ナルト、見抜く

今日も今日とて任務のカカシ・・・今日も今日とて火影とシカクのもとでお勉強しつつもお留守番のナルト・・・
『コンコン・・・』「はたけカカシ、ただいま帰還いたしました。」
いつもよりも幾分早く、そして、なんともかしこまっての帰還あいさつに、言いしれぬ気持ち悪さを感じつつ、火影は入室の許可を出そうとする・・・
「かぁしちがう!!!」
ナルトが叫ぶ。もともと獣の性質をもったナルトである。危機回避能力は生まれながらに備わっている。大きな耳をさらに大きく伸ばし、一切の音を漏らさないように立っている。大きな尻尾は最大限の警戒を露わして大きく膨らんでいる。
「しかし、チャクラもカカシのそれじゃぞ?」
首をひねる火影に、シカクが静かにクナイをとりだす。
「どこかの里には、飲めば一週間元には戻れぬかわりにチャクラまで似せられる薬があるそうです。火影様・・・」
にわかに緊張が高まる。
「ううーーー」
低いナルトの唸り声。
いつまでも開かないドアにじれたのか、もう一度響きわたるノックの音・・・
「火影様?」
カカシの声が、ドアの外から聞こえる・・・


火影、シカク、ナルトは目配せで合図をする・・・
「入れ」
火影の声と共に、静かにドアが開く。
「コンコンコン!!!」
警戒と威嚇を表すナルトの鳴き声も意に返さず、カカシは颯爽と火影の元に歩み寄る。
「本日の報告を・・・」
・・・一同に流れる確信・・・カカシではない・・・
「お主、何者じゃ!?」
さっと距離をとって、火影は印を組んだ瞬間・・・


「あらら・・・俺?」
「カァシ〜!!!!!」
状況にも目もくれずに、さっさとナルトを抱っこし、ついでとばかりに火影の机に書類を置く。
「火影様・・・ここにおいとくんで。」
なにごともなかったかのようにして出て行こうとするカカシ・・・
「これ!!一大事じゃ!!さっさとこいつもとらえよ!!」
火影はさっと印をおろし、気が抜けたように手を後ろに組む・・・偽カカシから目線だけはそらさず。
「・・・火影様・・・そういってやるやつですか・・・」
乾いた笑いをこぼすシカクが影縛りですでにとらえているのである。
「火影様・・・任せてください。」
ニヤリと笑うシカクは、カカシに向き直る
「カカシ・・・こいつがナルトを怖がらせたんだぞ?こいつが原因でナルトがお前を嫌いになったら・・・」
言い終わっていないのに、偽カカシは本物のカカシの瞳術にやられ、悲鳴に近いうめき声をあげている。
影縛によって一切の身動きを封じられているにも関わらず、ガタガタと震える体に、火影は憐みの目を向け、駆け付けた暗部に偽カカシを引き渡す。


「しかし、ナルトや。なんで分かったんじゃ?」
「あんね〜・・・においがかぁしとちぎゃった・・・かぁしはかぁしとなぅとのにおいがすぅのよ?」
事の顛末をきいたカカシにいい子いい子とデレデレに甘やかされ、大満足のナルトは、嬉しそうに尻尾をパタパタさせながら、得意げに火影の質問に応える。
「・・・獣じゃな・・・」
小さな火影の探索に、小さく笑うシカク。
忍的なもので判断したのかと思いきや、獣の嗅覚・・・
「ナルトの教育はまだまだじゃな・・・」
ちょっと嬉しそうに、執務室を出て今後の指示を出すシカクと火影を、ナルトはカカシに抱っこされながら、眺めていた・・・
「ナルトは偉いね〜?」
デレデレに鼻のした伸ばしたカカシにおもいっきりナデナデされながら・・・
「なぅとまだまだちぎゃう!!!いい子だもん!!!!!」
ちょっっぴり唇とんがらせながら・・・



FIN

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