カカシ、狐を持ち帰る

のほほんとした木の葉に衝撃が走る
「あの車輪眼のカカシが小さな体に9本の尻尾と大きな耳をつけた大層かわいらしい男の子を連れていた」と・・・
通常であれば瞬身で火影の執務室へ直接行くか、門の前まで行くであろうカカシであるが、腕の中に大人しく収まっている狐をみんなに見せびらかしたくて仕方ない衝動をこらえきれず、町の商店街に突如として現れ、物珍しそうにキョロキョロとしている狐をだっこして「あれは魚屋さん」「あれは肉屋さん」などと説明しながら歩いて火影の元へ向かう。
「コン!!」
と大きな声で鳴いた狐を見れば、空を飛ぶ忍鳥を見てよだれを垂らしてハッハッと息を荒げている。
「なに?どうしたの?」
と、カカシは興奮状態の狐を見下ろすが、意味がわからない。「動物には動物を」と、カカシは口寄せでパックンを呼ぶ
「なんじゃ。」

「この子の言葉を通訳してくれる?」

パックンは胡散臭そうに微笑むカカシを見ながらなにやら狐に話しかける







「コンコンコォン」
さっきまでパックンに警戒していた狐は、慣れない環境で言葉が通じたことが嬉しいらしく、縮こまっていた尻尾を膨らませ、短い手を振りつつ興奮気味に話をしている。
「ふむふむ」
パックンは一通り話し終えた狐に背を向け、こんどはカカシに話をし出す。
「こやつ、人語もしゃべれるらしいぞ?だが、うまくしゃべれなくて面倒だし、必要と感じなかったからしゃべらなかったそうじゃ。」
「そうなの!?そういえばさっき森にいた時も俺の言葉に反応してしゃべってたような・・・でも、唸り声かなんかを聞き間違えたのかと思って流してた・・・」
そこで、カカシは狐を再び自分の目線まで持ち上げ、「お前しゃべれるの?」と、話しかける。ふさふさの尻尾が肯定するように揺れる。
「じゃぁ・・・名前は?」
「・・・コンコン!!」
「それじゃ俺には分からないよ・・・」
思案顔の狐はカカシの顔を見ながら「あ〜」だの「にゃ〜」だのいいながら練習をしている。それを気長に待ちつつ、パックンをみれば、パックンは狐を見ながら「ホレ。こうやるんだ」とばかりに口を動かしている。


「ニャウちょ」
狐が突然発した言葉がなんであるか、カカシの優秀な頭脳が解析した結果、狐の名前であることが判明したが、発音がいまいち難しい・・・狐より猫っぽい名前に聞こえてしまう。カカシがこたえないのを不審に思ったのか、狐がもう一度
「なぅちょ」
今度はちょっと分かった
「なうちょ?」
カカシは聞き返すが、狐の尻尾がベシッとカカシの腹を打ったからおそらく違うのであろう・・・「もう一回」と、カカシは苦笑いしつつ、狐の唇を凝視し、耳をそばだてる・・・
「なうと」
「なうと?」
「な〜う〜と!!」
「???」
「カカシ・・・ナルトだ」
見かねたパックンが助け船をだす。
「ナルトね」
一仕事終えたような汗をかきつつ、カカシはパックンに視線で礼を言う。
一方の狐ことナルトは「だからさいしょっから言ってるでしょ」とばかりにカカシに半眼を向けている。
パックンは咳払いをして、ナルトが言っていたことをカカシに通訳する。
「ナルトは遠くの山のうずまき一族という九尾の妖狐だそうだ。厳しい冬山で兄弟が大きくなっていく中自分だけが小さいままで、ある日母親に咥えられてここまで連れてこられたが、気が付けば母親はどこにもおらず、それ以来裏山で暮らしていたんだそうだ」
カカシはナルトを胸に抱き、火影邸の門をくぐる「子を捨てたのか・・・自然界では当然のことだけど、こんな小さい子を捨てていくなんて・・・」愛情をそそがねば!!と、思ったことが無意識の行動に出てしまったカカシはナルトの金色の髪と大きな耳を撫でる。
「きゅぅ」
気に入ったというように手にすり寄るナルトを「はぁ・・・かわいい・・・」と、若干の犯罪目線で見たカカシのチャクラはピンク色に見えた。と、後に任務の報告を承った受付の中忍がもらしていたという・・・



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