ナルト、盗み食いをする2

「カカシ〜!!ナルト、大きくなったからなんでもできるよぉ?」
得意そうに、シカクが与えたブカブカのTシャツをワンピースのようにきているナルトに、カカシは辛抱たまらんとでもいうように、己の普段着を着せる。
「大きくなった子は、ちゃんとズボンをはかないとねぇ・・・」
完全に目線が泳いでいるカカシに、ナルトは気にせず、「大きくなったの〜」と、カカシ〜差し出された大きめのスウェットを、尻尾が痛くない程度に腰パンではく。
(あぁぁぁぁ・・・ナルトの悩殺☆シャツ一枚攻撃はなんとかしのいだけど、俺、このままで大丈夫か!?)
必死で理性で現状をとどめているカカシに救いの手が・・・
『ピーンポーン』
慌ててインターフォンにでれば、そこにはアスマ・・・
「アスマ〜!!!!!」
ことさら嬉しそうに抱きついてくるカカシに、かなりの気持ちの悪さを感じつつ、なんとかひっついたカカシをずるずる引きづりながら、リビングに到着する。
「アスマ〜!!!ナルトおっきいでしょ?」
なんとも嬉しそうな顔で、アスマに向かって仁王立ちでお出迎えするナルト・・・
「なるほど・・・これはお前には凶悪だな・・・」
アスマは、腰に絡みつく悪友に、憐みの目を向けて、さっさとキッチンに立って料理をし出す。
「シカクさんの話じゃ、ナルトが食べたのはどっかの里が開発した成長促進剤だそうだ。まだどんなメカニズムでナルトがこんなに成長したかはわかってねぇが、とりあえずはしばらくこのままらしい・・・」
てばやく料理しつつ、シカクからの情報をわかりやすく説明するアスマに、カカシは涙目で問いかける・・・
「俺・・・このままだと、ナルトを喰っちゃうか、発狂する・・・」
オムライスにケチャップで、ハートをかいて、ナルトの席に持っていけば、嬉しそうに頬張る・・・
「おいし〜!!!」
大きくなっても、小さい時と同じように頬を押さえて、ニコニコほほ笑む。
「カカシ〜・・・こぼれた〜・・・」
なんとも微笑ましくも、小さいナルトとかわらないいつもの事に、カカシがちょっと胸をなでおろした瞬間・・・
「カカシ!!こっちむくな!!」
アスマの絶叫・・・
しかし・・・間に合わず・・・
「あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
ナルトの口からこぼれているのは、トロトロの卵のしろみ部分・・・黄身にくっついてるくるあの部分・・・
(な・・・な・・・な・・・ナルトが・・・大きくなったナルトが口から・・・!!!ヤバい!!!俺の息子さんがビックバンを起こしそう!!・・・いや・・・まだだ!!!まだやれるぞ俺!!!落ち付け俺・・・ナルトが食べてるのは卵だ・・・それ以外のナニがあるって言うんだ・・・)
完全に精神統一のように大きく息を吸って吐いたナルトは、アスマに口の周りを拭いてもらったナルトに、果敢にももう一度挑む・・・
「ナルト〜?おいしい?」
ニコニコ顔のナルトは、大きくなった分、きれいに笑っていて、カカシには何ともオイシソウなのである。しかし、そんなことは鉄の理性と高いプライドでなんとか持ちこたえ、元気な息子はさりげなくテーブルを拭くフリして屈んだことで静まるまで落ち付かせることに成功した。
「カカシ〜?アスマの作ったオムライスって、大きくて熱くてトロトロで、でもカタいところがあって・・・とってもおいしいんだよ?」
「ぐっは!!!!!!」
もう我慢の限界だったらしく、早々にトイレにこもったカカシを憐みの目で見送るアスマは、カカシの異常な行動にちょっぴり不安を覚えたナルトをデザートで誤魔化してなんとかトロトロオムライスを作ってしまった贖罪をすませ、己もカカシの二の舞にならないようにと、さっさとキッチンで片づけものをし出す・・・



その後、いつまでもでてこないカカシに、心配になったナルトが大泣きして『ポン』という音と共に、元のサイズに戻るまで、カカシはトイレから出てこれなかった・・・



   FIN

[ 43/68 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
トップ



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -