カカシ、狐に出会う。

忍は常に影
自制と冷静さが大切
任務の為ならなんでもする…



ここは木の葉の里。忍が暮らす、静かな里…
ここに任務遂行率100%の『車輪眼のカカシ』という忍がいる。
他里にも名前を轟かす絶対的木の葉のエース。みな尊敬し畏怖する。


カカシは今日も任務を遂行する。
『任務 木の葉の里の裏山にいる妖狐を捕縛せよ。捕縛不可能な場合は殺して良し。』


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ココに木の葉きっての優秀な頭脳をフル回転させて自分の目の前の状況を整理しようとする男が一人・・・
目の前には大きな木。木の葉の神木として扱われるしめ縄をかけられた立派な木。
その枝の一本に探し求めた妖孤がいる
「キュ〜!!キュ〜!!」
登ったはいいが降りられなくなった模様で、下にいるカカシを威嚇しているのか助けを求めているのか、涙目でこちらを見ている。
「妖孤・・・まぁ・・・うん。狐なのは狐なんだけど・・・狐耳だよなぁ・・・うん・・・」
カカシが悩むのも当然。カカシの眼前にいるのは3歳くらいの小さな男の子・・・に、9本のふっさふさな尻尾と大きな耳。ついでにちっちゃい口から見えるちっちゃい牙。そんなんでいっちょ前に威嚇なんかされた日にはカカシ悶絶「ぶっちゃけ可愛い!!面倒だから捕縛なんかしないで殺しちゃおうなんて思ってたけど捕縛!!俺の胸で捕縛!!俺ん家で飼育!!捕縛するには〜♪」とか思いつつ、警戒させないためにもにこりとほほ笑みつつチャクラを足裏に纏わせて木を登る・・・正しくは木を歩く・・・


「やぁ☆」
カカシの突然の出現に驚きおびえ、耳は垂れ、尻尾は小さく股の間に隠れていても精いっぱい威嚇する狐にカカシデレデレ。
「キュゥゥゥゥゥゥゥ・・・コンコンコンコンコンコン!!!!!!!」
と、威嚇からの攻撃。コンコンと可愛い啼き声をあげながらカカシに突進し、その牙を手甲へ突きたてる・・・はずであったがあっさり捕獲。
「さぁ、おうちへいこうねぇ?」
「コンコン!?」
なにが起きたか分からない狐はキョロキョロと周りを見渡し、「こぉぉぉっぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!!」と、遠吠えする。
「ぎゃぁおぉぉぉぉぉ!!(てめぇうちのアイドルに手ぇだしてんじゃねぇよ!!)」
狐の遠吠えに呼応するように、森中の獣が集まってくる。妖狐である狐は森の守り神であり、みんなの愛すべきエンジェルである。身の丈2メートル以上あるであろう熊の啼き声にはなんだかいろんなものがこもっていたような・・・
森の獣たちはカカシに一斉に襲い掛かるが、それを狐を片手に抱いているカカシは難なくよける。
「邪魔するなら殺すよ?」
とか、動物たち相手に恐ろしい殺気を放ち、ひるんだ隙にするりと動物たちの輪から抜け出す。
「・・・本気デコロスカラネ?」


動物たちには何もできなかった。できたのは、彼らのエンジェルの無事を祈るばかりである。



「さぁて、いい加減噛むのやめようねぇ?牙が痛い痛いになっちゃうよ?」
ガジガジと手甲を噛む狐を自分の目線と合うように両脇に手を入れて持ち上げると、カカシの鼻めがけて猫パンチならぬ狐パンチが繰り出される。
「コラコラ・・・痛いよ・・・」
「コンコン・・・たぁにょ?」
狐パンチはカカシの言葉に反応するように止まった。
「ん?俺の言ってることわかるの?」
「コンコン・・・」
コクンとうなずいたが、なんかしゃべったようだったが、今はやっぱりコンコンと鳴いている。ただただカカシはじっと狐を見つめる。
「あっ。ちっちゃいけど男の子だねぇ」
とか、狐の下半身を見ながら言ったカカシの言葉に反応して狐が身をよじる「いやん。離して」といったように尻尾でカカシの手をたたく。
「コラコラ。あばれな〜いの。これからお前を火影様に見せて、俺と一緒に暮らせるようにおどし・・・お願いしてみなくちゃいけないのよ」
カカシは至極優しげな表情で頬笑み、狐を抱きなおす。
「ちょっとグラッとするから、ぎゅって目をつぶってなさいね?」
と、いいおわるかまだかの状態で瞬身を使い、火影の執務室へ向かう。
後に残るは心配そうな動物たちと、うっすらと残る術の後のけむりだけである。






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