カカシ、狐と食事する

「くわぁぁぁぁ・・・」
イイ感じに夕食の準備が終わったころにナルトが目を覚ました。
「コンコン・・・」
おなかがすいたと言いたげに手をおなかに当てて、カカシに熱視線を送りつつ、とぼとぼと歩いてくる。
「ナルト。おっきしたの?」
「ちたにょ」
ごしごしこする目元が赤くなっているナルトはなんやかんやですっぽんぽん・・・さきほど帰ってきた影分身が買ってきた浴衣を見せて「どれにする?」なんてナルトにきけば、ヒヨコさんが書いている浴衣を指差す。
浴衣を羽織らせ、クシュクシュの帯を結ぶ。
「コンコン・・・にゃかちゅいた」
「・・・これは『おなかすいた』かな?」なんてだんだんとナルト語を理解し出したカカシは、ナルトにテーブルを指差しつつ「そこにすわってってね」と促し、自分はキッチンに向かい先ほど作っておいた豚肉と野菜のスープを盛り付ける。



「ナルトぉ?なんでそこ?」
ナルトがいるのはテーブルの下
「あぶにゃいの・・・ハグハグ・・・隠れてハグハグ・・・」
・・・ナルト語理解不能・・・『ボフン!!』
「パックン・・・ふがいない俺の代わりにナルトの言葉を聞いてくれ・・・」
「・・・」
「・・・ジャーキーあげるから・・・」
「・・・」
「・・・3本」
「ナルトや。なぜそんなところにおるのじゃ?」
交渉成立したらしく、嘆息しつつもパックンがナルトに話し出す。
「こんこんこん!!こぉぉぉぉん!!こんこん〜こん・・・」
「ふむふむ・・・森で狩りをして、飯を食っているときに大きな獣に襲われそうになったから、飯は隠れて食べないと危ないのよぉ!!ダメなのよ〜!!・・・と言っておるぞ。」
ナルトはしきりに「ぶないにょよ!!めっよ〜!!」とパックンの言葉に反応している。
「ナルト〜ここは危なくないからお座りしてたべようねぇ?」
カカシの言葉にテーブルから出てきたものの、ちょこんとお座りしたのはフローリングで、椅子など見えていないように『タシタシ』と小さな紅葉の手で自分の目の前をたたき、テーブルに乗っているスープを指差して
「こん!!」
と鳴く。
「カカシ・・・お座りしたからごはん〜!!・・・と、言っているぞ。」
「大丈夫。今のはちょっと理解できた。」
パックンは「なら良い」と、自分もお座りをしてカカシを見上げて「俺の飯も」と催促する。
「まぁ・・・これからはずっと一緒だし、ナルト語もゆっくり理解していくさ。ナルトにしつけもしなきゃだしね。」
カカシはぼそっと独り言を言ったが、狐の耳には大きく響いたらしく
「いっちょ?」
ナルトが首をクリンっとかしげてカカシの言葉を繰り返す
「そうだよぉ。ナルトと俺は今日からずっと一緒だよ?」
「・・・かえるないの?」
「・・・ナルトのおうちは今日からここだよ。」
ナルトは「おうち・・・おうち・・・」と繰り返している。パックンが小さく「巣穴じゃ」と言えば、なるほど。とでもいうように進出単語の「おうち」を繰り返す
「なうのおうち。なうのおうち・・・帰る・・・ないの?」
こんどはカカシを指差してコテンッと首を傾ける。「これは俺は帰らないのかっていみかな」などと考えつつパックンを見れば「そうだ」というような目配せがとんでくる。
「ナルト〜。俺とナルトはずっと一緒だよ?ここはナルトの家であり、俺の家でもあるんだよ。」
なんとなく理解したらしく、ナルトの尻尾が嬉しそうにパタパタ揺れる
「帰るない!!帰るない!!」
嬉しそうに繰り返す言葉が「カカシが帰らない」という意味だということをはっきり理解して「もう帰ってきてるんだよ?」と、ナルトの頭を撫でてやる。
森で一人ぼっちだった時間が長かったナルトはだれかがそばにいるだけで嬉しくてたまらない。それがずっと一緒と言われれば、ナルトは幸せで仕方がない。
ニコニコと笑顔のナルトを見つつ、カカシは「今日だけはいっか」なんて考えつつ、ナルトの前にスープ皿を置く。ちょっと底に厚みがある皿に顔を突っ込んで食べるナルトは嬉しそうで、楽しそうで、カカシは自分もフローリングに座ってナルトの笑顔を見ながら食事をした。


「コンコンコン!!!」
ナルトが食事を終えた後、片づけものをするカカシの足元に座って大きな声で鳴いた。
「?」
カカシはパックンの方を見て通訳を聞こうとするが、ナルトがカカシのズボンを引っ張ったので、下を向く
「コンコン・・・・なう・・・?」
ナルトがナルト自身を指差しながら「なう」と言って、カカシを指差しながら首をかしげる。「名前をきかれてるのかな?」と理解したカカシは、水道を止めて、ナルトの目線までしゃがみこみゆっくりと
「カカシ」
と、発音する。ゆっくりとナルトの頬を撫でてもう一度己の名前を繰り返し、「が〜」「し〜」と練習(?)しているナルトを見ていると
「かぁち」
小さく小さく、ナルトがカカシの名を呼んだ。


「ナルト〜」
「かぁし〜」
「ナルトはちょっと練習したらすぐに上手になったねぇ」
頭を撫でて、大きな耳を触れば嬉しそうにピクピクと動かす。
「かぁし〜かぁし〜コンコンコン!!」
せっかく名前を呼ばれても、要求がわからない・・・カカシはちらっとパックンを見れば「抱っこだと言っている」と、小声でカカシに教えるが、狐耳のナルトにはやりとり丸聞こえ・・・
「かぁし〜・・・なう・・・コンコンしないもん・・・」
プックリとほっぺを膨らませて、人語マスターを目標に掲げるナルトなのでした・・・
「コンコン・・・狐の言葉のことかな・・・」
一方でカカシもナルト語マスターを目標に掲げたのでした・・・


                     FIN



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