ナルトとわんわん会議

「さて、今日はわんわん会議だよね?俺はちょっと飲み会が入ってるからお迎えがおそくなるかも知れないから、忍犬と一緒に居てね?」
カカシがおもむろに忍服から普段着に着替えて、夜風があたる大きな窓の横で狐姿でゴロゴロしているナルトに話しかける。
最近のナルトのお気に入りは、大きな窓を網戸にしてもらった状態でゴロゴロすることなのである。
日中はだいぶ暑くなってきたこのごろ、しかし夕暮れから夜は風が気持ちいい過ごしやすい環境なのである。
残念ながらひざにあまりきてくれなくなったカカシには不評であるが、そこはいとしいナルトのために我慢我慢・・・


今日は月に一度の犬たちの寄り合いの日である。
毎月満月の日に行われる犬会議に狐のナルトも参加させてもらっている。
ただし、ほかの野良犬や忍犬たちとは違い、カカシの送り迎え付き。
いつもは2時間以内に終わればナルトは「コン」と鳴けばカカシが迎えに来ているし、2時間を超えてしまうとカカシが迎えに来て早退させてもらう感じなのである。もちろん、最初こそ驚いていた犬たちもナルト自身のもつかわいらしさをしんぱいするカカシノ気持ちもわかるし、主人である忍がこぼすカカシの自慢話の愚痴を聞いているので、最近はきにすることなく見送っている。

そして今日は満月。
犬集会の日である・・・
「かぁし〜・・・なぅとひちょりでかえれるよ?」
ナルトが人型に戻って自慢げに胸を張って言ってみても
「夜は危ないからだぁめ。ナルトは前にもさらわれそうになってるんだから気をつけなくちゃ」
せっせとお出かけ用のチョーカーをナルトに付けて、これでよし!とばかりにしげしげと全身を見るカカシ。
ちなみにこのチョーカーは狐型になるとゆる〜い首輪になります。
日替わりでその日の服装にあったモノをカカシがチョイスしてナルトにつけてあげるのが日常です。
「さ、遅刻しちゃうと大変だからそろそろ行こうか」
『ポン』
わんわん会議には狐姿で出席するナルトは、さっさと狐になってカカシノ腕に抱かれて家を出ます。


「コンコンコ〜ン」
瞬身で連れて行ってもらったナルトは颯爽と任務へ赴くカカシを見送って、その姿が見えなくなってから会議に向かい、集まった犬たちとの会議が始まる。
「わんわんわん(最近、佐藤さんの家に新しい忍犬がきたんだけど、そいつがすっげぇ美人のパピヨンでさぁ・・・)」
「ワン!!(俺も見た!!)」
「わぅん!わわわぅぅぅん!!!(ありゃ高飛車だぜぇ!なにせ血統書付だってよ!!!)」
「ワン・・・ワンワンワンワン・・・ワワン(マジか・・・美人は遠くから眺めてるのが一番ってことかっ!!!)」
・・・会議です。
これはわんわん会議です・・・
ただの井戸端会議ですが、わんわん会議です。
「コンコンコン?(そんなにかわいいの?)」
興味深々で話に入ってくるナルトに、忍犬たちは苦い顔・・・
「わぅん・・・わんわん・・・(なんやかんや・・・お前が一番かわいいんだけどさ・・・)」
通常の人間の言葉で話してしまえばきっとカカシが駆けつけてきてナルトを奪うだろうこと請け合いの言葉も、犬の言葉から大丈夫・・・
忍犬たちは口々にナルトはかわいい、ナルトが一番と吠える・・・
しかし・・・
「ワンワン、ワンワン・・・(ナルトを見慣れちゃうと、ハードル上がるよな・・・)」
「わぅん(そうなんだよ)」
「わん!わん!わん!(大きな目!大きな耳!大きな尻尾!)」
「わぉぉぉぉん!!(理想の姿だよ!!)」
「・・・わぅぅぅぅぅぅぅ・・・わぅわぅ(・・・でも狐だしオスだしカカシさん怖いんだよ・・・俺たちの理想だけが上がっていく)」
せつなげなコソコソ会話にナルトがハテナマークを頭に浮かべていると、年嵩の老犬が吠える
「ぅわん!!(そろそろ解散するぞ!!)」
その一言にワンワンと会話をしている面々がそろそろと解散し出す。
しかし・・・
「わぅん?(カカシさんは?)」
「こんこん(今日は任務なの)」
「わん?(待つのか?)」
「コンコンコン・・・(カカシが待ってろって)」
「わんわんわんわんわん!!!(じゃ、俺も一緒に待っててやるよ!!)」
「ワワン!ワゥンワンワン(俺も一緒に待つよ!!遊ぼうぜ)」
そう言って、静かにナルトの横に控えていたカカシの忍犬までも混ぜて、みんなで追いかけっこをして遊びだした犬たち。


「ナルトお待たせ〜・・・ッテうわっ!!」
カカシが迎えに行ったときは全身泥まみれの砂まみれ。ナルトだけでなく、ナルトと一緒に遊んでいた忍犬たちも泥まみれでハッハッと息を荒げている。
「楽しかった?」
仕方ないとばかりにいちどため息をついたカカシも、満足げに舌をだしてきらきらした目を向けてくるナルト達全員の頭をそっと撫でて軽く土を払ってやる
「お前たちもありがとね?それぞれのご主人たちには俺から明日お礼をいっておくよ」
にっこり笑って忍犬たちを引き連れてナルトを抱っこして帰っていくカカシ。
「ワンワン〜(またあそぼうな〜)」
その背に向けて鳴く犬たちに、カカシはなんとなく不快感を覚えるのであった・・・


  FIN


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