カカシ、噛まれる

「かぁし〜・・・なぅとお尻尾がカイカイよぉ?」
部屋の隅にうずくまって9本の尻尾をかわるがわるハムハムとしているナルト。どうにも尻尾がムズムズとして仕方がないらしい・・・
「どうしてのかねぇ・・・?」
そういいつつもカカシはナルトの耳としっぽ専用のブラシをとりだし、ナルトが座っている部屋の角に腰を下ろす。
「どれ。ブラッシングしましょ〜か」
そういって、膝を叩けば、ナルトは「ヒィィン」となんとも情けない声をあげてカカシの膝に座る。その際も、尻尾をハムッと咥えている
(はぁぁぁ・・・かわいい・・・このまま俺の前の尻尾もハムッとしてくれないかなぁ・・・)
なんて、いかがわしい妄想にニヤニヤしているカカシに、ナルトはなんの疑いをもつこともなく、早くとばかりに見上げる。


きれいにブラッシングしてもらうと、ナルトはピッカピカになり、ふわふわな毛が余計にきれいになる。
「どう?」
カカシは膝に乗ったままのナルトをうしろからギュッと支えつつ、その尻尾をそっと撫でる。
「カイカイないのよぉ?でも・・・」
ナルトがどうしたものかと思案しているようで、カカシは不埒な妄想を頭の片隅に置いて(決してやめるわけではない。ちょっと片隅に置いとくだけね?)、ナルトのかわいい旋毛を見つめる。
「あのね・・・かぁし・・・なぅと・・・」
一生懸命に話すナルトに、カカシはそっとナルトの向きを自分の方へ向けて、頭を撫でる・・・と・・・
『ガシッ』
「へ?」
ハミハミハミハミハミ・・・
頭を撫でようとしていた手をナルトが掴み、いきなり甘噛みしだしたのである。
カカシは驚いたようにナルトの方をみるが、あまりにも楽しそうにハムハムとカカシの指をかじっているナルトに、カカシはそっと笑みをこぼしてそのままにさせていた・・・
15分後・・・
「はふぅぅぅ」
満足げに耳をピクピクさせてナルトがカカシの指からキバを離した。
「満足したの?」
おもいっきりナルトのよだれベッタベタの手にそっとキスを落とした後に、キッチンで手を洗い、ナルトにおやつをあげる。
「まんじょくしたの〜」
ダラダラと全身を弛緩させて伸びているナルトに、カカシはそっとマシュマロを差し出して、撫であげる。
「フニャン・・・」
そのままナルトが眠りについたのを見はからって、カカシはパックンを呼びだした。
「ねぇパックン。この時期に尻尾って痒くなる?ナルト大丈夫かなぁ?」
カカシなりに心配していたのである。もちろん、痛みを伴いようなら、すぐにでも病院に連れて行こうと思っているが、如何せんかゆがっているようであるので、ここは同じ動物のパックンにきいてみようということになったらしい・・・
「カカシよ・・・おそらくそれは毛の生えかわりじゃ。」
「じゃ、俺の手を噛んだのは?」
「春は発情期じゃ。気持ちが高ぶって狩りでもしてたんじゃろ。お前の手が狩りのターゲットだったんだろう・・・」
パックンは寝ているナルトになんとも気だるげな視線を向け、「ワシも眠いんじゃ」と言わんばかりにあくびをしながら消えて行った。
最近よく手を掴まれることがあったが、甘えているわけではなかったらしい・・・ちょっとショックを覚えつつ、自分の手が狩りの獲物なら、ちょっとホクホクした気持ちになりつつ、カカシは昼寝をするナルトの横にそっともぐりこむのであった・・・


    FIN

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