ナルト、喧嘩する

「フギャァァァァァァ!!!!」
「グルゥゥゥゥゥ・・・コンコンコン!!!!!!!」
ご近所でも有名な愛くるしい姿の妖狐は現在戦闘中・・・獣の沽券にかかわる重要な・・・縄張り争いである。


カカシは最近はあまり大変ではない任務はナルトを連れていく。人間の生活にも慣れ、日々成長していくナルトに、忍のノウハウを教えたいと思うカカシの考えで、現在では火影の許可のおりる任務にはなるべくナルトを連れていく・・・
今日は里の大商人の奥さんが飼っている猫の捜索・・・しかし、ただの猫ではなく、忍猫である・・・通常の猫であれば、下忍の任務なのだが、里の情報を有する忍猫の失踪となれば、上忍の出番・・・おそらくはあの香水臭いマダムが嫌になっての逃亡だと思われるが、万が一敵国の忍に捕まって洗脳されて戻ってくるなどと言うことがありかねないので、車輪眼を持つ上忍のカカシが出動・・・しかし、その腕には抱っこされてご満悦のナルト・・・明らかにハイキングな気分のナルト・・・
「よ〜しナルト・・・今から俺が影分身でちゃちゃっと探すから、その間にナルトはチャクラを練る練習だね〜」
カカシはナルトをおろし、さっさと影分身の印を組んで、5体の分身に「探して」とか言って散らせ、そのままナルトに向き直ると、難しい顔でカカシを睨むナルト・・・
「どうしたの?」
「かぁし・・・探すのにゃーにゃ?にゃーにゃなぅとわかるよ?なぅと狐だからお耳もお鼻もとってもいいんだよぉ」
鼻をヒクヒク、耳をピクピク動かしてまだまだカカシを睨んでいるナルトは、突然ピント耳を立てて、
「こっち」
と言って走り出す・・・まだまだ二足歩行だとよたよたするナルトであるが、四足歩行だと早い・・・カカシが本気一歩手前くらいで走らないと追いつけない・・・そこらへんの下忍なんかよりよっぽど早いだろう・・・
「かぁし〜・・・おりりゃれにゃいって」
小高い木の上には若干衰弱している目当ての迷忍猫。カカシはチャクラを纏わせた脚で軽快に木を歩いて、目的の忍猫を腕に抱いておりてくる。
さっきまでは心配そうに見ていたナルトは今は複雑そうに忍猫を見つめ、
「なぅとの場所よぉ!!」
と、しきりに威嚇している。対する忍猫をカカシの腕の中が気に入ったらしく、威嚇してくるナルトに対し、威嚇を返し、カカシの腕に爪を立てて離れようとしない。
で、冒頭の状態・・・



「ナルト・・・とりあえず今は抱っこしてないと逃げられちゃうから、しかたないんだよ?今はリュックに入っておとなしくしててね?」
あまり長い時間あるけない+歩かせても遅い。四足歩行は人としてダメ・・・という理由から普段は抱っこで移動なのであるが、今日はカカシの大きなナルト用リュックにスポンと入れられ、里に戻る。その際、なんとも勝ち誇ったような顔をしてる忍猫にむかついたナルト・・・
「かげぶんちんのじゅちゅ!!」
さきほどのカカシが使った印を覚えていたらしいナルトは突然の大声と共に術を発動し、今では見事にカカシの目の前にナルトがもう一人・・・
「「かぁし〜?なぅとがにゃーにゃだっこすぅから、なぅと抱っこちて?」」
きれいなユニゾンで前と後ろから声がするカカシは「ナルトが二人!!ナルトが二人!!」とか興奮状態で呟いている・・・
そして、忍猫をナルトに渡し、そのナルトを抱っこして、「前門のナルト・・・後門もナルト・・・」とか怪しくつぶやきつつ、明らかに妄想にふけった顔でニヤ付いている・・・そして下半身は諸事情により、ナルトに見られないようにナルトを姫抱っこのような形で抱き直す・・・そのことによって憐れ、ナルトの肩に顎を載せるような態勢で抱っこされていた忍猫の目には、カカシの下半身の変化がばっちりととらえられた・・・忍猫は声にならない悲鳴をあげて気絶し、寝ていると勘違いしたナルトがマダムに手渡すまで意識を失っていた。
日々ノイローゼになりそうなほど可愛がってくるはた迷惑な主人の事を愁い、自分は不幸だと嘆いていた忍猫は、「あの狐みたいにペットに欲情する飼い主でなくてよかった」とか、思い直し、もう二度と脱走することはなかったという・・・


         FIN


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