ナルト、会議中

ここは木の葉最高会議。
里長火影、暗部総隊長、特別上忍、上忍・・・里の中核を担う面々が顔を合わせ、審議中・・・
「昨今の術能力低下を考えれば、術強化のための試験を実施すべきでは!!」
「いや!!ここは術よりも体術を鍛えてみては!!」
「・・・!!!」
「!!!」
里の未来のために大人が様々な激論を交わす最中、部屋の片隅で現れて、うごめく金色の物体・・・



「かぁし〜?」
フリフリと9本の尻尾を揺らして、お目当ての人物を探す・・・
「ナルト!?」
さきほどからつまらなそうに参加をしてるんだかしていないんだかの状態で座っていたカカシは文字通り飛び上がった・・・里の最高会議である。外には大勢の暗部。中も暗部だらけ・・・その中を術でさっさと入ってきてしまったナルト。
「かぁし〜?なぅととあしょぶよ!!」
ナルトはこともなげに尻尾をフリフリしている。
まわりの大人は唖然茫然・・・まだまだ3才くらいのお子様にいとも簡単に侵入されてしまったのである。そりゃあわてもする。
「なんだあの小僧!!どこから来たんだ!!」
大騒ぎの中を、火影がナルトに寄って聞く。
「ナルトや?どこから来たのじゃ?」
ことさら優しげに聞くものだから、ナルトは自慢げに
「なぅと小さくなれりゅの!!だからそこからはいったにょよ?」
指差す先は、10センチほどの窓の隙間。『ポン』という音と同時に狐になったナルトが実演するように、入ってきた時を再現する。通常の人間であれば通れない幅も、子狐ナルトにかかればなんてことはなかったようで、狐の状態のままもう一度入ってきては、カカシの膝に陣取る。
暗部にも気付かれずに術を使い、誰にも気づかれずに侵入してくる3歳児にみな驚いたが、もっとも驚いたのは、カカシの目が生き生きしていること・・・
あまつさえ、人間みな同じくらいに人に興味のなかったカカシが、優しげに狐を抱き上げて撫で撫でしている。



「いい子にしてるんだよ?」
まったく興味のなかった会議であるが、ナルトが膝にいるとあらば、イイ所を見せなくては・・・ということで張り切りだしたカカシに、まわりにいる忍たちは
「あのカカシがやる気を出してる!!!」
「あのカカシがあくびをしていない!!」
「あのカカシが・・・!!」
「あのカカシが・・・!!」
と口々に驚きの声をあげる。
そして、そんな声をあげた人々の所にクナイがとんで、あたりが静まり、会議が再開される。
狐のままにカカシの膝で丸くなっているナルト。
そのナルトを撫でつつ、まじめな意見を言うカカシに、一同は深い感動を覚えた。



その後、カカシが出席する会議の招集令状は、なぜかナルトにも届くようになった・・・
「なぅとも任務!!」
びしっと敬礼をしつつ、カカシに抱っこされて会議室に向かうナルト。一日一緒ということで嬉しい限りのカカシ。そしてさっさと終わらせたいカカシは、会議に出席する際にはかならず予習をし、的確な意見と、有無を言わせぬ進行で、木の葉の会議は近年まれにみる成果と時間を記録した・・・




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