ナルト、ハマる

今日はカカシがお仕事。火影は重要な会議のため、奈良家に預けられているナルト。
現在目下修行中の下忍のシカマル。シカマルの母の吉野に可愛がられ、常に誰かの膝に乗っている状態のナルト。シカクが、「うちにつれてくるとナルトの歩く姿を見ない」とぼやくほどである。
「ナルちゃん。今日のごはんはなにがいいかな?」
「ん〜・・・なぅとなんでもいいにょ!!ちょくごにょデジャートはプリンがいいの!!!」
激しく自己主張しつつもなんでもいいと言ってくれたナルトに吉野はメロメロになりつつ、昼食の支度よりも先にナルトのためにプリンを作り出す
「早めに作って冷やさないとね♪」
「・・・俺、おふくろの作ったプリンなんか食ったことねぇ・・・」
「シカマル安心しろ・・・私もだ・・・」
男親子の悲しい会話がナルトの頭上で交わされていることに気付かず、ナルトは嬉しそうにシカマルの膝の上で「プリーン♪ププププリーンー♪」と、調子っぱずれにうたっている。



「ナルちゃ〜ん?できたわよぉ」
吉野の呼ぶ声に耳をそばだたせ、尻尾を揺らして広い廊下をダッシュ!!
居間の食卓に並んでいるのは見たこともないいいにおいの物体・・・
黄色い卵はトゥルトゥルとして、上にかかっているケチャップがなんともおしゃれ。ナルトの目も心も奪うそれは・・・
「今日はナルちゃんのためにオムライス作ったのよ」
オムライス・・・ナルトの小さくてちょっとモノ覚えの悪い頭にしっかりとインプットされた。
「おふくろが洋食を・・・なんでもない日に・・・誕生日しか作ってもらったことねぇぞ・・・」
「シカマル安心しろ。私の誕生日は普段と同じ食事だった・・・」
男親子の悲しい会話をよそに、ナルトはお膳の下にオムライスを持ってもぐろうとする・・・
「ナルト?何やってんだめんどくせぇ?」
シカマルは不思議そうに見ていると、ナルトの大きな耳としっぽがひっかかり隠れられずにオロオロするナルト・・・
「たいへん!!!」
ナルトは叫び出すと、今からダッシュで自分の荷物のあるシカクの部屋へ駆け込む。
『シュルシュルシュル・・・』
ナルトのリュックから出されたのは『緊急用』と書かれた巻物。
追いかけてきたシカマルと吉野は書かれた文字をみて焦るが、シカクにはおなじみでいくら緊急と書いてあっても焦らない・・・
『ポン』
音と同時に現れたのは、明らかに某の誰かを殺しそうな鋭い目つきで印を構えているカカシ・・・
「あれ?ナルト・・・呼んだ?」
ナルトが目の前にいることで状況を理解したカカシは、猫撫で声でナルトに話しかければ、ナルトは困ったように耳をたたみ
「かくれりゃれないにょ!!!」
一大事を相談する。
一同「?」状態で固まるが、ナルト語のスペシャリストたるシカクが要約する
「ナルトはオムライスを食べようとしたが、隠れるところがないから食べられない・・・と」
カカシは合点が言ったようにポンと、手を叩き
「ナルト。隠れなくてもだれもとらないって言ったでしょ?」
ナルトの頭を撫でながら、
「ナルトはおいしそうなモノとか、好きなモノはテーブルの下で食べるんです。野生の習性がなかなかとれなくて・・・ちなみに、この前は出かけてほしくなかったらしくて、朝起きたら俺の忍服がテーブルの下にありました。本人は隠したつもりだったみたいですけど・・・」
若干のノロケを交えつつナルトの可愛いクセを奈良家の面々に伝える。
「カカシよ・・・それはなおさねば「あら!!可愛いじゃない!!ねぇシカマル!あなたが使ってる文台ならいいんじゃないかしら?」
シカクが威厳たっぷりにカカシに説教を垂れようとした途中で吉野に遮られ、シカマルが運んできた机にナルトが入り込み、その隣で大人たちはナルトを見守りつつ、お膳で食事を楽しんだ。


机の下のナルトはと言うと、トロトロの卵と、甘酸っぱいケチャップ。中のチキンライスに至るまで感動しっぱなしで、最終的にカカシに見えないようにお皿まできれいに舐めて、大満足。デザートに出てきた市販ではないプリンも任務中のため食べずに帰ったカカシの分までぺろりと平らげ、大満足でお昼寝に突入した。


「じゃあ、お世話になりました」
「ナルちゃんまたね?」
「また来いよ?」
「ではナルト、また」
「バイバイー」
任務から帰ったカカシに連れられてナルトは帰った。
それからしばらくの間、カカシが任務の際は、火影の執務室ではなく奈良家に行きたがるようになったナルトに、カカシは困り、シカクは表面上はいかめしい顔をしつつも内心はニヤニヤが止まらず、火影はさみしげにしていたとか・・・



      FIN


おまけ
「さぁ!!今日はナルちゃんのためにケーキを焼いちゃおうかしら!!」
張り切る吉野を尻目に、男二人は嘆息する
「おふくろ・・・ケーキなんて作れたんだ・・・俺の誕生日は買ってきてたよな・・・」
「安心しろシカマル・・・私は吉野に誕生日を忘れられていたことが判明した・・・」

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