ナルト、オオカミさんになる

「ハロウィンハロウィン・ハ・ハ・ハロウィン・・・♪」
ハロウィンが近づくと流れてくる某ハロウィンタウンな感じの音楽に、ナルトは鼻歌を合わせつつ、カカシが用意してくれた着ぐるみを着こむ。
これがまた不思議な形をしているのである。モコモコしたフードからニョキっと生えるナルトの狐耳。モコモコした服はそのままふとももまでつながっており、ショートパンツ丈である。しかし、おおむね出て閉まっている足とは対照的に、手は指型になっている袖のおかげで一切見えない・・・というか、完全に服の中にしまわれている。
玄関には、膝上まである同色モコモコブーツがおかれ、ブーツのひざ丈から上に入るきれこみ部分には小さくブランドの刺繍が入っている。
尻尾部分に穴がある特注品である。



「ナルト〜?着れた?」
顔を出したのは吸血鬼に扮するカカシ。眼帯に普段は隠している口元から見える付け牙。燕尾のようなスーツと何とも長いマントが、カカシの長身と相まってかっこいい・・・。全体を黒でまとめてはあるものの、マントの裏や、リボンタイに濃紫があしらわれ、そこはかとなく魅力的な雰囲気を醸し出している。

「かぁしかっこいい!!」
ダッシュで獣特有の4本足の跳躍でカカシの胸元にとびこんだナルト。抱きつきながら足で絡みついてくるナルトを抱っこしなおしつつ、カカシはさりげなく着ぐるみのファスナーをあげ、最終チェックに余念がない。
なぜかって?
今日は奈良家でハロウィンパーティーが開かれるのである。
「名前ばっかり有名な名家のクソガキ共よりナルトの方が100万倍かわいいもんね!!」
抱きついて離れないナルトの額にチューをして、完全に親ばか発言のカカシ。なぜかといえば・・・




3日前、上忍待機所へ立ち寄った際・・・
「うちの弟が今年のハロウィン仮装パーティーはフランケンシュタインをやりたいんだそうだ。すまんが衣装を頼む。」
「あぁ・・・あの子は里で一番かわいいよな・・・」
うちはのいけすかないルーキーうちはイタチと、その同僚の話しているところを不運にもカカシが聞いてしまったのである・・・「この里で一番・・・っていうか、この世界で一番可愛いのはナルト!!!!!!」と豪語して憚らないカカシとしては聞き捨てならない言葉である。普段であれば、かわいいナルトをなにが楽しくて見せびらかさなくてはならないんだ。と、自分一人で、みて萌え萌えするのが趣味であったカカシであるが、今回は違った。
入念なサイズチェックから始まり、ナルトの魅力を最大限に発揮できる仮装を模索し、ブランドのデザイナーに作ってもらった自信作!!
ナルトの耳としっぽを最大限に活かしたオオカミ男が完成したのである。着ぐるみといっても、全身ではない。耳がすっぽりと出せる穴の付いたフードがついたつなぎのような感じである。とはいっても、肉球のついた手袋が接続されており、下は短く太ももの辺りで切れている。モコモコとした揃いのニーハイブーツをはくと絶対領域が発生するなんとも可愛いオオカミ男になるのである。
ナルトもともとの魅力を十二分に発揮できると、はたけカカシが太鼓判大盤振る舞いしてしまうくらいのかわいさなのである・・・




「さぁ!!行こうか?」
意気揚々と家を出たカカシは、商店街をわざわざ歩いて見せつけるだけ見せつけつつ、奈良家へと向かった。
振り返る人々に見せつけるかのようにナルトを肩車したり、だっこしたりと手をかえ品をかえ大忙しのカカシである。
奈良家に着くまでに何人の里人が魅了されたり鼻血吹き出したりして倒れたことか・・・


「絶対うちはんところのクソガキなんかに負けないよ!!!うちの子が一番!!!」
完全親バカ丸出しのカカシなのでした。

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