ナルト、節分する

トントントン…
リズムよく聞こえてくるのは、カカシが朝食をつくる音。
ナルトの大好きなミルクジャムいっぱいつけたトーストと、たっぷりドレッシングをかけたサラダ、ほどよく温めたミルクティーをカップに注いで、カカシは満足げに微笑むと、寝室に向かう。
「ナルト〜朝だよ〜」
キングサイズのベッドに丸まった毛布の中をそっと覗けば、キラキラ光る金色の塊が大きなあくびをする「くぁぁ」という声が聞こえてくる。
「かぁし〜おぱよぉ」
まだまだ眠たくて目を擦っているナルトをそっと抱っこして、頬とまぶたにキスを落とす。
「おはよ。今日もかわいいね」
カカシの微笑みをうけて、ナルトがへニャッと表情を崩したのも束の間、すぐに陰りを見せる…
「かぁし…にんむぅ?」
カカシの格好が、忍装束なことにナルトが気づいたのである。
「そうなんだよ…おれじゃなきゃダメなんだって…火影様も鬼だよホント…。
最近任務ばっかりでぜんぜんナルトと一緒にいれないねぇ?」
カカシの愚痴のような話にナルトは考え込んでいるように、ムームーうなりつつ、抱っこされてリビングに到着・・・
「かぁし〜?ジィジは鬼さんならなぅとがめっしてあげる!!」
意気込んで鼻息も荒く、パクパクとトーストを食べだしたナルトにカカシは若干の疑問を感じつつも、朝の忙しい朝食をナルト世話をやきつつたいらげる
「さ、今日はリュック?抱っこ?」
カカシはさっさと準備をするナルトにもの珍しいモノを見るかのような目で見ていたカカシも、ナルトが当然のように腕を広げて抱っこの準備をされてしまえば、デレデレと抱っこをするしかない。


『コンコン』
「上忍はたけカカシ。入ります。」
「はたけなぅと。はいりましゅ!!」
ノックと共に声をかけて入室してみれば、いつもはナルトの机になるローテーブルの上には煎った豆。
「さぁナルトや。今日は節分じゃと昨日教えたのう。今日は鬼がやってくるのでな。ちゃんと豆を持っておかんと退治できんぞ!!」
そういって節分豆をナルトに差し出した火影。その豆を受けとるナルトを見て、カカシは合点がいったらしく、早々に窓から消える。
「おにはそと〜!!!!」
ナルトの叫び声と共に、ナルトの両手+尻尾から強烈なチャクラと共に放たれる豆・・・
『チュンっ』
快音と共に火影の頬をかすめて壁に埋まる豆・・・
「な・・・ナルトや?」
火影が物陰から隠れてナルトの様子をうかがってみれば、かなりのご立腹の様子でこちらに豆を放っている。おそらく、そこらへん歩いてる中忍連中が投げるクナイより殺傷能力が高そうな豆なんて、そうそうないであろう。
「かぁしのこといじめるジィジは鬼さんなの!!なぅとが退治しちゃうんだもん!!かぁしは任務にいくないの!!!!!!!」
ナルトの赤いチャクラが爆発する。
「なんのことじゃ!?ワシはカカシをいじめたつもりはないぞ!!」
破壊されたモノたちを盾になんとかナルトのリュックに手を伸ばした火影が、緊急用と書かれた巻物を広げる。
『ポン』
現れたのはもちろんカカシ・・・
「カカシ!!なんとかせい!!そなたのせいでワシの仕事場は大破じゃ!!」



この後、カカシは火影にこってり絞られ、ナルトは火影からカカシの休みをもぎ取って満足した様子で豆をコリコリと食べだす。
一番かわいそうなのは、鬼の格好をしてひたすらこの騒ぎの中を待っているシカクかもしれない・・・


     FIN



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