ナルト、つられる

「カカシ・・・すまぬ・・・」
今日も今日とてナルトを抱いて、入室した瞬間に、里の最高責任者たる火影が、エリートで里の稼ぎ頭とはいえ、一介の忍に丁寧に頭を下げた・・・
「・・・」
まさに嫌な予感ッて感じであるが、カカシは、火影が差し出した依頼書を見る。
護衛任務のようであるが、明らかにおかしいだろう破格値が書かれており、その下に、条件としてカカシを指名する旨が書かれており、明らかにカカシ狙いの任務であることがうかがえる。
「・・・依頼主は、この前の失せモノ探しのお嬢様・・・か・・・」
確かにカカシに色目を使っていたお嬢様を、金髪という理由でちょっと見つめたことは認めよう。ただ、その目線も結局すぐに外した。なぜなら、ナルトよりくすんだ金髪だったからである。
「・・・あの一瞬で恋に落ちたんだろうか・・・あぁ・・・面倒だなぁ・・・ことわれ・・・ないですよねぇ・・・」
明らかに桁のおかしい金額を見てしまえば、断ればどこかに不協和音が響くのは火を見るより明らかである。
「これは・・・一泊二日くらいかな・・・」
あきらめ交じりに乾いた笑いを浮かべつつ、2日に迫った泊りがけ任務に向けて、今日は帰ったら準備だな・・・などと考えつつ、今日の任務に旅立った・・・



そんなこんなで、2日後・・・
「ナルト・・・奈良家のみなさんにご迷惑かけないようにね?俺は明日の夜には迎えに来るからね?」
涙ながらに吉野にナルトを渡したカカシは、これまた涙大放出中のナルトの頭を撫で撫でして、さっと後ろを向いた。
「ほらナルちゃん?カカシさんに行ってらっしゃいは?」
吉野に片手を握られて、ぶんぶんとバイバイと手を振らされると、グジグジ泣きながら
「グゥゥ・・いってら・・・っちゃ・・ぃ・・・かぁし〜いくないの〜・・・ふぇぇぇぇ・・・」
ついに我慢しきれなくなったようで、グジグジがうぇぇぇぇん・・・にかわり、カカシに縋ろうとした瞬間・・・
「ナルちゃん?カカシさんは明日には帰ってくるのよ?」
うぇぇぇぇん・・・鳴き声は止まず、カカシに短い手を伸ばす。
「ナルちゃん?カカシさんが帰ってくるまで、吉野ママと遊びましょ?」
まだまだ短い手がちぎれんばかりに延ばされ、ついにカカシが振り返って抱っこしようとした瞬間・・・
「じゃあ、いい子にカカシさんを見送れたら、今日の夕飯はおいなりさんね!!プリンもつけちゃうわよぉ?生クリームたっぷり乗せて、プリンアラモードにしましょうか?」
・・・瞬間にピタッと泣きやんだナルトは、振り返ったカカシに
「いってらっしゃい!!」
元気に・・・現金に全開の笑顔で手を振った・・・
「うわぁぁぁぁぁん!!!」
確認しますが、泣いてるのはカカシです・・・
乙女のようになきながら走りさるカカシに、なんともかわいそうな視線を向けるシカクとシカマルをよそに、吉野に抱っこされて家に入るナルトは・・・
「ぷりんありゃもーーーーーど!!!!」
新出単語がそうとう気に入ったようで、まるでヒーローの必殺技のような声をあげてキャイキャイと大はしゃぎである。
まったくもって子どもの現金さに、あきれるやら可愛いやらの男たちは、結局かわいいが勝ったのか、二人で油揚げを買いにはしるのであった・・・



    FIN

[ 44/68 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
トップ



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -