ナルト、お土産をもらう

ここは木の葉の名家の一つ。奈良家の居間。
大はしゃぎで広い庭を走り回る子狐一匹。
「コンコンコン!!!」
狐の姿になっているナルトは、汚れた足のままに縁側にピョンと登り、居間に座って庭を見ていたシカクの膝に座る。いつものことのようで、シカクは横に用意されていた濡れタオルでナルトの4本足をきれいに拭いて、影分身にナルトが汚してしまった床もきれいにさせる。


「ナルちゃ〜ん。ごはんよぉ?」
吉野の声にナルトは『ポン』と小気味よい音と共に人型に戻り、ヨテヨテと居間のお膳の定位置に座る。お気に入りはシカマルの隣。
「よぉナルト。来てたのか」
シカマルが任務明けで帰宅してきたところちょうどご飯のようなので、シカマルが仕事着のまま席に着く。
「あらシカマル。おかえりなさい。」
吉野がニコニコとした顔で迎えれば、シカマルが仏頂面のままで
「ただいま」
と一言答えて、ドカッとナルトの隣に座った。
「しかまりゅ。ぉかいり〜?」
ナルトも真似してシカマルに言ってみれば、くしゃくしゃと頭を撫でて「ただいま」と答えてくれた。ナルトは尻尾をゆさゆさ揺らして、嬉しそうにニコニコしながら、お膳に並べられる昼食を見渡す。
「ぃやらきましゅ!!!」
手と手を合わせてちゃんとごあいさつすれば、「えらいね」と、奈良家の面々に口々に褒められて、ご満悦のナルト。苦手なしいたけも一口食べれば褒められて、尻尾が嬉しそうに揺れっぱなしである・・・


そして、
「ちゃんとご飯を食べれたナル君には、おばちゃんからご褒美です!!」
吉野がなにやら隠し持って来たのは、茶色くてこぶし大のふわふわしたもの・・・明らかに甘い匂い・・・ナルトははなをヒクヒクして、見たことのないおそらく甘くてほわほわの物体をつつく。カサカサとちょっと堅そうなのに、指が刺さった穴から見れば、中にはたっぷりのカスタードクリーム・・・まさにナルトの大好きな甘いもの。。。
「たべりゅ〜!!!!!!!」
大きな声で手まであげて言えば、吉野がどうぞと差し出してくれた。「ハグハグ・・・」手はビチャビチャ、顔もグチャグチャ、ついでにはなにクリームがチョコン・・・

「親父・・・このシュークリーム手づくりだ・・・」
「・・・シカマル・・・昨日の夜から、母さんがんばってたぞ・・・」
もはや恒例となっている奈良家メンズの会は、今日も今日とて気合いの入った吉野のおやつにちょっぴり悲しみを覚えつつも、おいしく頂く・・・
「ナル君。おみやげもあるから、おうちでカカシさんと食べてね?」
吉野は元気いっぱいにたべているナルトをかいがいしく世話を焼きつつ、風呂敷に包まれた箱をナルトに差し出す。
「お土産はチョコクリームとカスタード二種類あるからね」
吉野はわざわざ箱にどちらがチョコかかきこんで、嬉しそうに「ありゃーと!!」とお礼を言っているナルトのリュックに詰め込む。
「・・・親父・・・俺もチョコ味食いたい・・・」
「シカマル・・・父さんも食べてないから大丈夫だ・・・」
変な仲間意識が芽生える奈良家メンズ会・・・




「ごめんくださ〜い」
夕刻。任務を終えたカカシが迎えに来た。
「かぁし〜。シュークームもらった!!」
ナルトがリュックをあけて見せると、カカシが申し訳なさそうに吉野に礼をいう。
「なんかすいません。面倒みてもらってる上に、俺の分までお土産頂いちゃって・・・この前のチョコレートケーキもおいしかったです」
カカシの言葉にメンズ会絶句・・・自分たちよりカカシの方が吉野のお菓子を食べてるようなのである。
「親父・・・俺は母さんの子だよな?」
「シカマル・・・大丈夫だ・・・父さんも不安になってきた。」
夕日をバックに晴れやかな顔でバイバイと手を振るナルト。それにこたえて笑顔で手をふる吉野。そのうしろで、なにやら疲れた顔で手を振る野郎が二人・・・
今日も木の葉は平和です・・・

[ 26/68 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
トップ



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -