ナルト、治療する

木の葉の里にも秋が来て、木枯らしの吹く夕暮れがやってきた。
この季節もっとも悩まされる問題として、『乾燥肌』がある。
なにを隠そう。木の葉のエースはたけカカシも乾燥肌なのである・・・
「出してないのに乾燥する・・・」
カカシ曰く、隠しているはずの顔の大半すら乾燥してしまうほどの乾燥肌なのである・・・しかも今年はナルトと言う最愛の狐を得てから、家事をこなしている故に手の乾燥が近年まれにみる荒れっぷりなのである。
「・・・あぁ・・・どんなに塗ってもハンドクリームが吸収されてすぐもとにもどっちゃう・・・」
任務や日常は手甲を嵌めている故にさして問題ないのである・・・が・・・
「・・・かぁしのおてていちゃい・・・」
なんと、荒れた手でナルトのほっぺを撫でたらイヤイヤとされてしまったのである!!カカシにとっては生死すら左右する大問題であり、薬局でとりあえず一番高いハンドクリームを使ってみても、まったくといっていいほど改善されないのである。
「はぁー・・・」
正直なところ、里において、カカシ異常に給金をもらっている者はいないだろう。居間突然忍をやめても自分一人であれば、一生食べていけるくらいの給金はある。
しかし、ナルトのいない日常などありえないし、触れない日常なんて死んだ方がマシというくらい、カカシにはナルトがすべてなのである。
そんなナルトにイヤイヤされてしまっては、カカシのふかくて暗いため息を誰が責められようか・・・
「かぁし〜?」
昼食を食べてゆっくりお昼寝中だったナルトであるが、カカシのため息に大きな耳をピクピクさせてまどろみの中、カカシを探す。
「あれ?起しちゃった?」
カカシは手に持ったハンドクリームをそのままに、ナルトの元へよっていき、ナルトのおなかをポンポンとゆっくりたたいてナルトを夢の世界へ誘う。
「・・・・ん〜・・・かぁしケガちたにょ?」
ナルトは眠い目を必死に開けて、カカシの手に持たれているハンドクリームを指す。
「ん〜?ケガ・・・じゃないけど似たようなものかな。」
「どこ〜?」
ナルトは布団をはがして、スピスピとカカシの体のにおいをかぐ。
「血はでてないよ?」
「どこ〜?」
もう完全に目を覚ましてしまった様子のナルトに、カカシは「ここだよ」とばかりに、カサカサの手の甲を差し出す。
「いちゃいの?」
ナルトが荒れてしまって白っぽくなっているカカシの手を撫でる。
「痛くはないんだけどねぇ・・・なおらないの」
カカシは困ったように、ナルトにニコリとほほ笑んで手を引っ込めようとする。
『ぺロ』
フと、カカシの手の甲に生温かいモノが触る
「わーーーーーー!!!!!」
なんと、カカシの手の甲をナルトが懸命に舐めてくれているのである。
「けがは舐めるとなおるよぉ?」
あきらかに獣の習性である。
しかし、カカシはそれどころではない。
舐められてる・・・・俺(の手の甲)が!!!
一生懸命舐めてくれてる・・・
ナルトが俺を・・・

もう妄想が止まらない!!!

カカシはそっとナルトから手を離すと
「お手洗いにいってくるから、ナルトはいい子でお昼寝ね?」
そそくさと部屋を後にした。


そのまま数十分、カカシは部屋に戻ってこなかった・・・





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