迷子の迷子の狐さん・・・

「迷子の迷子の狐さん
あなたのおうちはどこですか?」
リズミカルに口ずさまれる小唄を余所に、狩人の小屋にて縛られて床に転がされている狐が一匹・・・
「なぅのおうちはかぁしがいりゅの!!!!」
狐もとい、ナルトが一匹・・・
「うわっ!!!狐が喋った!!!」
なにもしらない狩人さんびっくり・・・あまつさえ
『ポン』
「こぇ、いちゃい!!」
人型になって縄をほどきにかかるナルトを見た日には
「ぎゃーーーーー」
狩人は小屋からダッシュで逃げだし、ナルトはその小屋に置き去りに・・・
「なぅと・・・おにゃかしゅいた・・・」
チャクラを手にまとわせて縄を切るなんておちゃのこさいさいなナルトは、小屋を出てコテコテと歩き出す・・・が・・・
「こんこんこん?」
「ガーウー・・・」
たまたま通りかかった狼さんに尋ねてみても、木の葉の里の場所がわからない・・・
こんな時に限って緊急用のリュックは置いてきてしまった・・・と、いうかお散歩中に引っかかった罠の場所に落として来たようで、ナルトは困ってその場に座り込んでしまった。
「・・・かぁしぃぃぃぃぃぃぃ・・・」
しまいにはグスグス泣いていると・・・
「ナルトくん?」
見慣れた仮面をつけた集団が木の上から下りてきた。
カカシも在籍している暗部の小隊だ。
ナルトが見る限りではみんな傷だらけでしんがりに居る暗部は背後を気にしてクナイを構えている。
「ナルトくん!!ここは危険だ!!木の葉に帰るんだ!!」
「なぅと・・・わきゃんないの・・・」
『ヒュン!!!』
ナルトが迷子の旨を伝えようとした瞬間、ナルトの視界に入っていた暗部が一人、ひざをついて倒れた。
「敵襲!」
一言の後に暗部の面々はナルトを背に隠してクナイを構える!
「ナルトクン!!連れて帰ってあげたいが、我々は皆手負いだ。すまないがなんとか逃げ切ってくれ!!」
そういって、暗部の一人がナルトに里への道を指さす。
しかし、ナルトは一向に動き出さない。
「ナルトクン!!我々はもう・・・」
暗部の一人が振り返った瞬間、恐ろしいチャクラを発生させたナルトが敵忍を次々に倒していく。
「なぅとはおにゃかちゅいたの!!かぁしのところにきゃえるのじゃましないで!!」
そんな言葉と共に、暗部の小隊ですら倒せなかった抜け忍集団をモノの5分ほどで仕留めて、あまつさえ
「なぅとがなおしてあげりゅ〜」
なんて言って、みんなのけがをなめればみるみる傷口がふさがっていく。
さきほどまで手負いで、皆が満身創痍だったのがウソのように、隊長がナルトを抱えて、木々の波間を全速力で駆け抜けていく。
「かぁしにはなぅとがおちゃんぽちてたのないしょね〜?」
抱っこされて里が見えてきて安心したナルトが腕の中でオネダリすれば、隊長がほほ笑んで、隊員に緘口令をひいた。


「カカシさん」
里の受付で任務完了の報告をしているカカシに、遠征任務に行っているはずの暗部小隊の隊長がナルトを差し出す
「なんで?」
「そこで拾いまして・・・」
こまかな事をなにも言わず、ただナルトが里を散歩していたんだと説明して、暗部の面々は火影の待つ執務室に消えていく。
ナルトが嬉しそうに尻尾を振ったのを確認しながら・・・


  FIN

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