃色ウィルスにより家族全員が動けなくなってしまった為、その一家の畑の除草を手伝うこと。桃色ウィルスは感染力が強いが、一定の範囲外であれば問題なし。屋畑の3分の1は感染範囲内であるため、除草作業は行わないこと。万一感染した場合には、班員全員を7日間の自宅待機とする。』
「あの変態上忍・・・ナルトが一番屋敷に近い所で草むしらせてやがった・・・!!
確信犯か!!!!!!!」
「そういえば今日の任務はやけに場所の指示が出てたわよね・・・しかもナルトが変だった時やけに早いタイミングで出てきたし・・・
「「ナルト!!!!!」」



(いろんな意味で)ナルトが心配であったサスケとサクラが見舞いに来て見たものは、ナルトに腕枕をして優しく抱っこして眠るカカシと、カカシの腕に収まって熟睡のナルト・・・それと、ベットの上の特効薬であった・・・
「「変態教師が〜!!!!!」」
サスケとサクラの絶叫と共に放たれる殺気で起きたカカシはそのあとこっぴどく罵られ、ナルトはサクラによって特効薬を飲まされて無事完治したのであるが、カカシはしばらくサスケとサクラに守られたナルトに近づくこともできなかった。




                        FIN

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