ナルトと、いろんな意味で夏の風物詩

「ナルト〜・・・ごはんだよぉ?」
いつものようにいつものヒヨコさんワンプレートにのったご飯をもったカカシは、キッチンから出て一番最初に目に入った光景に焦った・・・
テーブルにのって唸り声をあげる九本尻尾の可愛いナルトと、その足元、テーブルの下にいる頭に自慢げに二本の触角をもった黒光りするあいつがいたのだ・・・
森で育ったナルトである。虫も爬虫類も怖がったりすることは今までなかったし、ナルトを森からここへ連れてくるのも動物や虫たちの総攻撃をうけるくらいに好かれているし、ナルト自身もすいていたはずだ・・・なのに・・・今は九本の尻尾を縮こまらせつつ、耳は垂れて、キューキューと牙をむきつつ威嚇している。
「ナルト〜?もしかして怖いの!?」
急いでかけよれば、ナルトがカカシに抱きついて泣きながらひっついて離れない。カカシはやにさがる顔を鉄の理性で平時の顔に戻し、ナルトをより高く安全と思われるキッチンのシンクにおろし、例の黒光りする奴を殺虫剤と新聞紙でやっつけて、手早く片づける。
「ふぅぅぅ・・・ナルト〜?怖いのは俺が片付けたから大丈夫だよぉ?」
「・・・」
無反応・・・ナルトが相当怖かったのだとなんとなく掃除を手抜きしていたことも相まって心配になったカカシは、手にしている例の死骸を火遁で灰すら出ないように焼き、さっさとキッチンに向かう・・・
ナルトはというと、おびえて縮こまって寄り添った冷蔵庫がたまたま開いていたらしく、冷蔵庫の中に顔を突っ込んでベーコンやハム、チーズなどを喰い漁っていた・・・
「ナルト!!そうやって食い散らかすからあんなのが出るんだよ!!!!!そうじしなさい!!!」
自分も最近掃除をサボり気味なことを棚に置いて厳しく言えば、奴が出るという言葉におびえたナルトは素早く冷蔵庫を閉め、床に落ちている食べこぼしを舐め出した・・・獣にとって、掃除は舐めることだということを失念していたカカシは急いでナルトを抱えあげて、洗面台に連れて行き、モン○ミンでうがいをさせる。
「かぁいかぁい!!」
辛いとなくナルトを無視してうがいをさせ、歯を磨かせる。
「ナルト・・・床は舐めちゃダメ・・・」
一連の動きが終わり、なんだかどっと疲れたカカシは、ナルトに昼食をとらせつつ、ため息交じりにお説教をすれば、ナルトにとってはデフォルトな行動を怒られたことに不愉快極まりないナルトが「グゥゥ」とか不機嫌そうな声をあげつつチャーハンをポロポロとこぼしつつ食している・・・



食事を終えた後、ナルトはお気に入りのソファでクゥクゥとお昼寝をしている。食事のあとの睡眠は幼児にとって大変重要だとアカデミーの教師連中から言われているので、カカシは静かに、せっせと部屋中を掃除しまくった・・・


数日後、業者を入れて徹底的に掃除をしてもらった結果、室内はホテルのようにきれいになり、奴も確認されなかったとの報告に満足し、カカシはナルトとの安心生活に戻った・・・
一方のナルトは、お掃除しないと奴が来る・・・でも舐めてお掃除したらカカシに怒られる・・・そんなジレンマに襲われて、しばらくの間悩み続けるのだった・・・


            FIN

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