ナルト、留守番してみる

「かぁしがにんむだから今日はおりゅしゅばん・・・」
さみしそうに尻尾を丸めるナルトは、カカシが出ていった窓を見つめて、ボーと座っている。今日は火影邸で重要な会議があり、上忍や、里の要職が一手に集められて、ナルトの面倒を見てくれる者がいないので、カカシは渋々・・・苦渋の決断でパックンにナルトを見てもらうようお願いし、会議が無事円滑に終わることをねがって出勤(?)していったのである・・・一方、家で一人なんてありえなかったナルトはと言えば、不安でしかたがない様子で尻尾の動きもせわしなく、キューキューと泣きっぱなしである。
「ナルト・・・わしがおるじゃろ?」
どんなにパックンがなぐさめても泣きやむことなく、キューキューと泣き続けるナルトは、泣き疲れて眠ってしまうまでカカシを呼び続けました。



「ただいま〜」
比較的早く終わった会議に、カカシが安心した様子で帰ってきてみれば、憔悴しきったパックンと、涙のすじを幾筋も頬につたって、すらすらと眠るナルト・・・
「どしたの?」
パックンに声をかければ、ジドッとしたイタイ視線を向けられ、
「ナルトが泣きやまなくてなぁ・・・ご機嫌取りにいろいろやったが、儂ではどうにもならん・・・今度からは影分身でも置いていけ!!!」
最後は叫ぶような悲鳴のような声でカカシに告げるとパックンが消えてしまう・・・この後数日、パックンからなんの応答もなかったという・・・




「ナルト・・・さみしかったの?」
眠っている顔にキスをして、風邪をひかないように毛布をかけてやれば、眉間に寄っていたしわがほぐれ、クーラーの風が直接当たっていたナルトの冷えた体が熱を感知したらしく、カカシにすり寄って、そのまま眠ってしまった
「・・・それにしても・・・影分身って手があったのをわすれてたよぉ・・・」
カカシのささやきは誰にも聞かれることなく静寂に飲みこまれ、静かな空間にはカカシが本をめくる音と、ナルトの健やかな寝息だけが響いていた・・・
スヤスヤ眠る顔はあどけなく、カカシの腿に触れる頬は柔らかくて温かい。
浴衣のあわせから出ている足が、白いのもカカシの下半身を刺激するが、愛しい狐はまだまだお子様である。カカシは何としてでも自分なしでは生きて行けないようにしてやりたいと思っているが、特に行動しなくてもそうなっている節があると今回の件で実感したカカシは、さらにナルトを甘やかすべく、お土産に買ってきたゼリーを冷蔵庫にしまうのであった・・・



「なぅとまってちゃのよ?」
寝起きのナルトがカカシが帰宅していることに喜び、尻尾をフリフリ悦びを表現しつつ、ちゃんと待っていたからなんかくれとばかりに、スプーンとフォークを持ってカカシの前に仁王立ちになっても、カカシにはかわいくて仕方がない愛しい狐なのでした・・・




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