ナルト、敵前逃亡

「今日は暑いからサラダそうめんです」
カカシがリビングをのぞいてナルトに夕食をつげた瞬間。
ナルトが上忍のカカシにすら追いつけないスピードで窓から外へと飛び出していった
「ナルト!?」
あまりの逃げように驚いたカカシが出遅れ、気づいた時にはすでにナルトの姿はみえなくなっていた・・・
「・・・さすがは黄色い閃光の息子って感じ?」
朗らかな声に似合わず,表情はおそろしいほどにひきつっていた・・・


「うぅぅ・・・サラダイヤだってば・・・」
泣きながら町をうろつくナルト。
そこへ夕飯の買い物を終えて、家に帰ろうとしていたサスケが通りかかった。
「サスケ!!」
思わず声をかければ、サスケが無表情に近寄ってくる。
その手に下げられているのは
「メンチカツ!?」
2個入りのメンチカツの袋。
ナルトがガン見しているのに気付いたサスケが困惑する
「変態は一緒じゃねぇのかよ?あいつに買ってもらえ」
本来であれば一個あげてもいいのであるが、いかんせん嫉妬深く独占欲の塊であるカカシの宝物に餌付けしようものなら命がいくつあっても足りない。
こういったナルト一人のときなんて特に危ない。
ふつうであればナルトの横に当然のようにいるカカシの顔色をうかがって分けてあげたり、もらったりしているのに、今日はそのカカシがいない。
しらないところであげたとなれば、キレたカカシになにをされるか・・・
しかし・・・
キラキラキラキラ・・・
そんな効果音が聞こえてきそうなナルトからのオネダリビーム。
「・・・内緒だぞ?」
そういって、メンチカツをナルトに差し出す。
「ありがとってばよ!!!!」
すっごいうれしそうにナルトがメンチカツを頬張った瞬間
「ナ〜ル〜ト!!」
遠くから聞こえていたはずの「ナ」の音が「ル」を通過して「ト」の音になったときには、ナルトはサスケの目の前から姿を消していた。
サスケの足元には、研ぎ澄まされたクナイが突き刺さりその持ち手の部分には『餌付け禁止』とカカシの走り書きが添えられていた・・・


「ナルト!!なんで逃げるのよ」
怒り気味のカカシに泣きそうな目をして「サラダはいやだ」と訴えるナルト
「俺がナルトが食べられないようなの作ったことあった?」
カカシが優しく問えば、首を横に振るが、
「だって!!サラダっていったってばぁぁぁぁ」
ついに決壊した瞳から流れる涙に、カカシはため息交じりにナルトを抱っこしてキッチンに連れていく

「サラダそうめんはそうめんにサラダをのせて、麺つゆとマヨネーズで食べるんだよ。マヨネーズ好きデショ?それに、今日は冷しゃぶも乗ってるんだよ?野菜だって、ナルトが比較的食べてくれるレタスとトマトときゅうりだけだし、どう?」
カカシに差し出された盛り付け前の野菜たちは冷蔵庫で冷やされて程よく冷たい。
まだゆでられていない豚肉はいつもより多めに用意されているし、カカシが作っためんつゆとマヨネーズベースのたれをちょっとなめたらピリ辛でおいしかった。これならきっと嫌いな野菜もがんばれそうだ。なんて、思っていたら『グ〜』と、ナルトのおなかが鳴り出した
「食べる?」
「食べるってばよぉ!!」
カカシに抱っこされたままサスケからもらったメンチカツをぺろっと平らげて、抱っこのままで手を洗ってもらって、リビングで下してもらったナルトはカカシが準備している間に皿やら箸やらを用意する。

「いただきます!!」
「めしあがれ」



FIN

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