ナルト、大捜索

木の葉の上忍専用高級マンションの最上階。
それはそれは広い部屋の中、木の葉でも有数の頭脳を持つ忍が、小さな子どもを抱えてお着替えの途中・・・
「なんでこんなにかわいいんだろう・・・」
片や木の葉の忍の頂点にして、里の至宝車輪眼をもつ天才「はたけカカシ」
片やそのカカシの養い子にして、里の最高機密。九尾の狐「はたけナルト」
今日はふたり揃っての任務である。まだまだちんまい存在ではあるが、カカシのそばにいるからか、それとも本人の素質なのか、そこらの中忍よりずっと忍として優れた才能と技術を持つナルトに、火影は徐々に任務をさせることにしたのである。と、言うものナルトはそもそもは九尾の狐故に、野山を任務地とする任務には非常に優位に立つ存在故に今回の任務への参加となった。
その今回の任務は、『火の国奥地にある広大な樹海の中で、兵糧丸を探せ』という、まったく無理難題なのである。しかし、その兵糧玉は火の国の科学者の英知と技術の粋を集めた世界に一つのしさくひんなのだというが、それを作った科学者が転んだ際に落としてしまい、この任務が依頼されたというわけである。

そして、任務と言えどお出かけにウキウキのナルトは、火影がわざわざ特注したナルト用の尻尾穴付き、耳にひっかからないファスナー仕様の忍服をイソイソと着込んでおめかし中である。
「かぁし〜!!」
なんとか自分できてみるも、背中のチャックはあげられず、七転八倒しているナルトをみてなんとも怪しげな視線を送って鑑賞していたカカシであるが、ナルトが涙目でお願いしてくれば、そんなニヤニヤも引っ込んでさっさとかけよる。
「はいはい。閉めてあげるから尻尾をよけなさい?」
さっきから尻尾でファスナーを閉めると子にチャレンジしていたナルトにそうして、準備万端でカカシの準備したナルト用リュックに乗り込む。
「かぁし!!なぅともう行くの!!」
早くとばかりに普段お留守番の時は絶対に入りたがらないリュックにいそいそと座って、まだ準備中のカカシをせかす。
「あらら・・・やる気マンマンだねぇ」
ニコニコしつつもナルトの機嫌が悪くならないよう、さっさと準備を済ませたカカシは、速攻で火影邸に連れていく。


「おはようナルト」
「じぃじおはよーごじゃましゅ!!」
元気にびしっと敬礼をしつつリュックからおろしてもらってテトテトと火影の前に立つ。
「はたけなぅと!!いってまいりましゅ!!」
普段はカカシが行ってしまうときのあいさつをカカシと共にびしっとあいさつをしてナルトが再びリュックに戻る。
「かぁし!!行くの!!」
もうやる気満々のナルトに半ば強制的に任務に行かされるカカシ。あれよあれよと部屋を出て行く二人を火影はほほえましくも心配そうに見送った。


「ナルト。これからは本当に任務だから、危なくなったら狐化してでもダッシュで逃げるんだよ?今日の任務は大丈夫だと思うけど・・・。」
刻々とうなずきつつもすでに目がキラキラして楽しそうなナルトになんとも不安を感じつつ、目を離さないようにしようと誓うカカシ。
「かぁしとにんむ〜」
調子っぱずれな音で謳うナルトの尻尾はフリフリ揺れて、カカシのリュックからおろしてもらえるのを今か今かと待っている。
「カカシさん!!」
火影の命で任務についているのはカカシ達だけでなく、モノ探しの得意な忍びが数人すでに任務についていた。広大な土地から探し出すモノは直径一センチもない小さなもの。いくら能力が高くてもなかなかみつからず、今回カカシ・・・と、いうか、ナルトに任務がまわってきたのである。
「さ、ナルト?これとおんなじのをさがしてるんだ」
そういってカカシはナルトの前に兵糧丸をだしてみせる。
「こぇをさがしゅの?」
「そうだよ?これを探しおわらないと帰れないんだよ?ナルトはここでプリンもチョコも油揚げもないままずっといなきゃいけないの・・・どんな事をしてもこれをみつけないと・・・」
カカシが涙ながらに言えば、ナルトには絶対の真実で・・・
「みちゅけるってば!!!!」
『ポン』
「コォォォォォォォォォン」
九尾の狐になったナルトが一声吠える。その声はチャクラとはまた違った不思議な力を乗せていて、妖狐たるナルトの力なのだろうと、カカシは一人納得する。
その声に反応するかのように、森の方々から遠吠えのような声が聞こえる。
そして、方々から現れる獣たち・・・
「なぅとはこぇのしゃがしてましゅ!!みちゅけてくだしゃい!!」
人型に戻ったナルトは、お座りしている獣たちにカカシの持っている兵糧丸をびしっと指さして、お願いする。
そうすると、それまでナルトに視線を寄せていた獣たちがその場を去っていく。
「・・・ナルト?」
「まちゅの。そしたらみんながみちゅけてくれぅの」
人がさがすよりも獣たちが探したほうが確かにずっと早いかもしれない・・・
「この森はおこってぅの。その人たちが森をきじゅつけたっておこってぅの・・・だから、かぁしもうごかないで?」
ナルトの話によると、この探索任務によって木を切ったり、火をおこしたりすることに獣たちが怒っているというのである。たしかこの探索隊は里を出て一週間は過ぎているらしく、薪や食材はこの森の一部をいただいて、毎日火をおこして生活していたという・・・ナルトが来なければこの探索隊は襲われていたのかもしれない・・・



そんなこんなで数時間が経過、カカシはナルトを膝に乗せてイチャパラ読書中。
あまり動くなとカカシから指示された探索隊の面々は、疲れていたこともありテントの中で就寝中・・・
「ガーーーーオーーー」
けたたましい叫びに、テントから出てきてクナイを構える・・・が、カカシもナルトもそのままの状態な事に気づき、訝しげに近づくと・・・
「みちゅかったって!!」
ナルトが嬉しそうに立ち上がって、なにもない茂みを見つめる・・・と、
「ギャーオー」
体長ゆうに2メートルを超えるクマが、小さな小さな兵糧丸を持って来た。
コロン・・・とナルトの手のひらに兵糧丸を渡し、その手のひらに赤い木の実もそっと乗せて、クマはその場を去っていった・・・
緊張で顔をこわばらせた探索隊の面々にナルトがそっと笑いかけ、
「夕日になったらかえぅのよ!!」
そういって、カカシに連れられて帰っていくナルトを、放心状態で見送った。



「ナルト。クマさんになにもらったの?」
ナルトがそっと見せてくれたのは、木イチゴの実。カカシはひとつもらって、口に含んだ。
「くましゃんじゃないよ?森のカミしゃまだよぉ?」
含んだ木の実を噴き出す・・・
「あの森のかみしゃまがてちゅだってくれたのよぉ?かわりに、早く帰ってっていってたのよぉ?」
森の神にモノ探しをさせて、自分は読書をしていた事実に、冷や汗を流すカカシは、苦笑いしつつ、モノ探しの任務はよほどの事がない限りナルトにまわさないよう、火影にお願いしようと決めるのであった・・・


   FIN




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