カカシ、ふてくされる

「ナルト?なにしてんの?」
「・・・」
うららかな休日。けだるい午後。いつもであればナルトと仲良くお昼寝の時間・・・
しかし、カカシは先ほどからソファに座ってうんうん唸っているナルトの隣で少しさみしげに名を呼ぶばかり・・・
ナルトはといえば、先ほどからずっとテレビに夢中・・・
木の葉戦隊ゴーニンジャーにすっかり夢中・・・
「ナルトォ?」
「・・・ちょっとまちゅのよ?」
さきほどから画面から一切目を離さずにずっと真剣に前のめりになって見ているナルトに、レンジャーものの魅力に取りつかれたことのないおとなはすっかりご機嫌ななめ。
「もう!!ナルトが無視するなら俺一人でお買いもの行こうかなぁ?」
なんて、カカシが気を引こうとちょっと大きめの声で言ってはみたものの・・・
「じゃぁ、なぅとはかぁしがかえってくぅのまってりゅかぁね?あぶらあげね?」
なんて、視線はテレビのままにおもいっきり手をフラれてしまった・・・
カカシは至極がっくりした様子で、そっと靴をはく
(・・・そんなこといってもきっとナルトは俺が家を出た瞬間に泣きながら一緒に行くってゴネるんだろうなぁ・・・)
なんて思いつつ、きっとそうだと祈りつつ、わざと大きな音を立てて玄関のドアを開ける。
「いってらっちゃい」
おざなりな・・・そりゃもうどうでもよさそうな声でお見送りの言葉を発したナルトに。カカシは玄関ドアを閉めた瞬間に泣きだす。
(どうすんのこれ!?俺テレビ以下!?むしろ、ナルトは俺なんて眼中になし!?)
泣きながらもナルトのためにと部屋に結界を張ってからいそいそとスーパーへ向かうカカシ。


「ただいまぁ」
「グスグス・・・あうぅ・・・」
帰ってくると聞こえるナルトの泣き声。
「ナルト!!一人にしてごめんね!!」
おもいっきりだきしめようとうする・・・が
「か・・・かぁし・・・あとにちて・・・いま・・・いいとこぉなの」
おもいっきり泣き顔のままにテレビを見続けるナルト。そこに映るのは、主人公の親友でライバルで恋敵が敵にやられてしまうというお決まりな感動シーン・・・
「ナ・・・ナルト・・・!!」
自分が置いていったことに対して泣いているのかとおもいきや邪険にされ、カカシはとぼとぼとキッチンに行って床に体育座りでふてくされる。


「がんばりゅのよぉ!!レッドォ!!」
ふてくされてしまったカカシをよそに、テレビではラストの合体ロボのお時間のようで、ナルトはソファに立ってとびはねながら応援している。
「・・・ナルトォ?・・・ご飯たべよう?」
つくってもいないのに・・・
それでも必死にナルトの気を引こうと油揚げをだし汁につける。
「もうちょっと!!!」
ナルトのいつになくはっきりした口調に、カカシはさきほどから流している滂沱の涙をさらに流して、それでもナルトのために昼食の準備をする。

『♪〜・・・』
テレビからエンディングテーマが流れるころ
「かぁし?」
ナルトがキッチンをのぞくと、そこには結局昼食を作った後にも「あとちょっと」と言われて心の折れたカカシが寝転がっていた
「・・・俺なんてテレビ以下なんだろ・・・」
とか、まだまだお子様なナルトに向かってブーブー言っていると
「かぁし?さみちかったの?」
ナルトがしっぽをふさふさ揺らしてカカシの隣にちょこんと座る。
「・・・」
「かぁし?なぅはかぁしが大好きよ?」
「・・・テレビの次にでしょ?」
心配そうに揺れるしっぽ
先ほどから立たない耳
なにより涙目のナルト
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」


カカシの不機嫌も、ふてくされてとんがった口も
ナルトが泣いてしまえばもうおしまい。
あれやこれやで機嫌をとって、結局仲良くお昼を食べる。

うららかな休日。けだるい午後。ナルトと仲良くお昼寝の時間・・・


   FIN

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