ナルト、キレる!!!

「おい・・・みたか?」
「あぁ・・・あれは貴重だな・・・」
「もって帰れば、相当な価値になるぞ・・・」



ここは木の葉の商店街。
最近なんとも寒い季節になり、普段は浴衣のナルトには外が非常に寒い。カカシが冬用にと買ってくれたコートを羽織っても、マフラーを巻いても寒い。
なので、移動は狐になって移動するのが普通なナルト・・・
「コンコン〜」
狐であろうと、金色の体毛、大きな耳、惑うことなき9本の尾を見れば、だれでもナルトと気付き、なにこれと構いだす。
常に背負っているリュックに、お菓子を入れたり、どこに行くのか訪ねては、抱っこでそこまで連れて行ったり、里はナルトに甘いのである。
「あらら?ナルトじゃない。あんたこんなとこウロウロしてて平気なの?カカシ先生は?」
サクラは商店街を優雅に歩くナルトの首根っこを捕まえて、目線に合わせて持ち上げる。
「コ〜ンコンコ〜ン!!」
なにやら嬉しそうに尻尾を振って、ハッハと息をしつつ、上忍待機所の方へ目線を向けている。
「人生色々にカカシ先生がいるの?」
サクラの問いかけに尻尾が一回大きく揺れる。
狐になっているため、最ナルトとの会話はイエスかノーで答えられるものに限られる。イエスなら一回。ノーなら二回尻尾を揺らすのが、ナルトのこたえなのである。
「じゃ、そこにいけばいいのね?」
大きく揺れる尻尾。
「カカシ先生に呼ばれたの?」
揺れる尻尾は二回・・・
「じゃあ、どうしたの?お散歩?」
大きく左右に一回揺れたナルトの尻尾を、サクラはなんとも心配でたまらないというような顔で見ている。ナルトとて本来は成獣の年齢である。なぜか人間並みに成長の遅いナルトであるが故に非常に心配であるが、きっと本気を出せば、サクラなぞ到底かなわないほどの実力は備えている。しかし、如何せんナルトなのである。ちょっと・・・・いやかなりおバカさんで能天気で、幼児。サクラや、里人たちの心配は当然である。
「じゃ、途だし、連れてってあげるわ。」
サクラは腕に抱えたままのナルトをそっと抱き直し、カカシの待つ上忍待機所に向かう。
その途中・・・
「おい!!その狐を置いてけ!!」
明らかに商人と思しき、両手に貴金属を付けた成金と、その周りに侍る武器を持ったゴロツキ。
「ゲッ」
サクラはめんどくさそうにナルトを背後に庇い、クナイを構える。
「あんた達。死ぬわよ・・・」
サクラの言葉に、ゴロツキ達が笑いだす。
「嬢ちゃん!!寝言は寝てからいいな!!お前みたいなひよっこに負けるワケねぇだろ!!」
一人が細身のナイフをサクラの顔面横を狙って投げた。サクラの頬を薄く切り裂いたナイフは、壁にささって止まったが、サクラの頬を流れる血は止まらずに地面に落ちる。
「ホホホ・・・お嬢さん。その狐を置いて行っていただければ、お礼はしますよ?」
ゴロツキに囲まれて太い腹を揺らしつつ、サクラに話しかける商人と思しき男は、下卑た笑いでナルトを見る。
「あんた・・・この子はカカシ先生の子よ?知らないんだから!!」
サクラの発した「カカシ」という名に、ゴロツキが騒ぎだす。その名を知らずに木の葉に来るほど。彼らは馬鹿ではないらしい。
「ばれる前にズラかればいいんだ!!狐を渡せ!!」
「渡さない!!」
サクラの大きな声と共に、頬を伝う血が、地面に数滴垂れる。
「コン・・・」
ナルトが一言発すると同時に、その場に強烈なチャクラが渦巻いた。
禍々しい赤く強大なチャクラの中心はナルト。
小さいはずの体は、大きなチャクラによって強大に見え、唸る声は地を這って響く。
「ナルト!?」
サクラの声に、ナルトがこたえる
「さくらちゃんのおかおはダメ!!おんなにょこはおかおメッにゃのよ!!」
どんなになってもナルトはナルト・・・舌ったらずである。
「・・・私のため?・・・そうね・・・ナルト!!ヤッテおしまい!!!」
サクラの号令と共に、ナルトがゴロツキどもを踏み倒し、はじき飛ばし、最後に商人と思しき男を尻尾でつるして顔の前に持ってきて、『ギャオゥ』なんて立派にほえてみれば、完全に気絶してしまった。


ナルトの爆発するように派生した強大なチャクラに、慌てて駆け付けたカカシが見たのは、サクラに褒められてえらい上機嫌のいつものナルトであった・・・


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