ナルト、引っ越しのあいさつ

「・・・かぁし〜?なぅとのことどんくらい好き?」

「だれよりもずっと愛してるよ?」

「なぅとも〜!!!」

・・・これが、朝のはたけ家のあいさつである。
うららかな休日。気だるい朝。まったくもって朝の弱いカカシは、だいたいナルトの起こされる。ふさふさな尻尾をぷっくり膨らませてカカシの腹部に乗っかる姿を見て、カカシは起床するのである。

「ふぁ・・・おはようナルト。」
ナルトの腰を支えて、自分が起き上がった拍子に倒れないように足にナルトを移動させて、「よっこいせ」などというおっさんくさい掛け声と共に枕からふさふさのほうき頭を起き上がらせる。
薄手の掛け布団の上から乗っかっているナルトをナデナデして、まだまだ目覚めていない脳みそをなんとか動かして朝食のメニューを考える。
「ナルトはなにたべたい?」
「おあげ!!」
腐っても狐のナルトである。基本的にはおあげが大好きだし、お稲荷さんなんておなかがはりさけんばかりに食す。それゆえにカカシが週に1回と定めるほどである。
「あぶらあげないや・・・おあげの煮物は今日の夕飯にしよう?」
ナルトはコクコクうなずいて、その跡に「う〜んう〜ん」と、朝食の献立を考える。

『ピーンポーン』
間延びしているインターフォンの音に、カカシは気だるげに起き上がって、ナルトを片手に抱っこしたままでインターフォンにでる。

「はい?」
出てみれば、そこにはカカシの同僚の「猿飛アスマ」が立っていた。
「なによ?」
カカシが怪訝そうな顔で見れば、アスマはまさにポカンと言った様子でカカシの顔を見てる。
「・・・お前・・・ここに住んでたのか・・・」
アスマの手には「ごあいさつ」と書かれたそばと思しき箱。
「・・・隣に引っ越してきたの?」
つい最近、隣の家の独身中年上忍が(はたけ家のラブっぷりに当てられて)引っ越したという話を聞いていたカカシは、隣に越してきたのがアスマとわかって安心した。
「・・・ナルトが可愛いからお隣さんと言えど安心できなかったんだけど、クマなら大丈夫だね。紅ひとすじだし・・・ナルト。お隣さんだよ?ご挨拶は?」
「なぅとです!!ヨリョシクオネガイチマシュ!!」
カカシに抱っこされたナルトに頭を下げられて、アスマはにこっと面倒見の良さそうな笑顔を浮かべて、ナルトの頭を一撫ですると、
「引越しのあいさつがてら、そばでも作ってやろうか?」
あきらかに寝起きのカカシの見て、アスマがキッチンにズケズケと押し入って、簡単な調理をし出す。


カカシはそのままリビングに座って、毎朝恒例のナルトのブラッシングをしながら、のんびりとした休日をまったりとあじわっていた。
「・・・たまにはなんにもしない休みもいいねぇ」




                   FIN



・・・なんにもしない休日が欲しい。
仕事を持って帰らなくていい休日が欲しい・・・

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