ナルト、混乱する1

「かぁし・・・めんちゃい・・・」
起きぬけ一発目に謝られたカカシは、なにがなんだかわからずにそっとナルトを包み込む。
「どうしたの?」
もうしわけなさそうに下を向いて涙をこらえているナルトに、カカシはなんともだらしなく顔をゆるめつつ、そっと上を向かせる
「・・・うぐぅ・・かぁしぃ・・・なぅとをきらいしないで!!」
なんとも必死の顔にカカシも尋常ではないモノを感じて真剣な顔になる
「俺はナニがあってもナルトを嫌いになんてならないよ?大丈夫!たとえナルトが俺を嫌いになっても、絶対に俺はナルト〜はなれないよ?」
真剣そのものの顔に、ナルトがヒグヒグと嗚咽を漏らしながら、決心したかのようにカカシの手ひいて寝室からリビングへ移動する



「こぇ」
そっと指差すナルト・・・
卒倒するカカシ・・・
「か・・・かぁしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」


な・・・なんと、カカシの大切な大切なイチャラパシリーズが、本棚から落ちて、ホットミルクに浸かっているではありませんか・・・
カカシが卒倒してしまっている間、ナルトが考える・・・


かぁしがばたんってなっちゃってうごきません・・・おくちからアワアワしてます・・・どういしよう・・・でも、かぁしはきっとなぅのこときぁいっていうかも・・・
ウルウル・・・
んんっ!!ぼくはりっぱでおとななせいじゅうのきつねだもん!!なかないもん!!
よし!!
ほかげのジィジならきっとなんとかしてくれるよ!!
じぃじ〜!!!!
『ポン』



狐の姿になったナルトは、本の一冊を咥えて颯爽と家を出ます。
そりゃもう大急ぎで、足にはチャクラ、尻尾でバランスをとりつつ、家々の屋根を火影邸に向けて颯爽とかけぬけます。
『バンッ』
「ジィジ〜!!!!!!!」
重要な書類に危うく判を押しそこねる寸前でなんとかとどめた火影が、声のする方向を眺めてみれば、かわいらいい狐
「ナルトや。そんなにあわててどうした?忍とは、常に冷静でいなくてはならんぞ?」
なんて、たしなめつつも席を立ってナルトの方へ歩み寄る。
「こ・・・これは!!」
ナルトの咥えている何ともアヤシゲなモノは、この里にいれば誰でもわかる。カカシ愛読のアレ牛乳風味・・・
「尻尾でバタンしちゃったにょ・・・こぼしちゃったの・・・。びっくぃしてピーってしたら、ご本がおちちゃったにょ・・・うぅぅぅゎぁああああああああああああああああああああんんっ!!!」
まさに絶叫。
今まで我慢していたものが一気に吹きだしてしまったらしく、おもいっきり号泣・・・
「じぃじたちゅけてぇぇぇ!!!」
さっきから唖然として立ったままの火影の服の裾をにぎって、エグエグとまだ泣いている。
「ワシとて時間は戻せんし・・・こうなったら、木の葉中の本屋に在庫がないか聞くしかあるまい」
そういって、火影は側に控えていた暗部に指示を出した。
「なんとかしてカカシが目覚める前に!!」
そんな支持を出す火影の横で、ナルトはさらに泣きだす。
「じぃじ・・・なぅと・・・かぁしにきぁいってされちゃったら・・・」
もう最悪の状態しか想像できない状態のナルトは、さきほどからずっと火影のすそを握ったままである。
「大丈夫じゃナルト。もしカカシがお主を嫌いだと言ったら、ワシの所にくればよかろう?」
なんて、甘やかすように抱っこをすれば、眉根を寄せてうなずく。
「でも、じぃじ・・・なぅとはかぁしにきぁいってしゃれたら、なぅとがかぁしごとボカンってしちゃうから、じぃじもいないよぉ?」
火影顔面蒼白・・・
ナルトのチャクラを考えれば、可能なことである。
きっと、この里の命運はカカシにかかっているのである。
可愛い顔とは裏腹の結構男前なナルトは、蒼白の火影に気付かず、抱きついて吉報を待つ・・・


つづく・・・

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