ナルト、お泊りする

「うわぁぁぁぁん!!!」
さすが上忍の本領発揮とばかりのダッシュで里を出たカカシが、涙ながらに任務についている夜半・・・
「なるちゃ〜ん!!吉野ママとお風呂にしましょ?」
一日はしゃぎまわってお疲れ気味のナルトが、うとうとと、船をこぎつつ、シカマルの膝の上でテレビを見ていた・・・。そこへ、カカシから預けられた寝まきと、タオルをもった吉野が登場し、さっさとシカマルの膝からナルトを奪い去る。
「きぇいきぇい?」
吉野の持っているシャンプーハットを凝視して、なんとなく警戒心たっぷりにウゥゥ・・・とか唸り声をあげつつ、吉野にスッポンポンにされて、さっさと浴室のドアがあく・・・
そこに広がるのは、なんとも広く、ナルトくらいなら泳げそうな風呂場に用意されていた子ども用マットと、遊び道具・・・あきらかに新品も入っているが、ほぼシカマルのお古と思われる。
「よちのママ・・・なぅと・・・あしょぶのぉ!!」
最初はなんともこわごわであったが、湯気になれて見えるようになってしまえば、テンションがダダダっと上がって、吉野に抱えられて浴槽に入れられてからも、もぐったりちょっと犬かきして遊んでみたり・・・カカシとも入浴なら間違いなく怒られることも、吉野はニコニコと見守っている。危なくなったらそっと手を差し伸べるくらいにとどまり、基本的にはナルトのやりたい放題である。
「さ、ナルちゃん。きれいきれいしましょ?」
とりだされたふわふわ泡立ったスポンジで洗ってもらっている最中・・・
「よちのママはまだチンチンないの?」
はじめて見た女性の裸体に、ナルトは子供らしく疑問に思う。
「女の子にはないのよ?」
吉野にきれいに洗ってもらい、背中もあらってもらいつつ、ナルトは考える・・・
「なんでよちのママはおっぱいポンポンなにょ?」
フフフ・・・と、なんとも母親のような慈愛の笑い声と共に、ナルトが唸り声をあげて考えているのを、そっと優しく見守る。
「なんでだろうねぇ?」
「にゅー」とか「みー」とか、かわいい唸り声をあげつつ、ナルトが言葉を出す
「くれにゃいもポンポンしていた!!でも・・・しゃくらちゃんはかぁしといっちょよぉ?」
明らかに里が崩壊しそうな事を、さらっと行ってしまったナルトに、吉野がちょっと・・・いや、かなり笑顔を崩しつつ、
「ナルちゃん?お外でそんなこと言っちゃだめよ?サクラちゃんが泣いちゃうわよ?」
実際にはきっと怒り狂うとは、吉野とてわかってはいる。が、きっとナルトにはこの方がいいことも、吉野はわかっている。
「しゃくらちゃんかなちいの?」
ゆっくり吉野がうなずけば、ナルトは口を抑えて、言わないのポーズをとった。
その後、風呂上がりのココアを入れてもらい、シカクと吉野の間で、ポンポンと一定のリズムで優しく叩かれてしまえば、お子様ナルトが抗えるわけもなく、そのままぐっすり・・・



「おはよう。もう朝だぞ。吉野・・・ママが朝ごはんを作ってるから、顔を洗ってきなさい」
やさしいシカクの声に起こされて、ナルトが起きてみれば、サクサクのフランスパンにバターと粉糖をたっぷり塗ったトーストと、はちみつたっぷりのホットミルク・・・
「おい・・・吉野・・・・ママ・・・これは、甘やかしすぎではないのか?」
フンフンと、鼻息荒く朝食を持って、シカマルの机の下にもぐって、ハグハグ食べだしたナルトに、さすがにシカクが異議を申し立てる・・・が・・・
「いいの!!ナルちゃんはお母さんに甘やかされてこなかったんだから!!」
(・・・お前より甘いカカシに育てられてるんだよ!!)
一家の家長たるシカクの心の声は、誰にも聞きいれられることなく、シカクの中に閉じ込められた。今日に限って、心中を察してくれるシカマルが早朝から任務に出ていることを、至極残念に思いつつ、ナルトの食事風景を見守りつつ、バターが塗られているちょっと焦げ気味のフランスパンをかじった・・・
「吉野・・・俺も甘やかしてくれ・・・」
「ナルちゃんがいる時は吉野ママです!!あなたに甘やかすほどの可愛さがおありですか?」
シカクは、黙って食事を続けた・・・


    FIN


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