カカシ、狐を連れ帰る

そんなこんなで報告も済ませて、カカシは火影の執務室に入る。
「上忍 はたけカカシ 任務完了のご報告に上がりました」
「はいれ」
ガチャ・・・ドアを開けてみれば、火影が執務室の椅子から立ち上がった。どうやら自分が想像していたものと違いすぎて思わず立ち上がってしまったらしい。



「カカシ!!それが伝説の妖狐か!?」
カカシは抱っこしていたナルトを足元におろしたが、ナルトはカカシの足元に隠れる・・・立派な尻尾のせいでまったく隠れていないが、本人から火影がかろうじて見えている状況ゆえに隠れ切れているとおもっているのであろうが、威嚇のためかあげる唸り声は火影の耳に入り、せわしなく不安げに動く耳も尻尾もばっちり視界に入れられている・・・
「カカシ・・・捕縛とは言ったが、誰が仲良く抱っこして来いと言った!?相手は妖狐じゃぞ!!しかも尾は9本もある化け物じゃぞ!!」
なんとなくしか理解できないナルトにも、火影の悪意は伝わったらしく、涙ながらにカカシの脚にしがみつき、キュ〜ンと、悲しげに尻尾を垂らす
「ほらぁ・・・そんなこと言うから泣いちゃったじゃないですかぁ!!ナルト〜泣かないでぇ・・・怖いおじいちゃんとはバイバイして俺ん家に行こうねぇ・・・今日からナルトの家にもなるからねぇ?」
カカシがバイバイと手を振ったのを真似するように、カカシの脚の間から小さく手を振るが、見えているのはカカシにだけ・・・「はぁ・・・食べちゃいたい・・・」なんて思ってるのもカカシだけ・・・

涙いっぱいの目をきれいにふきふきしてあげながらカカシはナルトを抱き上げる
「待つのじゃカカシ!!」
三代目は血相をかえてドアの前に立ちふさがり、ナルトを取り上げる。
「コン!!!」
あまりのことに焦ったナルトは狐語でしゃべりつつ三代目の手に噛みつく。
「これ!!噛むでない!!」
怒る三代目を見上げるナルトの顔をまじまじと見た三代目は「かぁわいいのう・・・」と思わずナルトの頭を撫でる。「いやいや!!こやつは立派なアヤカシじゃ。封印するためにカカシに捕縛させたんじゃ!!・・・それにしても可愛いのう。無害そうだし、このまま里で育てて、九尾の力を有した暁には木の葉の里の守護神獣に・・・イヤイヤ万一暴れられれば手に負えん・・・しかし、このように小さいころから教育しておけば・・・」
三代目の脳内会議継続中・・・
先ほどまでは顔はカカシの脚に隠れ、耳としっぽのみが強烈な印象を与えていたが、まじまじと見たナルトは天使のようにかわいい。
「・・・ナルトを返してもらえます?」
聞こえない聞こえない。今しばらく抱っこしてたい・・・
封印なんてかわいそう・・・
カカシの怒気も気にならないくらいに可愛い・・・
「コンコン?」
ナルトは固まってしまった三代目の腕からモゾモゾと抜け出し、カカシの足元にちょこんと来て
「抱っこ」
など言って小さな手をのばされた日には・・・
「よいしょっと」
カカシは軽々ナルトを抱っこして、フリーズ中の三代目を尻目に任務の依頼書を作る


『依頼書
  
今日より無期限に九尾の妖狐「うずまきなると」の監視及び保護を命ずる。

三代目火影 印』


火影の執務室にある巻物に勝手に書き、勝手に火影の印を押す。
「じゃ、俺はナルトと家に帰りますんで・・・」
「待て!!カカシ!!その子はこれから里のエリート教育を受けさせる!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・俺のそばにいればエリート教育しときます。ついでに俺好みの性格に・・・ゴニョゴニョ・・・」
「ならん!!」
「だって依頼書も作っちゃったし〜印鑑も押しちゃったし〜・・・俺のそばなら誰に狙われてもまもれますよ?」
ニヤリと笑うカカシと、ヒクリとひきつる火影
「万が一暴走しても、俺なら止められるかもだし、止められなくても里人逃がすくらいの足止めはできるし、忍びの教育も俺のそばにいれば自然と身に着くだろうし・・・」
ニヤニヤと獲物を追い詰めるように笑うカカシがフと目を細める
「もしナルトと離れ離れになるなら、俺任務そっちのけで毎日ナルトのストーカーしちゃいそう・・・」
「わかった!!好きにせい!!」
三代目火影との死闘に勝ったカカシは改めて火影に拇印まで押させた依頼書を片手に、ナルトをもう片手に抱え、足取りも軽く自分のマンションへ帰って行った。


木の葉商店街ではしばらくの間、花のようなチャクラを飛ばしながら歩く変態を見たという噂が流れた。

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