ナルト、がんばるっ

「かぁし〜なぅとは今日はカクのおうちにチョ…おぁつをちゅくりにいきましゅ!」
意気揚々と嘘つくことに失敗していることにも気づかず、ナルトが獣型になってさっさと家を出ていく
「いってきましゅ」

9本の尻尾をフリフリしつつ歩く姿は、先日の敵忍捕縛の件で特別上忍にしてもよいのではないかとささやかれてる人(?)にはとても見えない…

そして…
「ナルトの手作りチョコか〜…ヤバいッ!とりあえずのぞ…監視任務につかないとね!!」
ナルトのうしろを妖しげなチャクラを放ちつつ着いていく。この怪しい男も、里で一番の手練れには到底見えない…


「ナルちゃんいらっしゃい」
吉野に迎えられて、奈良家の敷居をピョンと跳び越えて、ナルトは人型に戻る。
「よしにょママ。よろちくおねがいましゅ!!」
元気よくお辞儀して、吉野の用意したエプロンを身につけて、さっそく調理開始。とはいっても、吉野が砕いておいたチョコレートを湯せんにかけて、吉野が支えているボールを混ぜて、そこに吉野が生クリームを入れるだけ。
「よちにょママ。なぅとかぁしにハートさんにチョコにすぅの!!」
元気よく自己主張!!と、いうのも、カカシの操ジュu・・・教育の賜物だと思われるが、ナルトは日々、かわいらしく、かつ純粋に育っているからなのであろう。
「あら。やっぱりバレンタインはハートよね!!待ってて!!吉野ママがハートの型持ってくるからね!!ナルちゃんはゆっくりこれを混ぜててね?」
吉野が走っていくのを、ナルトが横目に見つつ、真剣にボールの中のチョコレートを混ぜ混ぜする。


一方・・・
「クッソー・・・奈良家の結界が俺を拒む〜!!!」
存外に広い奈良家の構造上、決して外から中の様子が見えない上に、万が一カカシがナルトの内緒をのぞき見ようと考えた場合に備えて、よこしまなチャクラに反応する結界を張っているため、カカシは中に入れないのである。(シカクにはカカシの行動もナルトの言動もお見通し)
「あ・・・カカシ先生?」
塀の上からのぞきを働く不審者に、玄関から様子を見に来たシカマル。
「あっ!!シカマル!!中に入れて!!」
「・・・今日は、親父にもおふくろにも、カカシ先生に関わるなときつく言われてるんで」
さっさと玄関に戻ってしまったシカマルを、カカシは憎々しげに見つめていた・・・


「できちゃ!!」
可愛い声と共に、どこをどうすればそんなになるんだってくらいにチョコまみれのナルトが、型に流し込んだチョコを見てにっこり笑う。
「そうねぇ。上手にできたわねぇ」
吉野の太鼓判にウキウキのナルトは、冷蔵庫に入ったチョコの完成を待ちつつ、吉野が先に作ってくれていたガト―ショコラを頬張っていた。
「シカマル〜!!あなた〜!!ナルちゃんからプレゼントですってぇ!!」
大きな声で呼ぶ吉野の声と、あたりに漂うチョコの香り・・・シカマルとシカクは揃って居間に現れた。
「カク〜!!ばれんちゃいん!!」
「おぉ・・・ありがとうナルト」
「チカマル〜!!ばれんちゃいん!!」
「おう・・・ありがとな」
二人に頭を撫でられてご満悦のナルトは、お手製のメッセージカードと可愛くラッピングしてもらったカカシへのチョコをカバンに詰め込んで
「よちのママありがと!!」
ポンという音と共に狐にかわったナルトを手を振りつつ、見送る面々・・・
去るナルトの後を追って動く影に、ひきつった笑顔を送る面々・・・
「そういえば、ナルトがおふくろ呼ぶ時、『吉野ママ』って言ってなかったか?」
「・・・シカマルよ・・・どうも母さんは『ママ』と呼ばれてみたかったようだぞ・・・」
「・・・あぁ・・・操縦したのか・・・」
日暮れ時の木の葉に、なんとも言えない風が吹く・・・



一方カカシは、ナルトをある程度まで付けていたが、家に先にいないとマズイので、先回りして帰宅。
「かぁし〜!!たらいま!!」
小さなナルトには届かないはずのインターフォンも、その尻尾でなんのその。
「かぁし〜!!ばれんちゃいん!!はいっ!!」
ナルトに手渡された可愛いラッピングのチョコに、カカシがほほ笑みつつ
「一緒に食べようか?」
包み紙をあけて、ナルトと二人で仲良く食べたのでした・・・


      FIN

「あっ。ナルト・・・ほっぺにチョコついてるよ?」
『ぺロッ』
・・・チョコレートよりベッタデタで甘〜い二人なのでした・・・
「かぁしありがと」




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