カカシ、付いていく

「カカシ〜!!!!」
ヨウコさんがカカシに向かって走ってくる。
その後ろには困惑顔のイルカが遅ればせながら走ってくる。
「我はイルカと一緒に行きたいんじゃ!!そなたがナルト達を引率してたも!!」
そりゃもうしっかり自己主張をぶちかまし、完全にジコチューマックスに喋っているヨウコにニヤッとした笑いを心の中で向けつつ、
「でも俺のほうで任務あるし、とりあえず火影様に相談しよう?」
あたかもヨウコを丸めこもうとしているような、困ったような顔をしているカカシであるが、実際にはしてやったり。
ナルトと共に一泊二日の旅行に行くガキ共を呪ってしまおうか考えていたカカシだから、これぞまさに棚からぼた餅。
速攻で火影の執務室に向かう。


『コンコン』
「入れ」
手短なあいさつを終えて、カカシが困ったような顔を作って話し出す
「実はヨウコさんが、イルカ先生と一緒に居たいと駄々こねちゃいまして、そうなるとイルカ先生がヨウコさんを見てかかりっきりなってしまうんですよ・・・」
さも、困ってていい案が浮かばないような様相をすれば、示し合わせたようにヨウコが
「カカシをつれていけばよかろう!?我はイルカの言うことはちゃんと聞く故・・・のう?ダメかぇ?」
ショボボンって感じに耳を寝かせて尻尾を垂れさせれば、里の父性の塊・イルカがあわてたように慰め出す
「根性の別れじゃないんだから・・・」
ポンポンと撫でる仕草が優しげで、なんとも哀愁が漂っている・・・
「俺だってヨウコさんと行きたいけど、俺にも立場があって仕事で行くから、ワガママ言えないよ?」
「イルカァ・・・」
「泣かないでヨウコさん・・・」
見つめあう二人は、次第に距離を縮めて抱き合っていった・・・
・・・ちなみにですが、ここは里の最高責任者の御前です・・・
「・・・カカシ。どう思う?」
完全に蚊帳の外の二人は傍観しつつ話を進めていく
「確かに俺が行くのが一番いいんでしょうけど、俺には任務が・・・」
「そんなもの我の分身にいかせればよかろう!!」
突然割り込んできたヨウコにカカシが苦笑する
「じゃ、俺がナル・・・下忍の引率しますよ」
あまりの嬉しさについつい出てしまった本音を、火影が聞き逃すはずがなく
「わかった。ではイルカはヨウコさんとカカシの面倒をみてやってくれ。こやつも任務続きで疲れているだろう・・・くれぐれも下忍連中に邪魔をさせないように!!!」
要は、あまり下忍連中を近づけるなと・・・
簡単に言ってしまえば、ナルトに近づけさせるなと暗にいちゃいちゃ禁止令を出されたのであるが・・・
しかし、素直で優しいイルカが聞けば
「わかりました!!では、カカシ先生はゆっくり羽を伸ばしてください。なるべくご迷惑をかけないように子供達には言っておきますので・・・カカシ先生、お疲れのところすいません・・・」
やさしさは時として最悪の凶器に匹敵することを、カカシはこの後の旅行で知ることとなる・・・



「か〜か〜し〜!!」
旅先で元気に跳ねまわるナルト。
その横に居るのは、ナルトの面倒をみるようにイルカから頼まれたサクラとシカマル。両サイドを固められてまったく近寄れないカカシ・・・
「ナルト〜!!カカシ先生は任務明けのお疲れをおしてきてくれてるんだから、そっとしておいてあげなさい?」
なんて、イルカ先生が言ってしまえば、ナルトが近寄るはずもなく
「わかったってば!!」
なんて言ってカカシから遠のいてしまった。
「カカシ先生はいざという時に助けてくださいね?」
言外に「気にせず休め」というイルカの優しさを無下にすることもできず、カカシは一泊二日の間ずっといちゃいちゃできず、はしゃぐナルトを見せつけられながらモンモンとするのであった・・・

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