ナルト、悩む

「カァシ〜?なぅとこまっちぇりゅの!!」
今日も今日とてエンジェルナルト。かわいくて仕方のないカカシは、ナルトが走り寄ってくるのを抱き上げ、膝に乗せていい子いい子しつつ、ナルトの困っている発言に耳を傾ける・・・
「どうしたの?」
・・・ナルトのかわいい眉間にはしわが寄り、口はアヒルのようにとんがり、あまつさえ尻尾なんてうねうね悩ましげに動いています・・・
「なぅと・・・お空の雲がおいちそうなの・・・」
「・・・ん?」
ナルト語のスペシャリストを自負しているカカシにもわけのわからない言葉で、カカシはナルトが言いたいことが分からずに困惑していると、ナルトはそれがおもしろくないらしく「おいちそうなの!!!」と、連呼・・・
カカシは「雲がおいしそう?」とかつぶやきながら、膝に乗せたナルトの頭を撫でつつ、ナルトの困ったを解決すべく考えるも、なんともできそうもなくついにはカカシの眉間にもしわがより、考えあぐねていると
「おにゃかちゅいたの〜」
と、なんだか欲求に忠実な発言が飛び出し、そのままカカシは急いでご飯を用意しにキッチンへ向かう



昼食もすみ、のんびりと午後を過ごし、さぁこれから風呂というところで
『ピーンポーン』
と、誰かだ訪ねてきた様子。カカシは膝からナルトをおろし、インターフォン越しに人物を確認すれば、上忍仲間であり悪友のアスマが、一升瓶抱えてニヤニヤとカメラに写っています。
『よっ!!お前の好きなナスとサンマ。小僧の好きな油揚げもあるぞぉ!!』
インターフォン越しでもナルトの大きな耳を持ってすれば聞こえてくる「油揚げ」の単語にナルトが興奮気味に尻尾をシタンシタンと床に叩きつけながら
「あしゅまいらっちゃい!!」
と玄関を開ける。
「おう!!チビ!!元気か?」
カカシより大きく無骨な手で撫でられれば、ナルトは「ぶみぃ」と、小さく鳴いて、カカシが受け取った油揚げの包みをふんだくるようにして受けとり、
「あしゅまありがちょ!!」
と、一言だけ言って、テーブルの下に隠れて包みをあけ出した。
「なんでテーブルの下にいるんだコイツ?」
アスマの疑問もまた然り。
「誰にもとられたくないものはテーブルの下で食べるんだ・・・本人は隠れてるつもりらしいからそっとしておいて・・・」
カカシは諦めたようにテーブルの下をちらっとのぞくと、包みにかかっているひもに苦戦しているナルトからちょっとだけと言って包みを受けとり、ほどいてからナルトに返せば、ナルトはハグハグと油揚げを咥えてご満悦で食べ始めた。
一方の大人組は、アスマの持参した材料と、家にあったもので適当につまみをつくり、一献傾け出した。
「そういえばさぁ・・・」
カカシは酒の合間に昼間あったナルトの困った発言をアスマに相談し出す。
事の顛末をきいたアスマもカカシ同様に悩みだした。
「雲・・・なんなんだ・・・」
大の大人、しかも木の葉の優秀な上忍の頭脳をもってしても真相が見えず、油揚げを平らげて満腹でカカシの足に縋りついてテーブルの下で爆睡中のナルトをよそに、大人二人の悩み多き飲み会は朝を迎えるまで続いた・・・



「ナルト!!俺今日はちょっと上忍待機所に行かなきゃいけないから、火影様のところに行くよ!!」
ナルトを抱っこし、ちょっと昨日の酒の残った状態で寝ぼけ眼のカカシは、瞬身で火影の執務室前に移動した。
『コンコン』
今日もノックするのはナルトの仕事。
「はいれ」
中から聞こえてきた火影の声に、カカシが歩を進めれば、近頃ではナルト専用となっている応接用のテーブルセットの上には「綿菓子」
「・・・こういうことね?」
謎がとけたというように息を大きく吐き
「ナルト・・・あれは綿菓子って言って、雲じゃないんだよ?」
「だってジィジが雲っていってたもん!!!」
・・・
「ほ〜か〜げ〜さ〜ま〜!!!!!!!!」
どうも先日の預けられた際に出された綿菓子がおいしくて、たくさん食べたいといったナルトに、火影が雲をとる工場があって、あんまりたくさん雲をとると空に雲がなくなって暑くなってみんなが大変なのだと教えたそうなのである・・・
甘くておいしい綿菓子をたくさんたべたいけど、食べたら暑くなって困る・・・ナルトはそんな悩みに陥っていたようなのである・・・
事の真相が発覚してみれば大変かわいらしい内容の悩みではあるが、カカシとしてはおもしろくない。
ナルトのかわいいお悩みのために雲をとる方法を考えなければならないかとまで思っていたのである・・・
この日、カカシがやる予定であった事務仕事がすべて火影のデスクに運ばれてきたのはいうまでもない・・・




「今日はお休みになったからスーパーで綿菓子買ってかえろうね!!」
「はい!!」
ナルトの歩調に合わせてゆっくりと歩くカカシ。
悩みも晴れてお互いにすっきりとした顔で会話を交わす二人。
今日も木の葉は平和です。


 
                FIN

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