カカシ、こっそりつける

カカシ邸の朝は早い。
とはいっても、俺は寝たままでナルトだけが早起きする。
なんでかって?
そりゃ簡単ですよ。俺に隠し事してるから!!


「・・・いってくるってばよ」
小さな声で寝ている俺に一言かけて、ナルトがこっそり離れにきえていく。
離れはヨウコさんがつかってるんだけど、3部屋あるうちの2部屋は余ってる。
で、ナルトはそこで俺には内緒の事をしてるんだけど、ま、バレバレだよね・・・
俺はあらかじめ影分身を寝かしてあるワケで、本体はナルトにこっそり同行しますよ・・・


「みんなおはようってば!!」
ナルトが元気に戸をあけると、その先に待ち構えているのは猫・・・
「にゃ〜ん」
すりよってナルトに朝の挨拶をしてるんだけど、これがまた憎たらしいほどにナルトからのチューとか頬ずりとかをうけてるワケ。しかもお返しとばかりにペロペロそてるし・・・ヨウコさんがいる手前、この猫をなんとかするワケにもいかず、俺としてはイライラ・・・
「アハハ・・・くすぐったいってばよ〜」
嬉しそうにナルトがわらってるから、まぁいいんだけどさ・・・
「さ、ごはんだってば」
そういってナルトが出した猫缶は、実は俺が買ってる。
この子はいまいちおバカちゃん(そこがかわいいんだけど)だから、捨て猫拾ってきたはいいけどラーメンなんてあげようとするから、俺が忍犬のエサを間違えて猫の餌買ってきちゃった〜って言いつつ買ってきてあげたら、こっそりそれを拝借してあげてるつもりみたい・・・でも、何個使っても減らないあたり疑問に思ってくれてもいいんだけどなぁ・・・
「カカシに聞いてみようかな・・・そろそろカカシにも気づかれそうだし・・・」
・・・気づいてますよ〜?
でも困ったな・・・忍犬はしつけてるからまだ俺たちの邪魔はしないけど、猫はしつけられないし、しかもこのナルトのできあいっぷりからして俺、かまってもらえなくなる予感・・・ムリムリムリムリ・・・!!!
さっさとなんとかしないとなぁ・・・
あ・・・
「なぁネコ吉、ネコの社会はつらくないのか?」
あらら?すっかりごはんに夢中のネコに向けてなんかしゃべっちゃってますよこの子は。なにをいいだすのやら・・・きっとナルトにも抱えてるものいろいろあるだろうし、甘んじて聞きましょう
「お前ら猫っていっつもひとりだし、よくさみしくないよなぁ・・・俺ってば昔は全然平気だったのに、最近はカカシがそばにいないと安心いて寝れないようになっちまったんだってばよ。しかも、里のみんなが俺をいじめなくなって、普通に一人で里を歩いても全然平気なはずなのに、なんでかわかんねぇけど、急にさみしくなるんだ。一人で歩くことがさみしいなんてへんだよな・・・」
ナルトはネコの背中を撫でながらポツリポツリ話す。きっと、誰もいない空間。聞いてないネコだけの空間がナルトに弱音とかを吐かせたんだと思う。
強くて優しいナルトだって、きっと折れたい時もあるデショ
「いっけね!!そろそろカカシが起きちまう!!いいこにしてろよ!!きっとカカシは今日も読書すっからそのすきに影分身で様子見に来るから!!」
あらら・・・俺としたことが、ナルトが影分身してるなんて気づいてなかったワ・・・ナルトも成長してるんだねぇ。感慨深いよホント。もうちょっと人を疑ったり構えたりしてくれると、俺ももう安心なんだけどなぁ・・・おっと、考えてるうちにナルトがかえっていっちゃうよ〜・・・俺もそろそろベッドにもどらなくちゃね!!



「カカシ〜!!!起きろってばよ〜!!!」
ドア越しに聞こえてくるナルトの声になんだか口元が緩むのが抑えられないおれだけど、今日は素直に起きてあげましょ?さみしい思いなんて一瞬たりともさせたくないから
  
FIN

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